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第155回 『入場再開』

2021.11.25
 昨年より続く新型コロナウイルスの猛威は、ついに今夏の第5波に及んだが、それもようやくピークアウトを迎え、JRAは夏場、新潟、札幌、小倉で指定席を事前購入したファンに限定して入場させていたが、本場所でも9月11日からの中山、中京競馬から、同様に入場を再開させている。
 秋のGⅠシーズンを迎え、申し込みの倍率も高く、入場も中山のスプリンターズSが4,113名、ソダシ人気で予定の4,363席に対し、2万3,965口の申し込みと、チケット争奪戦が激しかった阪神の秋華賞もほぼ満席となった。

 一方地方競馬はというと、南関東地区では1月1日から無観客競馬が続き、入場再開されたのが4月12日の大井競馬から。指定席523名、一般席375組750名のところ、初日516名、2日625名、3日654名、4日538名、5日598名と、いずれも「満員御礼」とはいかず。

 夏場再び無観客競馬となったが、10月18日からの浦和競馬で入場再開。しかし出足は鈍く、2,000名を上限に、滞留者が下回る場合当日入場を許していたにもかかわらず、初日が725名、2日目が714名と、半分にも満たなかった。

 春の大井は一般席が2名ひと組で申し込みを受け付けていたが「おひとり様」が一定数いたと考えられること、また、秋の浦和は予約が満席にもかかわらず、当日行くかどうかは分からないが「とりあえず申し込んでみる」というファンがいたこと、そして「コロナ感染に対する警戒感」もあったのではないかと考えられる。

 弊社に出入りする比較的競馬に対しては寛容な業者の営業さんも「競馬場には行きたいんだけど、コロナに感染した時に競馬場へ行ったとは言いづらいですよねえ」と言う。競馬に限らず、野球やサッカーでも、人の集まる場所への警戒感はあるし、いざ感染したとなると、「なんでそんなところに行った!危機管理がなってない!」とか言われてしまったら、と思ってしまうのは仕方のないことだろう。

 もうひとつは、在宅投票だ。すでに昨年秋に日経新聞の野元記者がコラムで触れていたが、今後ファンの「現場離れ」が進むのではないか、という意見である。

 何度も書いているが、在宅投票の伸びは、加入者数、売上とも凄まじい。競馬場に行ったところで、今のところイベントもなく、飲食店も限られ、声援を送ることも憚られるし、人も少なく静かで盛り上がりに欠ける。現状、長い1日を過ごすには退屈なのである。

 それと同時に「在宅投票の利点」もかなり認知されてきたように思う。移動はないし、口座に入金されている以上は使わずに済む。足りなければ近所のコンビニなどで入金もでき、帰りの交通費の心配もいらない。家なら飲みながらレースを観られる。パドックやレースは基本無料(一部有料)で観られるし、情報はホームページや投票サイトで、オンデマンドで、オッズでも馬体重でも、知りたいものは手元でみられる。グリーンチャンネルや南関東地方競馬チャンネルに加入して、ちょっといい椅子と、大きい画面のテレビなんか買ってしまえば、かなり充実した投票環境が手に入る。今思えばほんの一時ではあるのだが、無観客競馬が、ファンを在宅投票の充実へと向かわせた。

 その代わり、1日中歩きまわる競馬場と違い、在宅競馬ライフだと太るかもしれないが。

 主催者側も、在宅投票の拡充に余念がない。日曜日の夜はJRAインターネット投票締め切り時間(18:13)に向け、ほぼ5分おきに各場の締め切り時間がやってくるし、主催者間でも時間の取り合いが激しい。その数分が大きいらしい。

 また、パドックに解説を入れたり、YouTubeで記者や芸人、タレントさん達が馬券対決する「セカンドスクリーン」、SNSを活用した豪華プレゼントや、オンラインイベントなど、インターネットを利用した投票を軸に、映像など情報提供、イベントまですべてオンラインで完結する仕組みが構築された。

 我々専門紙も、ネット版やコンビニプリントの拡充といったこれまでの施策だけでなく、今後本格的なネットへの進出を検討している。今までも細々とはやってきたが、物流など世の中の方が変わってきたこともあり、近い将来、紙を全国へ配送することが難しくなると予想している。

 今年、実験的に交流重賞の中継へ中央担当者を出演させた。いきなり◎キャスルトップは想定外だったが、今後は生の声を届ける方も充実させていければ、と思っている。

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