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南関フリーウェイ

阿部典子 南関フリーウェイ

第71回 校外学習で伝える「競馬場の役割」。

 新型コロナウイルス感染拡大防止措置を取りながら、競馬場に少しずつ観客の姿が戻ってきました。南関東競馬では大井・川崎・浦和に続いて、船橋競馬場でも10月26日からファンの入場が再開されるとのこと。各場ごとに入場できる条件や人数に違いはあるようですが、「応援するまなざし」が戻って来たことで、明るい気持ちになりますね。

 今回は、無観客競馬開催中の、ちょっぴり珍しい光景をご紹介しましょう。9月28日から行われていた船橋開催でのこと。通用門に向かっていると、普段の競馬場では見られない若い世代とすれ違いました。あれ?と思いながら進んでいると「校外学習はこちら」という案内の文字が。場内では、地元の中学生を招いての学習会が実施されていました。

 校外学習では、県内の施設を訪問して、その施設がどのような活動をし、どういった社会貢献をしているかなどを学ぶ目的があるとのこと。例年は、房総など少し離れた施設を訪れていたそうですが、今年は徒歩圏内に位置する船橋競馬場を訪問することにしたそうです。

 学習は、ひと班数名ごとの入れ替え制。資料や映像を見ながら、広報担当者からの説明を聞くという方式になっていました。せっかくの機会なので、許可をいただいて私も隅からそっと見学することに。

 資料には、「地方競馬のしくみ」「馬券の売り上げは何に使われているのか」「NAR交付金とは」「公営競技納付金とは何か」などなど・・・。なんとなくわかっていたような気がすることも、文字と数字でしっかりと明示されていると、「なるほど、そうなのね」と思う内容。他には、競馬場の歴史やスポーツ振興などのイベントを通じての、地域との連携が紹介されました。

 中学生にとっては、少し縁遠い内容だったかも知れませんが、普段なかなか交流を持ちづらい世代に向けて、「地方競馬の収益は、地域はもちろん社会にも貢献する財源の一部になっている」ということを伝える貴重な機会になったように思います。

 説明の後には、「3年くらい前から撮りためた」という映像で、調教風景や洗い場での馬たちの様子、厩務員の仕事、さらにはプレスでもなかなか観ることができない装鞍所の様子などを鑑賞。これは、競馬場らしさをストレートに感じてもらえそうです。この中で、ドローンを使って空から撮った、現在進行形のスタンドリニューアル工事の様子は圧巻。このような映像は、競馬場にとってだけではなく、地域産業の歴史の記録としても、大きな価値があるのではと思いました。

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 これらの映像は、時間の関係で、なかなか競馬場で流す機会がないようですが、今後、なんらかの形で全編を観られるようになれば嬉しいですね。

 最後の班の終了時間が近づいた頃、ちょうどパドックに1Rの出走馬たちが現れました。遠くからとなりましたが、その様子を目にした生徒の皆さんからは、「うわぁ!」「かわいい!」という歓声も。そういう反応はやはり嬉しいもので、もっと馬の素晴らしさ、競馬の魅力、馬たちに携わっている人々のこと、『縁起』などそこに息づく日本の文化、そこに宿る人々の思いを伝えたい!!と、気持ちが勝手に湧き上がるのを感じ、自分の心の中に若い世代に伝えたいことがあるんだな、と再認識。以前、厩舎見学会のナビゲーターを務めた時、「馬もあくびをするんですよ」と言うと「えー?!」と驚かれたことを思い出したりもしました。

 そういえば10数年前、ある大学で行われた市民講座で、JRAの調教師、競走馬の生産者、そして地方競馬の獣医師の方による講義を受講したことがありました。その時、獣医師の方がおっしゃっていた、「馬がいる場所があるということ、自分の暮らしている町に馬がいるということを大切にしてください」という言葉は、今も時々思い出しています。

 船橋競馬場は2023年の完成を目指して、大規模なリニューアル工事中。今回、校外学習で訪れた皆さんが大人になった時、新しい競馬場で「中学生の時に勉強に来たな」と思い出す・・・そんな未来が来るのを楽しみにしています。