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南関フリーウェイ

阿部典子 南関フリーウェイ

第90回 チーム益田 スピーディキックで南関東牝馬2冠達成

 5月11日、大井競馬場で3歳牝馬による東京プリンセス賞(SI)が行われました。日没時間も18時半過ぎとなり、メインレースが近づく黄昏時の場内には多数のファンの姿が。キッチンカーから漂う美味しそうな匂いや、明るく煌めくイルミネーションなど、制限付きとはいえ競馬場での楽しみが戻ってきた風景は「やっぱりいいな」と思うものでした。

 レースを制したのは1番人気に推されたスピーディキック(浦和)。桜花賞優勝時にこちらのコラムでもお伝えしましたが、藤原智行調教師、末田秀行厩務員、御神本訓史騎手の益田競馬場出身「チーム益田」での牝馬2冠達成となりました。

 ゴール後、左手の人差し指で「1(着)」を示し、会心の微笑みを浮かべた御神本騎手。戻って来る勇姿を撮ろうと待ち構えているプレスの前を通り過ぎると、そのままスタンド方向へ。そして、ファンの前で大きく右手を上げ、勝利の報告と応援への感謝の気持ちを示しました。その後、スピーディキックのたてがみを撫でて労い、ファンの拍手に送られながら検量前へ。予期せぬ感動的な場面は、ファンあっての競馬場だからこそ。それは、晴れやかでとても美しいシーンでした。

 2着には同タイムでクビ差のコスモポポラリタ(大井)、3着には0.2秒差でレディオスター(船橋)。上位3頭全てがホッカイドウ競馬出身という結果にもなりました。

 「着差が着差なのでシビアなレースだったのですが、陣営の仕上げとスピーディキックの底力で2冠を達成することができました。思ったよりも前目を取れたので、他の馬に惑わされずに自分の馬のリズムと有力馬の脚色を見ながらレースを進めました。有力馬が前にいた関係で早目に仕掛けざるを得なかったのですが、なんとか凌いでくれて馬に感謝しています」と御神本騎手。

 管理する藤原調教師は「御神本騎手への指示は『勝って来い』だけ。今日は前が止まらない馬場だったので、上手く乗ってくれたと思います。スピーディキックは本追切を終えてからも馬体重が落ちることなく、飼い葉もしっかり食べていて、いい感じで仕上がっていました」とのこと。

 「今日のスピーディキックは気合い乗りも良くてゲートも落ち着いていました。御神本騎手の話だと、道中気合いが良すぎたので、それを抑えるために一旦馬群に入れたと言っていました。終始脚を使ったかんじでしたが、凌げるのだから上積みが出ていると思います。前に行く馬を捕まえて、後ろから来る馬を凌いでいる。普通なら前を交わした段階で緩んでしまうのに、これはむちゃくちゃいい競馬していると思いました」(藤原調教師)。

アップ用_nf202205pic.jpg 気になるローテーションについては、6月8日に大井競馬表で行われる東京ダービー(SI)と、6月15日に川崎競馬場で行われる関東オークス(JpnII)のふたつの大舞台があげられました。「スピーディキックは操作性が高いから距離については万能だと思う。牝馬3冠を獲っているのはサトケン先生(一昨年急逝した船橋の佐藤賢二調教師 2006年チャームアスリープ)だけだし、浦和には3冠牝馬調教師はいないから、魅力が強いですね。ダービーももちろん魅力があるし、獲りたいという気持ちはあります。でも、去年、益田出身の厩務員(船橋 林正人厩舎 荒美厩務員)が担当するアランバローズがダービーを勝ちましたからね。僕にとっては益田出身の人間でどれだけ南関東の重賞を獲るかがキーポイントになっている(笑)」と益田への愛情と誇りを感じるコメントも。

 また、他陣営や自厩舎スタッフへのリスペクトが伝わってくる言葉も印象的でした。「スピーディキックだけではなく、みんな3歳になって成長もしているし、状態良く仕上げている。どの子も力をつけているのに、自分だけ勝てるとは思っていません。負けた時に言い訳をしたくない。勝った馬に申し訳ないから。自分は後悔しない馬を作って来ました。いつもスタッフが一生懸命やってくれていて、自分の厩舎には優秀なスタッフしかいないと思っています。なので、スピーディキック共々スタッフも応援していただければと思います」(藤原調教師)。

 ますます目が離せなくなったスピーディキックとチーム益田。この先も、しっかりと目に焼き付けましょう。