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第86回 『今年こそはJpnⅠを』

2016.02.21
 「NAR GRAND PRIX2015」優秀馬選定委員会の季節がやってきた。今年も全国公営競馬専門紙協会推薦の選定委員として、末席に加えて頂いた。
 毎年、優秀馬選定後に次年度の選定について委員からの要望や意見を述べるのだが、ここ数年終わりの議題に挙がっていた選定委員の選出について、「競馬の世界でも女性の活躍が目立っており、女性の視点からの意見も必要ではないか」という意見が採用され、今回から元高崎競馬の女性騎手で、現在は競馬リポーターとして活躍されている、赤見千尋委員が新たに加わることとなった。

 議事はまず座長選出から始まる。座長は委員の互選で行われる。進行役の「どなたか...」の声に「ハイ!」と元気よく手を挙げたのは、不肖私でありました。まあ、1度やってみたかったわけで。やってみるとかなり緊張しましたが、無事推薦した委員が承認されひと安心。その後選定に入るわけだが、ここでは気になった部門を取り上げる。

 2歳最優秀牡馬は浦和のアンサンブルライフと、道営から大井に移籍したトロヴァオが候補。アンサンブルライフは全日本2歳優駿JpnⅠで地方馬最先着の3着。対するトロヴァオは全日本2歳優駿を取り消したが、鎌倉記念ではアンサンブルライフに先着する勝利。こういうケースでは基本的に「出るべきレースに出た馬」を選ぶわけだが、トロヴァオに出走意志がなかったわけではなく、取り消しが焦点に。しかし「もし取り消しがなければ勝てたはず」では選定理由にはならない。ここはアンサンブルライフだろう。

 3歳最優秀牡馬は浦和のラッキープリンスと船橋のストゥディウムが候補。東京ダービーに勝ち、ジャパンダートダービーで地方馬最先着の3着ならラッキープリンスだが、羽田盃、ダービーグランプリでそれに勝利したストゥディウム。ここではダービーグランプリの価値についてが焦点に。遠征馬の質も高くなり、かつての栄光を取り戻しつつあるとは思うが、そこでの勝利がJDD3着をひっくり返すには至らないというのが筆者の見解。全委員の意見が出された後採決となり、ラッキープリンスが選定された。

 3歳最優秀牝馬は兵庫のトーコーヴィーナス、大井のララベル、浦和のトーセンマリオン。関東オークスJpnⅢで地方馬最先着となる3着を挙げたトーセンマリオンだが1年間未勝利で、かつ関東オークスは2着以下が大差というレース。委員会はあくまで結果重視だが、以上2点からも積極的には選定出来ない。他2頭の争いとなり、双方地方競馬全国交流競走での成績は甲乙つけ難く、最終的には直接対決の桜花賞(浦和)での対戦成績が決め手となり、ララベルが選定された。

 4歳以上最優秀牝馬もサンバビーン(北海道)、ブルーチッパー(大井)、ノットオーソリティ(大井)、エーシンサルサ(兵庫)の4頭が候補。地方競馬全国交流のスパーキングサマーカップを勝ったブルーチッパーとクイーン賞JpnⅢで0.2秒差3着のノットオーソリティ、地方競馬全国交流競走2勝で、レディスプレリュードJpnⅡで地方馬最先着の5着となったサンバビーンが推され、最終的には採決となったが、1回目で過半数がなく、上位2頭で2回目の採決が行われサンバビーンが選定された。

 地方競馬全国交流はレースによっては北海道・岩手交流や、東海・近畿交流のようなメンバーになることも多く、ここはレースの内容をもう少し精査するべきであると感じる。

 最後は特別表彰馬。いわゆる「殿堂入り」だが、今年はオグリローマンが選出された。個人的には該当なしであった。兄オグリキャップに続き兄妹で中央競馬のGⅠに勝ち、また、地方競馬出身(デビュー)として初の桜花賞GⅠ勝馬ではあるが、繁殖牝馬としては特筆すべき実績はない。

 「マル地」馬の扱いは慎重にするべきであり、桜花賞1勝で選ぶのなら、選ばなければならない馬が他にもいると考える。

 前日の専門紙協会の会議でも同様の意見があり、むしろ「長年に亘り地方競馬の活躍馬を数多く所有した」馬主の故小栗孝一さんを表彰するべきだ、という意見もあった。我々委員は馬の選定をするのであって人の選定はしないのだが、反対意見としてそれらのことは述べた。

 今年会議の見どころと感じたのは以上だが、もちろん選定結果に異論はない。昨年もJpnⅠの勝馬はなかったが、今年こそはと期待している。

 受賞馬関係者の皆様、おめでとうございます。
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