ホソジュンのウマなりトーク
第65回 滞在競馬の馬づくりは貴重な財産~秋競馬・ゴールドシップの本番は?~
2015.08.19
Tweet
夏競馬と言えば、食・温泉・競馬場に向かう旅路など、ローカルならでの楽しみがあります。また厩舎関係者にとっても、1つの厩舎に2~4厩舎が同時に入ることもあり、他厩舎の仕事振りやカイバなど、いろいろな意味で違いや発見があり、担当者にとっても勉強になることが多い様子。
私も騎手時代には小倉や福島、新潟に滞在をしたこともあったのですが、その際には調整ルームが寮となり、日頃挨拶程度しかしなかった先輩騎手と食事をする機会が増えたことで、競馬や騎乗に対する様々な考えや心意気に触れた思い出があります。
また競馬に騎乗する馬の調教全てを厩舎から任せられる為、担当者との会話もより深くなり、馬の食事の食べ具合や精神状態、馬具の相談など、深く馬作りに参加できた記憶があります。そして今思えば、これが素晴しい財産。
しかし時間の短縮化が図られる現代社会においては、滞在する機会も減少されつつあり、環境が変わることで見えてくるもの、経験できることもあるだけに、ちょっと寂しさも感じます。
そして伝える側となり、フジテレビ「みんなのKEIBA」に出演させてもらっている現在、私の夏競馬の学びとなっているのが、井崎脩五郎先生との新幹線での車中の会話。いつも朗らかで、博学で、そして笑いのたえない先生は、人が人との間で生きる上での大事なことを、その立ち振る舞いや言葉で教えてくれる師のような存在。
そんな先生が、我が子ができた私にアドバイスして下さったのが、子供のオモシロエピソード日記。
「ヤッ君(先生の2番目の息子さん)2歳。買い物カゴにお菓子を入れる。愚妻が、ヤッ君そのお菓子家にあるでしょ、前に買ったでしょとたしなめると、これニイニイ(兄)の。と言う。帰宅後、何事もなかったかのように、自分1人で食べている」と。20数年たった今でも笑える話。心が満たされ、財産になるからと。
確かに、育児の大変さを忘れさせてくれる瞬間は、子供の変化や反応、そしてそれに伴う夫婦の会話なのかもしれないと感じるこんにち。
つい先日、初めてプールを体験した時も、「イヤ、イヤヤ」と言い、なかなかプール入り口に入ろうとしない1歳9ヵ月の息子。夫も私も、入り口先に立ち大丈夫だよと声をかけるのですが、なかなか歩こうとしない。待つこと5分ぐらいでようやく前へ進んだ息子の様子に、「なんだか馬のゲート練習みたいだよね」と夫に語りかけると、「うん。馬もそうだけど、強引に入れさせたり、促すよりも、納得するまで待ったほうが、最終的には1番時間がかからないことに繋がることが多いよね」と。
そして2日目。反応を観察すると、一瞬エントランスで立ち止まるものの、スイスイと歩き自らプール内へと入っていく息子の姿に、改めて馬のゲート練習に似たものを感じたのでした。
さてゲートと言えば、上半期を締めくくるGⅠ・宝塚記念で発走時に立ち上がってしまったゴールドシップ。
ゲート傍で見ていた私も、他馬がガタガタした時点から、お願いだから立たないでと祈るように見ていただけに、切られた直後には、携わってきた人々のことが頭に浮かび、胸が締め付けられ、思わず声を発してしまいました...。
今回は再審査後の先入れだったわけですが、ゲート試験をしたことにより、中間は精神的にイライラし、担当の今浪厩務員は、そのイライラ感を取り除く為、馬房前を人が通らないように同僚にお願いをし、協力してもらったり、ゴールドシップの様子によっては、あえて自分ひとりになる時間を提供したりと、かなり神経を使われてきました。
となると心配なのが秋競馬。練習と本番の違いを分かっているだけに、受からないということはないように思えますが、前回においても精神的な面での変化があったわけですし、ダメージがないとは言いきれない状況下、そして本番でどうなるのか?
