南関フリーウェイ
第84回 南関東競馬観戦必携。騎手名鑑とカレンダー撮影の裏側。
2021.11.25
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今回は南関東4競馬場で発行している「騎手名鑑」そして「カレンダー」の写真撮影の裏側についてお伝えしましょう。共に南関東競馬観戦の必携・重要アイテムとしてお馴染みです。
お話を伺ったのは、両角昭男(もろずみあきお)カメラマン。南関東競馬での撮影歴22年という大ベテランです。
騎手名鑑での写真が騎乗シーンになったのはここ数年のこと。それまでは、正面を向いた証明写真のようなイメージでした。「躍動的なものにしたいという方針で、現在のような写真になりました。競馬を知らない方が見ても、騎手という仕事の雰囲気が伝わるのではと思います」と両角カメラマン。確かに、レースに向かう表情からも現場の雰囲気が伝わってきます。
とはいえ、以前のような写真と比べると、動きのあるもの、屋外での撮影など、様々に変化するコンディションを前に撮影労力は大幅に増加したのではないでしょうか。
「浦和以外の3場、大井・川崎・船橋はナイターでの開催がメイン。夜に撮った写真だと影ができて表情がわかりづらくなることがあります。そのために太陽が出ている明るい時間帯での撮影を心掛けています。雨の日はNG。晴れた日、できれば春や初夏など気候の良い時期が良いですね。気持ち良く晴れた日に撮った写真だと、競馬場の楽しさもお伝えできるのではと思います。撮影する時には太陽の向きにも気を付けていますよ」(両角カメラマン)。
なるほど、このお話を伺ってから騎手名鑑を見直してみると、どの写真も勝負に臨む真剣さと共に明るい雰囲気があることに気が付きます。
「南関東に所属する騎手全員を撮影するには1年がかりになりますね。一人あたり正面、右側、左側の3パターンを撮影しています。騎乗が確定した段階で、誰を撮影するのか絞り込みます。パドックでは騎乗後の1周だけが撮影チャンス。動きなどでタイミングが合わなかったり、パドックで騎乗せず先出しだったりということもあるので撮影チャンスは貴重です。周り方があるので、どの方向から撮るのか考えておく必要もありますね。パドックの他、馬道でも撮影しますが、川崎や浦和は馬道が長いので比較的撮りやすい印象です」。
シャッターチャンスがわずかなパドック周回でベストショットを撮るためには、それぞれの場の特徴を把握しておくという、経験に基づいた予測もかなり重要になりそうです。これまでも、撮影位置や角度を変え、パドックの後には馬場入り方向へと移動する両角カメラマンの姿をいく度も見かけました。
「全ての騎手の撮影を完了するまでに時間はかかりますが、やりがいがありますね。コロナ禍で無観客が続いた時には、パドックで騎乗した時に少しだけうつむき加減が増えたかなという印象を受けました。無意識なのでしょうけれど、やはりファンがいると顔をあげて正面を向いてくれる。ファンの存在の大きさを改めて感じました」。
こういった些細な変化が分かるのは、普段から集中し、一瞬のチャンスを逃さずに見ている両角カメラマンだからこそなのでしょう。
「カレンダーは撮影専門で、デザインは別の方が担当されています。現在はゴールシーンを中心に、走っている時の脚の形がきれいな瞬間を捉えた写真の納品を心がけています」とのこと。南関東競馬のカレンダーなので、南関所属馬の勝利を願いつつ撮影に臨むそうですが、「あまりにも思い入れが強いと、きわどい勝負の時に僅差の2着馬の南関の馬を撮ってしまいそうになる。なので、いかに現場で冷静にいられるか、というのも大切ですね」とのお話でした。
この騎手名鑑とカレンダーは厩舎関係者にも好評です。ある調教師のご家族から「昔の騎手名鑑で父の騎手時代の写真を見つけました。父の現役時代、自分はまだ子供でじっくり見たことがなかったから嬉しかった」と聞いたこともありました。「担当馬が来年のカレンダーに掲載されるように頑張るよ」と笑顔を向けてくれる厩務員さんもいます。ファンにとっても関係者にとっても無くてはならないもの。何年か後にも大切に見返してもらえるもの。実用だけではなく、記録にも記憶にも残り、目標にもなる写真なのですね。
今回、両角カメラマンには突然の取材依頼にも関わらず、とても丁寧に対応していただきました。取材の合間には静かに読書するお姿も印象深いです。まもなく発行される2022年の南関東競馬カレンダーは11月30日(火)までプレゼントキャンペーン中!詳しくは南関東4競馬場公式ウェブサイト(https://www.nankan-calendar2022.jp/)まで。どんな写真が掲載されているのか、楽しみにしていましょう。
