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第127回 「ライド・ライク・ア・ガール」 ~騎手や馬を題材にした数々の名画に想うこと~

2020.10.16
 「ライド・ライク・ア・ガール」もう皆さんは、ご覧になられましたか?
 第156回メルボルンカップを制した女性騎手ミシェル・ペインの物語。

 実は数か月前、京都馬主協会の会報誌「心ゆたかに」を担当される大橋さんから、次回は馬を題材とした映画を特集することになり、この映画の感想を是非ともホソエさんに書いてもらいたいとの依頼を受けました。

 日本では7月から公開されていますが、第156回メルボルンカップと言えば、日本馬フェイムゲームが1番人気に支持をされた1戦とあって、記憶に残っている方も多いことでしょう。しかもレースを制したのは最下位人気馬で単勝オッズは100倍超え。また勝利馬・プリンスオブペンザンスの母の現役時代は、栗東・松田国英厩舎の管理馬とあって、何かと日本との繋がりもある血。

 しかもこの映画は、単に男性社会の中で夢を成し遂げた女性騎手の歩みだけではなく、親が子を信じることの真意や、物事の本質を見抜くことの大切さが描かれており、騎手目線だけでなく、様々な視点や角度から心に響く作品となっています。

 コロナ禍で、映画館へ足を運ぶ機会が遠のいている方も多いことと思いますが、機会があれば是非ご覧になってはいかがでしょうか?

 ちなみに私は見終わった後、過去の自分と重なる部分もあり、騎手時代真っ只中の時が思い起こされる一方で、実話を題材とした映画では味わったことのない1つの疑問が残り、ある意味、新鮮な気持ちも混在。不思議な感覚を味わいました。

 それもあり、皆さんの心には、どのように映り、そして届くのか?興味を抱きます。

 さてこれまで騎手や馬を題材とした映画と言えば数多く、スッと頭に浮かぶのが、武豊騎手も出演をされた「優駿・ORACION」や、ばんえい競馬が舞台となった「雪に願うこと」、またアメリカの現役ジョッキーたちも出演した「シービスケット」は記憶に新しいところ。しかもこの作品で騎手役を演じたトビー・マグワイアは、乗馬と減量に時間を費やし作品に挑んだ経緯もあり、削がれた体と一回り小さくなった顔、そして馬上での美しいフォームに、現役騎手たちが、「一流騎手そのもの」と大絶賛した作品で、確かに見た目が、若き頃のオリビエ・ペリエ騎手と重なって見えるほどでした。

 他にも数多く存在する馬映画ですが、私のベストは、「モンタナの風に抱かれて」。俳優ロバート・レッドフォードの監督作品でもあるのですが、野外での乗馬中に事故に見舞われ片足を失った少女。そしてその事故をきっかけに暴れ馬となってしまった愛馬。都会でバリバリ働いていた少女の母親は仕事を中断し、娘と馬の心を救うため、モンタナにいる馬を癒す能力を持つカウボーイのもとへと向かうのです。

 しかし大自然の中で癒されるのは、娘や馬だけでなく母親自身でもあり、理性と感情の狭間で揺れ動く大人心にも胸が締め付けられます。これもまた、あらゆる角度から物事を考えさせられるステキな映画。こちらは20年以上前の作品とあってすぐにでも手に取ることができるので、ホームスティ―が多い今の時期、私も、もう一度見てみようと思っています。

 それでは皆さま、また来月お目にかかりましょう。

 ホソジュンでしたぁ。
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