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馬ミシュラン

小山内完友 馬ミシュラン

第80回 『2歳戦』

 今年の東京ダービーを浦和のラッキープリンス(浦和・小久保智厩舎)が制したことは、先月お伝えした。浦和競馬所属馬としては1990年のアウトランセイコー以来の25年ぶり、そして浦和デビュー馬としては1984年のキングハイセイコー以来、実に31年ぶりである。

 また2着も浦和競馬所属のパーティメーカーで、浦和所属馬の東京ダービー1、2着は史上初の快挙となった。参考までに南関東デビューのダービー馬は、船橋が2013年のインサイドザパーク(船橋・林正人厩舎)。川崎が2009年のサイレントスタメン(川崎・足立勝久厩舎)。大井は1996年セントリック(大井・岡部盛雄厩舎)で、以降は北海道や中央デビュー馬が主流である。

 思えば、長らくホッカイドウ競馬デビュー馬に蹂躙されてきたクラシックの様子を、ハンカチの角をかじりながら眺めているしかなかった。そういった状況の中、スクランブルナイトが始まり、SPAT4でホッカイドウ競馬を発売するようになり、「東京でレースや成績みて理屈をこねてもしょうがないな」と思い、「北海道の馬のことは北海道で取材している人に頼もう」ということで、旧知の古谷剛彦氏に日刊競馬紙上でコラム執筆を依頼したが、意外にも一般読者よりも厩舎関係者に人気があり、予算の関係でコラム依頼の対象ではないレースの掲載日には「コラムがないぞ」と苦情を頂いたこともあった。

 振り返れば笑い話だが、ある意味危機的な状況だったとも言える。同時にホッカイドウ競馬にかかわる様々な方々との交流の中で「北と南の違い」を知ったり、あんな方やこんな方の他での評価を聞いたり...。かなり勉強になったし、今でもいろいろお世話になっている。

 今年の南関東の2歳新馬戦は4月24日、大井競馬からスタートした。例年は5月末の浦和競馬からで、昨年は5月26日だったから、ほぼ1ヵ月早い。毎年「日本一早い2歳戦」を売りにしているホッカイドウ競馬の新馬戦が、開幕日の4月22日と2日前だったから、感覚的には「物凄く早い」と感じる。番組に聞いたら、厩舎からの要望もあったとの事。それが冒頭のような「生え抜きのダービー馬」に流れを引き戻すかどうかとは、恐らく直接は関係しないだろう。

 かつて新馬戦と言えば、春の本場所が終わり、ローカルの始まりを告げる風物詩であったが、どんどん前倒しになり、中央競馬でもダービー翌週の6月1週目にスタートする。

 JBBA NEWSに改めて書いてもしょうもない感想だが、入厩してきた馬を見ても育成、調教技術の進歩を感じる。また、馬主、調教師にとっても流通促進付加賞、付加奨励金などの新馬流通促進対策事業は効果的だったように思う。ある馬主さんは「昔は誕生日が過ぎても2ヵ月、3ヵ月待たなければならなかったが、早くなって良かった」と言う。欧米では3月から2歳戦がスタートし、成績を見ていると2f(約400m!、当然サラブレッドの競走)という驚きの競走もあったりするが、さすがに日本ではこれ以上の前倒しはないのではないかと思う。(もし今後あるとしたら、やはり大井競馬場か)

 もちろん課題は多い。南関東最初の新馬戦を勝ったのはイジワルナハロー(大井・森下淳平厩舎)、2着サブノクロヒョウ(大井・阪本一栄厩舎)、3着フォートカルガリー(大井・中村護厩舎)。そして初の既走馬戦となった5月19日の2歳戦も1着イジワルナハロー、2着サブノクロヒョウ、3着フォートカルガリー。予想されたことだが、層が薄すぎてこれでは賭けにならない。イジワルナハローの3戦目は、登録のあったサブノクロヒョウ等が回避し、5月18日の新馬戦を勝ったシングンヴィグラス(小林・三坂盛雄厩舎)が2着、3着も新馬戦でシングンヴィグラスの2着だったツルマルキングオー(小林・堀千亜樹厩舎)。

 注目度の高い中央競馬の新馬戦と違い、地方競馬の新馬戦は「玄人の嗜み」といった趣である。新馬戦を重ねるごとに出走馬のバラエティも増えては来たが、10月14日のハイセイコー記念までは目玉となる重賞もなく、最初の特別戦までは我慢を強いられる。ホッカイドウ競馬の2歳戦なら「来年の東京ダービー馬を探せ」とかなんとか書けばそれなりに注目を集められた。

 新馬戦を早めたことにより、今後南関東の2歳戦にも注目を集めるギミックが必要だろう。