お話を伺ったのは、両角昭男(もろずみあきお)カメラマン。南関東競馬での撮影歴22年という大ベテランです。
騎手名鑑での写真が騎乗シーンになったのはここ数年のこと。それまでは、正面を向いた証明写真のようなイメージでした。「躍動的なものにしたいという方針で、現在のような写真になりました。競馬を知らない方が見ても、騎手という仕事の雰囲気が伝わるのではと思います」と両角カメラマン。確かに、レースに向かう表情からも現場の雰囲気が伝わってきます。
とはいえ、以前のような写真と比べると、動きのあるもの、屋外での撮影など、様々に変化するコンディションを前に撮影労力は大幅に増加したのではないでしょうか。
「浦和以外の3場、大井・川崎・船橋はナイターでの開催がメイン。夜に撮った写真だと影ができて表情がわかりづらくなることがあります。そのために太陽が出ている明るい時間帯での撮影を心掛けています。雨の日はNG。晴れた日、できれば春や初夏など気候の良い時期が良いですね。気持ち良く晴れた日に撮った写真だと、競馬場の楽しさもお伝えできるのではと思います。撮影する時には太陽の向きにも気を付けていますよ」(両角カメラマン)。
なるほど、このお話を伺ってから騎手名鑑を見直してみると、どの写真も勝負に臨む真剣さと共に明るい雰囲気があることに気が付きます。
「南関東に所属する騎手全員を撮影するには1年がかりになりますね。一人あたり正面、右側、左側の3パターンを撮影しています。騎乗が確定した段階で、誰を撮影するのか絞り込みます。パドックでは騎乗後の1周だけが撮影チャンス。動きなどでタイミングが合わなかったり、パドックで騎乗せず先出しだったりということもあるので撮影チャンスは貴重です。周り方があるので、どの方向から撮るのか考えておく必要もありますね。パドックの他、馬道でも撮影しますが、川崎や浦和は馬道が長いので比較的撮りやすい印象です」。
シャッターチャンスがわずかなパドック周回でベストショットを撮るためには、それぞれの場の特徴を把握しておくという、経験に基づいた予測もかなり重要になりそうです。これまでも、撮影位置や角度を変え、パドックの後には馬場入り方向へと移動する両角カメラマンの姿をいく度も見かけました。
「全ての騎手の撮影を完了するまでに時間はかかりますが、やりがいがありますね。コロナ禍で無観客が続いた時には、パドックで騎乗した時に少しだけうつむき加減が増えたかなという印象を受けました。無意識なのでしょうけれど、やはりファンがいると顔をあげて正面を向いてくれる。ファンの存在の大きさを改めて感じました」。
こういった些細な変化が分かるのは、普段から集中し、一瞬のチャンスを逃さずに見ている両角カメラマンだからこそなのでしょう。
「カレンダーは撮影専門で、デザインは別の方が担当されています。現在はゴールシーンを中心に、走っている時の脚の形がきれいな瞬間を捉えた写真の納品を心がけています」とのこと。南関東競馬のカレンダーなので、南関所属馬の勝利を願いつつ撮影に臨むそうですが、「あまりにも思い入れが強いと、きわどい勝負の時に僅差の2着馬の南関の馬を撮ってしまいそうになる。なので、いかに現場で冷静にいられるか、というのも大切ですね」とのお話でした。
この騎手名鑑とカレンダーは厩舎関係者にも好評です。ある調教師のご家族から「昔の騎手名鑑で父の騎手時代の写真を見つけました。父の現役時代、自分はまだ子供でじっくり見たことがなかったから嬉しかった」と聞いたこともありました。「担当馬が来年のカレンダーに掲載されるように頑張るよ」と笑顔を向けてくれる厩務員さんもいます。ファンにとっても関係者にとっても無くてはならないもの。何年か後にも大切に見返してもらえるもの。実用だけではなく、記録にも記憶にも残り、目標にもなる写真なのですね。
今回、両角カメラマンには突然の取材依頼にも関わらず、とても丁寧に対応していただきました。取材の合間には静かに読書するお姿も印象深いです。まもなく発行される2022年の南関東競馬カレンダーは11月30日(火)までプレゼントキャンペーン中!詳しくは南関東4競馬場公式ウェブサイト(https://www.nankan-calendar2022.jp/)まで。どんな写真が掲載されているのか、楽しみにしていましょう。