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第134回 『優秀馬選定委員会』

2020.02.26
 1月15日、NARグランプリ2019の優秀馬が発表された。年度代表馬には、浦和JBCスプリント(JpnⅠ)を制したブルドッグボスが選定された。地方競馬3頭目の「JBC制覇」であり、地方競馬の年度代表馬に相応しい結果であった。

 と、今年は書き出しを少し変えてみたが、発表の前週、都内某所にて優秀馬選定委員会が開催され、今年も選定委員の末席に加えさせて頂いた。

 2019年のダートグレードレース戦線は、地方馬の活躍が目立った。2歳部門は3競走のうち2競走に勝ち、古馬も5競走で勝利を挙げている。

 2歳牡馬せん馬最優秀馬には、全日本2歳優駿(JpnⅠ)に勝ったヴァケーションが選定。これは当然の文句なし。そして2歳最優秀牝馬にはエーデルワイス賞(JpnⅢ)に勝ったコーラルツッキーが選定。基本的に委員会は「タイトル重視」ではあるが、コーラルツッキーは暮れの東京2歳優駿牝馬に出走し、7着に敗れている。これはひと叩き出来なかったという事情があったから仕方ない面もあるが、出馬が出た時に「負けたら面倒くさいことになるなあ」と思っていたら、悪い予感的中(悪い予感が的中し、新聞は不的中)だ。

 選定委員会は「結果重視」でもある。一応議論にするためにも、直接対決で勝ったレイチェルウーズを推した。4戦4勝の負けなしで、東京2歳優駿牝馬で直接対決を制した。この部門は今後も議論になりそうな部門で、まずエーデルワイス賞が実質ホッカイドウ競馬とJRAによる交流である点、それから東京2歳優駿牝馬の立ち位置。馬産地北海道のレースはそれでいいとして、東日本にも兵庫ジュニアグランプリのようなレースか、マイルの2歳牝馬重賞が欲しい。

 そして早くもクライマックス。3歳牡馬・せん馬部門である。ジャパンダートダービー(JpnⅠ)3着のミューチャリー、それを東京ダービーで破ったヒカリオーソ、さらに昨年7戦7勝の負けなしで、ホッカイドウ競馬3冠馬のリンゾウチャネルの3頭に絞られ議論。

 まず今年のジャパンダートダービー3着はある委員も発言したが、ひじょうに価値ある成績である。勝ったのはその後日本テレビ盃、チャンピオンズカップに勝ち、デビューから6戦負けなしのクリソベリル。2着も名古屋グランプリに勝ったデルマルーヴル。クリソベリルとは0.6秒差、デルマルーヴルとはアタマ差の同タイムである。ミューチャリーはひじょうに強い馬で、実はヒカリオーソとウィンターフェル以外の地方馬には負けていない。

 普通ならこれで決まりなのだが、ここでも直接対決で先着したヒカリオーソを推す声が(筆者ではありません)。ヒカリオーソも雲取賞と東京ダービーで2度ミューチャリーを下している実力馬。ただ、ここで東京ダービーが比較の対象に上がるのなら、リンゾウチャネルを評価しても良いのではないかと。これはすみません筆者ですが、北海道3冠、2019年7戦7勝、そして楠賞の楽勝振り。ジャパンダートダービーか、不安で回避した東京大賞典に出走出来ればよかったのだが、それは仕方なし。

 気持ちとしては、負けたレースで選ぶよりは、勝ったレースで選びたかった。

 3歳最優秀牝馬、4歳以上最優秀牡馬は文句なしで、4歳以上最優秀牝馬だ。

 ここはマリーンカップ(JpnⅢ)に勝ったラーゴブルーと、クイーン賞(JpnⅢ)に勝ったクレイジーアクセルの一騎打ち。筆者は別定55キロで勝ち、JBCレディスクラシック(JpnⅠ)では地方馬最先着(4着)のラーゴブルーを推したが、グランダムジャパンで各地を転戦し古馬シーズンのチャンピオンとなり、ダートグレード競走を含む3勝を挙げたクレイジーアクセルが選ばれた。ハンデ戦は地方馬が活躍する機会を増やすが、それだけで選ぶのは筋としては難しい。今回はグランダムジャパンの結果も利いた。

 最優秀ターフ馬はハッピーグリンか該当なしかの2択だろうと思っていたが、やはりそうなった。日経賞4着、香港のチャンピオンズカップ8着、札幌日経オープン2着は十分評価に値する成績だが、やはり年間未勝利では選定できないと筆者は考えた。

 例年同様気になった部門を挙げてみたが、今年は各カテゴリーで勝った馬が多かっただけに、選定する側としてはいい意味で難しかった。

 受賞馬の関係者の皆様、おめでとうございます。2020年もさらなるご活躍を期待しています。
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