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第115回 『ダービーシリーズ』

2018.07.25
 今年も毎年恒例のダービーシリーズが、現在行われている。「現在行われている」と書いたのは、実は本稿執筆時点で、まだ北海優駿(ダービー)が終わっていないからである。
 一昨年までは「ダービーWEEK」と称して、(ほぼ)1週間に6つの「ダービー」が行われていたのだが、昨年、金沢の石川ダービーと、高知の高知優駿が加わり、期間も5月27日から6月20日まで、4週間にわたり行われるようになったため、装いも新たに「ダービーシリーズ」として再スタートを切ることになったのである。

 トップバッター佐賀の「九州ダービー栄城賞」。これまでは飛燕賞が佐賀3冠の1冠目だったが、今年から佐賀皐月賞が3歳戦となり、新たに1冠目となった。その佐賀皐月賞を勝ったリンノゲレイロが1番人気に推されたが、レースは後方待機から徐々に位置取りを上げた別路線組のスーパージェットが、直線で二の足を使いハーキマーダイヤに半馬身の差をつけ勝利した。

 スーパージェットは門別でデビューし、名古屋、兵庫を経て4月に佐賀へ転入。2度使いここに駒を進めてきた。次走の高知優駿にも勝ち、「ダービーのハシゴ勝利」となった。

 第2弾は金沢の「石川ダービー」。かつて「日本海ダービー」が2004年まで行われていたが、昨年新たにこのレースが創設された。

 北日本新聞杯で2着に2秒1の大差を付けて圧勝したノブイチが1番人気に推されたが、レースは中団から1周目の直線で一気にまくって先頭に立ったアルファーティハが最後まで脚色衰えず、3馬身の差をつけ勝利。JRA未勝利から金沢に転入。北日本新聞杯は5着に敗れたが、鞍上の好騎乗で勝利を手にした。

 3戦目は名古屋で「東海ダービー」。ここまで1番人気(=1冠目を制した馬)は敗れていたが、「さすがにサムライドライブは負けないだろう」という、単勝1.0倍。デビューから無傷の10連勝。しかし、「負けるはずがない馬が負ける」のがダービーなのだろうか。3馬身のリードを保って向いた最後の直線で飛んできたのが、4番人気のビップレイジングだった。

 北海道でデビューし、笠松、JRA、再び笠松という経歴。うるさい気性が出世を遅らせたが、今回はそれが良い方向に向いて、勝負根性を発揮した。笠松の東海ダービー馬は、2010年のエレーヌ以来というのは、かつての笠松の栄華を知るものとしては、驚きだった。

 そして翌日は東京ダービー。「ダービーには魔物が住んでいるのか」。これまで1番人気が勝てず。羽田盃を快勝し1番人気で臨むヤマノファイトには、大きな期待?プレッシャー?がかかった。

 やはり魔物がいたか。スタート直後の不利でヤマノファイトが影響を受け後退。その後折り合いを欠き、7着に敗れる。

 逆に勝ったハセノパイロは外枠から砂を被らずスムーズなレース。4コーナーを先頭で回り、2着となったクリスタルシルバーとの接戦を制した。ハイセイコー記念に勝ち、全日本2歳優駿3着の実績馬が、京浜盃、羽田盃を使って調子を上げてきていた。2着のクリスタルシルバーの鞍上は的場文男騎手。スタート後、内に切れ込んでヤマノファイト等を内に閉じ込めた。しかし、そんな厳しいレースをしても、「ダービー」にはクビ差届かず。自身10度目の「ダービー2着」。こちらは魔物ではなく、女神が微笑まなかったか。

 さらにその翌日は兵庫ダービー。兵庫チャンピオンシップで地方馬最先着となる6着だが、勝馬からは3秒4の大差だけに、こちらは1番人気といっても波乱含みの様相だった。

 勝ったのはコーナスフロリダ。1冠目の菊水賞はゲートひと息で敗れたが、今回はクリノヒビキを徹底マークし、これを振り切った。何よりも、前走から立て直した陣営の努力の賜物だろう。

 ここまで1番人気5連敗。「連敗ストッパー」に指名されたのは岩手ダービーダイヤモンドCの1番人気チャイヤプーンだ。門別でデビューし、岩手転入。当地では5戦4勝でやまびこ賞を制している。このレースでも中団から抜け出し、最後はささったり、尾を振ったり気性の難しさをみせたが、能力の違いは断然だった。

 高知優駿は佐賀のスーパージェットが勝ち、「ダービー2勝目」。粘るコスモバレットを、脚色十分で追い込み、クビ差差し切った。

 ダービーシリーズも残すは門別の北海優駿。北斗盃を制したサザンヴィグラスがどんなレースを見せてくれるのか、楽しみだ。
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