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第171回 女性の社会進出~騎手時代の反省をふまえて

2024.06.18

 早6月。


 2024年も半分が終わろうとしていますね。「年をとると1年が早い」と言われますが、年々、スピードが増している感覚。特に今年は、お酒の席のお呼ばれやコンサート、お祭りに参加させてもらうなど、ありがたいことに様々な業種の方に声をかけていただける機会に恵まれ、仕事にプライベートにバタバタで、気づけば1日、いや1週間、1か月が終わっている月も。


 30年前、病みに病んで、1人、騎手の女子寮の部屋で涙を流しながら暴飲暴食をした日々が嘘のよう。


 あの時は、1日が48時間以上あるのでは?と感じるほど長かったこと…長かったこと。


 昔から、「若い時の苦労は買ってでもせよ」と言われますが、女性初の騎手候補生として、男性ばかりの社会に足を踏み入れた、あの当時が、若い頃の苦労というものなのかな?と、50歳を手前にして感じます。


 たまたま先月に、騎手を引退する際に、病院の立ち合いや補償に関する問題等でお世話になったJRA職員の方とご一緒する機会があり、「あの時の細江は、悲壮感の塊で…」と、見るに堪えない私の当時を振り返られていました。そんな私が、今、こうして競馬を伝える側となっている背景には、武豊騎手の、「せっかく競馬に乗ったのだから、競馬を伝える仕事をしてみたら。僕も協力するから」という助言から始まり、「あなたを騎手にさせてくれたのはJRA。でも騎手として貢献できなかったわけだから、これからは恩返しも含めて、競馬界の為に、できることをしなければ」という母の後押しもあり、ホースコラボレーターとしての活動を決意。


 その後、ゼロからのスタートとなる私に、長岡一也さんや鈴木淑子さん、井崎脩五郎さんが話し方や物事の考え方を指導してくださり、つたない私を見守り育てるかのように、イベント出演などのチャンスを作ってくださった競馬会職員の方々。


 そしてテレビ局のサポートと、その全てが、今の私となっており、1日がはやいと感じられる自分になっている状況に、皆さんに感謝の思いになります。


 ちょうど今、NHKの朝ドラ「虎に翼」が、日本初の女性弁護士の物語。主人公の抱えていた周囲と違う幼少期時代の価値観や、弁護士資格を手に入れるものの、女性というだけで仕事が与えられない現実など、職種や時代は違いますが、パイオニアという点から、騎手時代の自分と重なるところもあり、今月は、当時を思い出すと共に今に至るまでの経緯に周囲の方々の支えが思い出されました。


 また先月は偶然にも、同世代の女性弁護士さんと呑む機会があり、一昔前よりも女性の社会進出が増えているとは言え、意外にも、「女性の敵というか、女性に厳しいのは女性だったりもする」という意見も理解でき、いろいろなことを感じ、考えさせられました。


 それでは皆さん、また来月、お目にかかりましょう。ホソジュンでしたぁ。

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