上半期を終え、夏競馬真っ盛りの時期ではありますが、とても気になっている出来事です。
それでは皆さん、また来月お逢いしましょう。
ホソジュンでしたぁ。
私も騎手時代には小倉や福島、新潟に滞在をしたこともあったのですが、その際には調整ルームが寮となり、日頃挨拶程度しかしなかった先輩騎手と食事をする機会が増えたことで、競馬や騎乗に対する様々な考えや心意気に触れた思い出があります。
また競馬に騎乗する馬の調教全てを厩舎から任せられる為、担当者との会話もより深くなり、馬の食事の食べ具合や精神状態、馬具の相談など、深く馬作りに参加できた記憶があります。そして今思えば、これが素晴しい財産。
しかし時間の短縮化が図られる現代社会においては、滞在する機会も減少されつつあり、環境が変わることで見えてくるもの、経験できることもあるだけに、ちょっと寂しさも感じます。
そして伝える側となり、フジテレビ「みんなのKEIBA」に出演させてもらっている現在、私の夏競馬の学びとなっているのが、井崎脩五郎先生との新幹線での車中の会話。いつも朗らかで、博学で、そして笑いのたえない先生は、人が人との間で生きる上での大事なことを、その立ち振る舞いや言葉で教えてくれる師のような存在。
そんな先生が、我が子ができた私にアドバイスして下さったのが、子供のオモシロエピソード日記。
「ヤッ君(先生の2番目の息子さん)2歳。買い物カゴにお菓子を入れる。愚妻が、ヤッ君そのお菓子家にあるでしょ、前に買ったでしょとたしなめると、これニイニイ(兄)の。と言う。帰宅後、何事もなかったかのように、自分1人で食べている」と。20数年たった今でも笑える話。心が満たされ、財産になるからと。
確かに、育児の大変さを忘れさせてくれる瞬間は、子供の変化や反応、そしてそれに伴う夫婦の会話なのかもしれないと感じるこんにち。
つい先日、初めてプールを体験した時も、「イヤ、イヤヤ」と言い、なかなかプール入り口に入ろうとしない1歳9ヵ月の息子。夫も私も、入り口先に立ち大丈夫だよと声をかけるのですが、なかなか歩こうとしない。待つこと5分ぐらいでようやく前へ進んだ息子の様子に、「なんだか馬のゲート練習みたいだよね」と夫に語りかけると、「うん。馬もそうだけど、強引に入れさせたり、促すよりも、納得するまで待ったほうが、最終的には1番時間がかからないことに繋がることが多いよね」と。
そして2日目。反応を観察すると、一瞬エントランスで立ち止まるものの、スイスイと歩き自らプール内へと入っていく息子の姿に、改めて馬のゲート練習に似たものを感じたのでした。
さてゲートと言えば、上半期を締めくくるGⅠ・宝塚記念で発走時に立ち上がってしまったゴールドシップ。
ゲート傍で見ていた私も、他馬がガタガタした時点から、お願いだから立たないでと祈るように見ていただけに、切られた直後には、携わってきた人々のことが頭に浮かび、胸が締め付けられ、思わず声を発してしまいました...。
今回は再審査後の先入れだったわけですが、ゲート試験をしたことにより、中間は精神的にイライラし、担当の今浪厩務員は、そのイライラ感を取り除く為、馬房前を人が通らないように同僚にお願いをし、協力してもらったり、ゴールドシップの様子によっては、あえて自分ひとりになる時間を提供したりと、かなり神経を使われてきました。
となると心配なのが秋競馬。練習と本番の違いを分かっているだけに、受からないということはないように思えますが、前回においても精神的な面での変化があったわけですし、ダメージがないとは言いきれない状況下、そして本番でどうなるのか?
上半期を終え、夏競馬真っ盛りの時期ではありますが、とても気になっている出来事です。
それでは皆さん、また来月お逢いしましょう。
ホソジュンでしたぁ。