南関フリーウェイ
第131回 第27回 ジャパンダートクラシック(JpnI) ナルカミ優勝
10月8日、大井競馬場で3歳馬によるダート三冠競走の最終章、ジャパンダートクラシック(JpnI)が行われました。
優勝したのは、戸崎圭太騎手騎乗の3番人気ナルカミ(JRA 田中博康厩舎)。三冠達成に挑むナチュラルライズ(JRA)を鮮やかな逃げ切りで振り切り、3馬身差の快勝で最後の一冠を制しました。
口取り撮影時、闘志の炎がなかなか収まらないといった仕草を見せていたナルカミ。レース後の田中博康調教師のコメントを振り返ると、ナルカミの精神面でのケアについての内容が印象的です。「精神的な高ぶりが良い方に出せるように厩舎一丸となって取り組んだ」とのことで、次の内容からもナルカミの繊細な一面が伝わってきました。
「ナイターで、パドックから馬場に向かう動線を少し心配していました。地下道を上がってすぐに一気に視界がクリアになるので、そこが課題だと思っていましたが、比較的上手くいったかなという印象ですね。前走の盛岡(不来方賞1着)は動線が短いので心配な場面もありましたが、今回はあやしいながらもジョッキーが上手く誘導してくれました。返し馬もスムーズでしたし、ゲート裏も落ち着いていたので、ナルカミはこちらが思うような成長をしてくれているかなと思います」(田中調教師)。
田中調教師が心配したという地下道。そこはパドックから馬場に向かうシーンとして、レース中継でもよく映る場所。これまで特に気にせずに見てきましたが、知らない場所でトンネルに入って、坂を上がったらいきなりパっと視界が開けて未知の世界が広がっている、という状態を想像すると、びっくりして不安定な気持ちになるのも分かるような。
「ナルカミは先行力もあり、心肺機能も高いので距離も持ちますが、まだまだ精神面での課題は多い馬です。盛岡に遠征したり大井に来たりと、経験を積んでこの馬なりに少しずつですが、大きな舞台に向かう態勢もできてきていると思います。今後は馬の状態を見て、オーナーサイドとしっかり相談していきたいですね」と田中調教師。プランはいくつかあるとのことで、どこでその勇姿を見られるのかを楽しみにしていましょう。
ちなみにナルカミ(鳴神)には雷の意味があり、父のサンダースノーから繋がる馬名。一方で「鳴神」は日本文化・歌舞伎十八番のひとつ。京都の山岳修行の地・鴨川源流域にある志明院を舞台にした、歴史に名を刻む演目としてこれまで長く演じられてきました。競走馬・ナルカミが見せてくれる名場面も、この先多くのファンを魅了していくことでしょう。

2着には羽田盃(JpnI)と東京ダービー(JpnI)を制した二冠馬ナチュラルライズ(JRA)。「馬は本当によく頑張ってくれました。いつもに比べたら折り合いもついていました」と横山武史騎手。多くのファンの熱い声援からも、このコンビが愛されていることが伝わってきました。
地方所属馬最先着の6着には、東京湾カップ(SII)の優勝馬、12番人気・船橋のケンシレインボー。「長い距離でためをつくれました。まだまだ100%の状態ではなく、伸びしろがあると思います」と山中悠希騎手。上がり3番時計での奮闘に、管理する佐藤裕太調教師は「よく頑張りましたね」と人馬を労っていました。
さて、11月3日(月)は、JBC船橋・門別が開催されます。船橋競馬場にとっては2010年の初開催から実に15年ぶりのJBC。生まれ変わった新スタンド・場内での楽しみ方はいろいろありますが、2021年のJBCクラシック(JpnI)で地方所属馬として初の優勝馬となり、現在は誘導馬として活躍しているミューチャリー(9歳)の存在も見どころのひとつと言えそう。パーク化されたエリアは誘導馬の馬房も見える構造になっていますので、運がよければ窓から顔を出すミューチャリーのオフショットも見られるかも知れません。通年ナイターが行われている船橋競馬場ですが、この日は昼間の開催なので普段とは違ったレース風景も楽しめそう。まずは人馬ともに無事に怪我なく、素晴らしい時間となりますように。
