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馬ミシュラン

小山内完友 馬ミシュラン

第135回 『東京オリンピック2020』

 7月23日、1年遅れで東京オリンピックが開催された。結局、世界的なコロナウイルスの感染拡大により、2013年に招致が決定した時に思い描いていたような形にはならなかった。

 我々にしてもまた然りで、英語版を発行して外貨を獲得しよう!とか盛り上がっていたのだが、結局首都高が1,000円上乗せになった影響で輸送に時間が掛かったくらいで、良い事があったといえば、出馬が3日前確定になったことくらいだった。その分制作、印刷も早くなり、下道の混雑分を吸収できた。

 他にもオリンピック開催期間に日程がかかる、浦和、川崎、大井で出走申込みを制限し、極力輸送を避け、下級条件は自場の所属馬だけで行われたので、遠征馬の取材が少し減った。

 元々無観客競馬が続いていたので、新聞の売上に対する影響はほぼ皆無で、良くも悪くも、仕事が少し楽になった、というのがオリンピック期間中の仕事面での感想だ。

 個人的にはオリンピックは好きなので、競技を楽しみにしていたのだが、当たり前だが自国開催だと業務時間と完全に被っていて、ほとんど見ることが出来なかった。例年なら柏木集保氏の解説で競技を観戦するのだが、期間中も含めコロナの感染が広まってからは、拡大防止のため電話、メールでのやり取りになり来社はせず。社内で集まって観ることもなく、ネットで結果だけ見て勝った、負けたと言っているだけであった。

 さすがにリオデジャネイロの時は12時間の時差があり朝のダイジェストで観ることが多かったが、ロンドンは8時間の時差で、仕事終わりにちょうどメダルマッチが行われたりしたので、競技を数多く観たい人にとっては、オリンピックはヨーロッパで行われるのがベストだろう。

 今回、グリーンチャンネルで馬術を放送するということもあり、馬場馬術、障害馬術、総合馬術とじっくり見ることが出来た。びっくりしたのがドイツの馬。ダレラ、ベラローズ、ショータイム。いずれも調べたら実績ある馬のようだが、どんな調教を積めばあんな演技が出来るのか。飼い犬にお手とおすわりと待てを教えるのが精一杯の筆者には、まるで想像もつかない。

 総合馬術の戸本一真選手とヴィンシーの総合馬術個人4位入賞も素晴らしかった。バロン西こと西竹一選手以来、89年ぶりのメダルとはならなかったが、4位は快挙である。

 障害馬術は比較的競馬ファンにも分かりやすく、日本に因んだ障害もあり、楽しめた方が多かったのではないかと思う。ここでも福島大輔選手が89年ぶりの入賞となる6位となった。予選のガッツポーズが印象に残っている。

 そして、小倉開催をひとつ飛ばして(理由は暑さ対策だが)までリソースを注ぎ込んだJRAにも賛辞を贈りたい。

 各国の選手が素晴らしい戦いを繰り広げている裏で、競馬は粛々と行われていた。やはり気になるのはオリンピックの影響ではないか。

 直接比較出来そうなのは、ほぼ同日程の大井競馬だろう。

 2020年の7回大井競馬は7月28日から5日間行われ、売上は合計83億9,610万1,510円(SPAT4-
LOTO含む)。それに対し、2021年は76億8,427万5,350円で、前年比マイナス7億1,182万6,160円で、前年比91.5%。

 また今年のマイルグランプリ競走は6億6,037万4,700円で前年比80.6%であった。

 これは昨年が前年比(つまり一昨年比)199.4%と大幅に売上を伸ばしたことも影響している。マイルグランプリ当日の、1日の総売上も前年比83.7%であった。

 当日のちょうど20時台には、卓球の女子団体決勝戦(19:30~)だったり、清水希容選手が出場した空手形女子決勝(19:50~)だったり、川井梨紗子選手が出場したレスリング女子フリースタイル57キロ級の決勝(20:55~)だったり、そういった人気競技が行われ、多くの競馬ファンが馬券に集中できない状況だったのだろう。

 ラグビーワールドカップの頃も10%弱のマイナスになった日もあった。競馬も含め様々なスポーツイベントを渡り歩く「浮動票」は概ねそれぐらいと踏んでいたが、やはりオリンピックは格が違うのかもしれない。

 結局、オリンピックらしさに触れたのは、道路のオリンピック専用レーンと、会社へ戻る途中に寄り道した聖火ぐらいで、東京オリンピックはいつの間にか終了した感じだった。