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第178回 『暑熱対策』

2023.10.25

 今年の夏はとにかく暑かった。北海道では8月23日に観測史上最高の36.3度を記録し、「熱中症警戒アラート」が出されるほどである。例年社内でも人気の函館、札幌出張であるが、今年は「とにかく暑かった」とのことだ。


 かくいう筆者もお盆前に青森へ帰省したら、観測史上最高の39.3度に遭遇。とはいえ、湿度が低い分それほど暑いとは感じなかったから、体はすっかり都会人になったようだ。


 なんとなく思い出すに、小学生の頃(昭和50年代)は気温20度を超えたらプールに入れた、と記憶している。授業中も気温計ばかり気にしていたし、熱い息を吹きかけてズルしようとした記憶がある。20度は低く感じるかもしれないが、その数字だけは鮮明に覚えているから多分間違いないだろう。40年前の7月末ぐらいはそれぐらい気温が低かった。


 環境省の調査によると、2018年までの100年間で、日本の夏季(6~8月)の平均気温は1.5度上昇しているという。今年はエルニーニョ現象の影響もあるが、それ以外の年でも、体感的にはもっと高くなっているという感覚だ。


 故郷青森県を例に挙げると、だいたい暑くなるのは、ねぶた祭(8月1~7日)からお盆までの2週間で、お盆が過ぎると急激に涼しくなっていった。8月の最終週に木造町(現つがる市)で「馬市まつり」があって、それが終わると夏も終わりというスケジュール感だ。


 ちなみに「馬市まつり」であるが、元々農耕用の馬のせりが行われていた名残で、筆者が子供の頃はトラクターやコンバイン、穀物乾燥機など農機具の展示会と山車の運行と、婦人会の流し踊りみたいな祭だった。


 最近は馬のねぶたを運行して、最後は馬ねぶたに火が放たれて、新田開発に従事した亡馬の霊を昇天させる「新田火まつり」が行われる。まだ観たことないけど。


 話は脱線したが、とにかく今年の夏は暑かった。そして暑い夏、競馬界の話題の中心は「暑熱対策」だった。


 さかのぼること3月27日、JRAの第1回関東定例記者会見で、以前から行われていた暑熱対策(パドック周回時間の短縮、ミスト、シャワー設置、夏に開催される競馬場の馬房にエアコン設置等)の一環として、2024年から熱中症リスクが著しく高い時間帯での競馬を休止し、競走時間帯を拡大することが発表された。


 具体的には7、8月の北海道以外の開催場で、1Rを9時30分頃に行い、午前中(11時30分頃)までに5Rを行い一旦休止。15時頃をめどに再開し、18時30分ごろに最終レースを行うというもの。準メイン、メインレースは通常の時間帯に行われるとのこと。


 具体的な開催は2024年の開催日割で発表し、具体的な時間割は2024年の夏季競馬番組で発表されることになるが、今年の日割でいうと、新潟、小倉開催ではないかと予想されている。


 発表されている極々僅かな情報を元にすると、例えば今年の8月13日の新潟開催だと、9時30分頃に障害未勝利戦が行われ、11時30分頃に5Rまで終了し休止。15時過ぎに準メインの6R三面川特別、7Rの関屋記念、以降8~11Rが行われて、最終レースが18時30分というイメージか?休止中は札幌競馬がサイマル発売されているので、それを楽しむということになりそう。


 現場の記者からの反応も大きい。まず休止時間帯をどのように過ごすか。場内で札幌競馬の展望イベントでもあればいいが、そうでなければ現時点ではシエスタ(休息時間)になるだろう。


 帰りの時間も気になる。車で行くにしても、バス→新幹線にしても、単純に今より30分早くなり、2時間遅くなる。お客さんじゃないからメイン観て帰るわけにもいかないし…。


 新聞や雑誌、ネット界隈では様々かつ大胆な暑熱対策が展開されている。大方はナイター開催だが、毎週土日の日中という、一番良い時間帯をみすみす手放すことはしないだろうし、日射がない分マシだが、夜も暑い。


 読んだ中で最も大胆な意見は夏の開催を休止する、という案だ。シーズンオフの概念自体は珍しくないが、大胆だとしか言いようがない。

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