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第44回 苦手を克服して待望の勝利 リエノテソーロ スパーキングレディーカップ(JpnIII)優勝

2018.07.24
 7月5日、川崎競馬場で牝馬のダートグレード競走・スパーキングレディーカップ(JpnIII)が行われました。JRAから4頭、南関東所属馬9頭の計13頭で争われたレースを制したのは、3番人気の4歳牝馬リエノテソーロ(JRA 武井亮厩舎)でした。
 同馬にとっては2016年12月、同じ川崎競馬場で行われた全日本2歳優駿(JpnI)以来の勝利。2016年8月に札幌で新馬勝ちしてから、門別のエーデルワイス賞(JpnIII)、全日本2歳優駿(JpnI)など4連勝で突き進んだリエノテソーロでしたが、気性面での繊細さがあり、これまで力を発揮でいないままだったそう。今回は3コーナーで先頭に立ち、外から2着馬・オウケンビリーヴ(JRA)に激しく追いすがられても屈することなく先頭でゴール。レースから戻って来たリエノテソーロに、厩舎スタッフから「よく頑張ったね!」「並びかけられても大丈夫だった!」「いい走りだったね!」と次々と労いの声が掛けられていました。

 「能力のある馬ですが、なかなか結果を出してあげることができなくて苦しかったです。ここで勝つことができてとても嬉しいですね。ここまでのレースはメンタル面が敗因だと分析して、他馬からのプレッシャーに弱く、自分の力を出し切れなかったのではということで、普段の調教でそういう場面を作って克服して来ました。全日本2歳優駿の時もそうでしたが、ナイターが合うのか、地下馬道が無いもいいのかもしれませんが、今日はとても落ち着いていて、良いメンタルで出走できたと思います。3コーナーで来られた時はまずい展開かなと思いましたが、調教の成果なのかこの場所が合うのか何とかしのいでくれましたね」と武井調教師。

 時々耳にする「競走馬のメンタル面の克服」とはどういう方法で行うのだろう?と、素朴な疑問を抱いていたのですが、同じ状態を作って'大丈夫だよ''できるよ'と覚えさせていくのですね。そういえば、過去に「精神面での成長を促すのは具体的にどんなことをしていくのでしょうか?」と、某調教師さんに尋ねたことがありました。答えは「良い状態で走らせて自信をつけさせる」とのことでしたが、こういったことを思い出すと、やはり馬も人間と同じ「心」を持った生きもの、ひとつひとつ、毎日の調教の中で安心感や自信を培っていくことが大切なのだと改めて感じました。しかも、人と馬は共通の言葉を持たない者同士。そういう間柄で、ものごとを成し遂げていく競馬というものの魅力も再認識したレースでした。
 
 「勝つことができてホッとしました。先生からは、レースはいつも乗っている厩務員さんと相談してと言われていたので、今日はハナに行くつもりで行こうと思っていました。久しぶりのダートのせいなのか、いつものようなロケットスタートではありませんでしたが、二の脚の速い馬なのでいい位置につけることができました。3コーナーで有力馬にかぶせられたので必死に追いました。4コーナーを回った時にリードを保っていたので、いけると思いました。入れ込みの激しい馬ですが、厩務員さんがじっくり調教をしてくれているお蔭で今日は落ち着いていました。2歳の頃から成長段階が早くて、センスのいい馬でしたが、今日の勝利が復活のきっかけになればと思います」と語ったのは、勝利へエスコートした吉田隼人騎手。

 現時点でリエノテソーロの次走は未定だそうですが、今年の最大目標は11月4日(日)に京都競馬場で行われるJBCレディスクラシック(JpnI)とのこと。口取り撮影では、笑顔いっぱいの光りに満ちた風景が印象的でした。

 第44回 苦手を克服して待望の勝利 リエノテソーロ スパーキングレディーカップ(JpnIII)優勝の画像 夏休みシーズンとなり、南関東競馬でもいろいろなイベントが予定されています。大井とのリレー開催でも話題の浦和競馬では、8月20日まで「浦和競馬フォトコンテスト」を実施中。普段、私たちが取材時に気づかない風景や浦和競馬の魅力が見つかりそうで、どんな作品が集まるのか興味津々です。来年のJBCに向けて、工事で変わっていく風景を収めるのも記念になりそうですね。コンテストの詳細は、浦和競馬ホームページでご覧いただけます。
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