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第144回 『興奮、感動の共有』

2020.12.28
 レースごとに売上状況を聞いてはいたが、結果のリリースを貰って正直驚いた。大井・門別両競馬場の1日の売上の合計100億8,854万1,950円!2場開催とはいえ、ついに地方競馬で行われたJBCで大台到達だ。
 大井で行われたJBCクラシックが29億9,179万1,200円(前年比166.4%)、JBCスプリントが20億4,712万9,900円(同125.9%)、JBCレディスクラシックが12億9,654万9,200円(同114.6%)。JBC3競走合計で63億3,547万300円。門別で行われたJBC2歳優駿が9億7,489万8,000円。JBC4競走合計73億1,036万8,300円。大井、門別1日の売上は100億8,854万1,950円。ついに100億円の大台なのである。

 もちろん2018年京都開催のJBC3競走で157億3,086万8,600円は、燦然と輝くJBC記録ではあるが、まずは大井・門別両競馬場の総力を結集しての結果を素直に喜びたい。

 我々南関東、ホッカイドウ競馬の専門紙も、11月3日の紙面は、大井・門別全レース馬柱を掲載し、微力ながら2場開催のお手伝いをさせて頂いた。ホッカイドウ競馬はかつてスクランブルナイトで後半3レースを掲載していたし、それ以前から遠征馬や転入馬が南関東で活躍しているので、スタッフもレースはよく見ているのだが、当日は強力な助っ人として古谷剛彦氏に7年ぶり!に原稿を依頼し、万全な態勢で臨んだ。

 とはいえ、当日の大井入場者数は777人。入場制限下では仕方なく、場外発売所はそれなりに盛り上がりをみせたが、新聞の売上自体は「想定の範囲内」(営業部談)ではあったが、とりあえずはこういうことも出来ますよ、というところを見せられたことは、恐らく将来に繋がるのではないかと、勝手に総括している。

 レースは盛り上がった。レディスクラシックは2番手から抜け出し、2着マドラスチェックの猛追を凌ぐ闘志をみせたファッショニスタ。スプリントはハイペースの流れを我慢し、直線一気に突き抜けた大井のサブノジュニア。そしてどこまで行ってもこの3頭で決まるのだろうなと思わせたクラシック。そしてラッキードリーム、トランセンデンスのホッカイドウ競馬2頭がクビ差の接戦だった2歳優駿。どのレースもJBCの名に相応しい好レースであった。勝利騎手、勝利調教師だけでなく、生産者のインタビューもあり、地方競馬、そして生産者の祭典であることも実感した。

 繰り返すが、惜しむらくはコロナ感染拡大防止による入場制限だ。レースの興奮、感動をより多くの人たちと競馬場で共有できるようになるのは、いったいいつになるのだろうか。

 もうひとつ、多くの人たちと興奮、感動を共有できたらよかったのに、と思えるレースが、今年のジャパンカップである。

 無敗の牡馬クラシック3冠馬コントレイル。無敗の牝馬クラシック3冠馬デアリングタクト。そして現役最強GⅠ8勝馬アーモンドアイ。もう出馬投票前の段階から楽しみでしょうがない。

 残念ながら当日の東京競馬場は指定席など抽選による入場となるが、これが通常通りだったら一体どれだけの入場者があったのか、と思わせる注目のカードである。

 東京競馬場の消防法の最大収容人数は22万5,000人、これまでの入場レコードは平成2年5月27日、日本ダービー当日の19万6,517人。さすがに近年の傾向からはそれほどの入場はないだろうが、通常であったなら多くの競馬ファンや関係者が競馬場で観戦したことだろう。

 無敗のクラシック3冠馬の古馬初対戦は、シンボリルドルフがジャパンカップ3着、ディープインパクトが有馬記念2着と敗れている。勝ち馬はカツラギエース、ハーツクライとそれぞれ1歳上の世代だった。

 無敗でなければ、例えばオルフェーヴルやナリタブライアンは古馬初対戦で有馬記念に勝っているし、シンザンもオープンに勝っている(翌年の宝塚記念、天皇賞・秋まで負けていない)。牝馬もアーモンドアイやジェンティルドンナが初の古馬相手となったジャパンカップに勝っているように、単なるジンクスと言えなくもない。

 いずれにせよ、そういった過去のデータも含め、悩む要素は沢山あるが、この号が出る頃には、既に結果が出ているはずだ。

 レース当日は地方競馬中継の解説。恐らくジャパンカップの興奮冷めやらぬまま、佐賀のオータムスプリントを解説しているものと思われる。そちらの方も好レースを期待したい。
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