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第140回 『無観客競馬5』

2020.08.25
 そろそろ無観客競馬ネタも飽きてきたので。
 7月8日(水)、大井競馬場で3歳ダートのチャンピオン決定戦、第22回ジャパンダートダービー(JpnⅠ)が行われた。

 13頭立てで行われたこのレース。勝ったのは6番人気のダノンファラオだった。ゲートが開いて、外から4番人気のダイメイコリーダがハナに。その直後をマークするようにダノンファラオが、そしてその内に単勝1.1倍の1番人気カフェファラオ(USA)と、外からミヤジコクオウ、さらにフルフラット(USA)とキタノオクトパスが続き、その後ろにはバーナードループと、7頭出走しているJRA勢が、先頭から7番手までを占める展開。

 人気を背負う2枠2番のカフェファラオは、1コーナーでバランスを崩し、そのまま1~2コーナーへ左手前で入って行って、先頭の2頭からは少し離れた3番手に落ち着く。

 レースは淀みなく淡々と流れ、1000m通過は61秒3のハイペース。残り800mのあたりからダノンファラオが逃げるダイメイコリーダに並びかけ、2頭で後続を離す。その後ろでカフェファラオは手応え悪く、レーン騎手のムチが入るも伸びを欠いた。

 直線に入っても2頭の競り合いは続くが、残り200mのあたりでダノンファラオが抜け出し、1馬身3/4差でジャパンダートダービーを制した。2着は逃げ粘ったダイメイコリーダ、5馬身離れた3着は5番手を進んだキタノオクトパスと、JRA勢が続き、地方最先着は4着のブラヴール。1番人気のカフェファラオは7着、東京ダービー馬エメリミットは6着という結果に。

 勝利ジョッキーは坂井瑠星騎手。父はご存知大井の坂井英光調教師(元騎手)で、いわば生まれ故郷の大井競馬場でJpnⅠ初勝利を挙げた。ジャスティンで制した東京スプリント(JpnⅢ)に続き、親子並んでの口取り写真だったが、瑠星騎手よりも、英光調教師の方が物凄く嬉しそうだったのが印象に残った。

 無観客期間中の勝利騎手、調教師インタビューはソーシャルディスタンスを取っての代表取材。坂井瑠星騎手は「行けるならハナに行こうと思っていましたが、外のダイメイコリーダが速かったので、切り替えて2番手から運びました。道中はしっかり走ってくれていましたし、4コーナーから直線の感じでは前は交わせそうだったので、あとは後ろから来る馬がいるかだと思って追いました」と。管理する矢作芳人調教師も、大井競馬場の出身。レース前に「行けたら行け」と指示していたが、「やはり道中はカフェファラオが後ろにいましたし、安心は出来なかったのですが、この馬の潜在能力を信じていました」と。

 この勝利で9月5日に行われるケンタッキーダービーの選定ポイントを得たが、「この状況でアメリカに行くのは難しいと思いますし、11月にまた大井へ帰ってきたいと思います」と。夏場は休養にあて、秋はJBCが目標となりそうだ。

 ここ一番でのフリー騎手起用は以前からあったが、1994年から短期免許の制度が出来て、2000年にオリビエ・ペリエ騎手が来日したあたりから、ここ一番では外国人騎手を起用するケースが増えるなど、徐々に主戦=所属騎手という古き良き概念も薄れてきたように思う。ひと言で言ってしまえば「時代」ということになるか。

 その中で、矢作=坂井師弟のように、海外武者修行に出し、今年の日本ダービーではサトノインプレッサに乗せたような、弟子を育てる姿勢は今どき珍しくなった。ともに大井出身という地縁関係もかつてはよく見られたが、近年徐々に薄れていく感がある。師の期待通りの成長をみせ、今年28勝で全国20位(7月20日現在)、内15勝が自厩舎で挙げたものだ。

 ダノンファラオとカフェファラオの父は「アメリカンファラオ」(American Pharoah(USA))。ご存知2015年の米三冠とBCクラシックを制した馬だが、弊紙の表記は原音主義で「アメリカンフェロー」(フェイロアにも聞こえる)。

 馬名登録の際に、本来ファラオ(エジプトの王)の綴りが「Pharaoh」であるのに、誤った綴りをコピペして「Pharoah」で登録されてしまったのは有名なエピソード。忖度して「ファラオ」にすることも出来たが、弊社馬柱担当者は原理主義者なのか?前述の通りにしたため、「違うんじゃないのか?」という読者からの指摘が相次いだ。

 参考までにJBISで調べるとダノンはDanon Pharaoh(JPN)で、カフェはCafe Pharoah(USA)だった。コピペしたので間違いないはずだ。

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