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第4回 シンプルに分かりやすく

2009.04.01
 「地方競馬の格付けはよくわからない」という意見をよく耳にする。

 たとえば,中央競馬ならおおまかに「新馬」「未勝利」「500万」「1000万」「1600万」「オープン」と収得賞金により区分けされていてシンプルだし,勝ち上がり方式がわかりやすい。
 一方,地方競馬の格付けはというと,地区ごとに異なる。格付け基準表を基に,番組賞金でABCの格を定めている(絶対格)ところもあれば,「上から何頭がA,次がB」というような,相対格を用いている地区もある。さらに一組,二組,三組......,特選,選抜,選抜特別,特設など,番組の用語も難解だ。

 たとえば,南関東の場合はおおまかに言うと「格付け」と「未格付け」に分かれており,「格付け」はA1〜C3までの9クラス。そして未格付け,新馬となっている。格付けについては,上半期と下半期の格付け基準表があり,番組賞金(1〜5着の着賞金の合計)により決まる。着賞金の合計と,格付け表に記載された基準額で昇級,降級が決まるため,その辺りが「わからない」と言われる所以であろう。

 わからないついでに,「組」というものがある。たとえばC1なら,C1一組,二組,三組......と分かれている。ABCが基準表で決まる絶対格で,組はその中での相対的な格(相対格)である(であった)。以前はB1の上位12頭がB1一組,その次12頭が二組というように分かれていたが,ここ2年くらい,距離選択できるような番組に変わり,「組」の意味が変わっている。1200mが一組,1400mが二組,1600mが三組......のように,かつてのような格付け内での相対ではなく,距離別に便宜的な意味で使われるようになった。番組的には改善されたと感じるのだが,新聞社的には,一括で投票されるため分割レースが多くなり,ひじょうに面倒である。

 また,番組上でよく聞かれるのは「特選」「選抜」である。「特選」は特別競走に希望馬が多く,賞金的に足りていても出走できない馬が多数いる場合に,割り増しの賞金で組まれる競走。「選抜」はその名の通り選抜された馬が出られる競走だが,一部条件以外は選抜されている様子はなく,純粋に賞金上位馬を選抜している競走だ。

 さて,ここまでざっと説明したのはあくまで南関東であって,たとえばホッカイドウ競馬ならD級,高知ならE級まであるし,兵庫のオープンはS,2歳オープンはT,2歳一般はFとか,全く統一感がない。名古屋・笠松ならC級は三十組近くまであるし,地区によってはさらにその後にイロハが付くところもある。そもそも,中央競馬と成り立ちが違うわけで,基本的に競馬場ごとに主催者が違うから,統一されていないのだ。もちろん,JBBA会員をはじめ,我々業界内部ではそのことは理解されているが,ファンで理解されている方はまだまだ少ない。

 実は,地全協でも格付けの統一に関しては話を進めていて,既にある一定のところまでは合意しているようだ。いずれ発表があるだろうから,それを待ちたい。

 仮にそれが実現したとしても,課題も残るだろう。各競馬場で賞金額,在厩頭数が違うのだから,各地区ABCに統一しても,「南関東のA=どこかの地区のA」にはならないだろう。その競馬場や地区内では絶対格でも,全国的には相対的になるのではないか。もし全国的に絶対格にしたら,南関東以外にオープン馬は存在しなくなるだろう。南関東地区でも,浦和ではしばしばA1馬不在の時期がある。複数の競馬場でブロック化して,番組賞金加算額を調整しても,そういうことは稀に起こりうる。ゆえに,全国的に中身まで統一してしまうことは難しいだろう。

 難癖ばかり付けているようだが,目指す方向性は間違いないと思う。もう少し勝ち上がりがわかりやすければと思うが。ただ,今よりシンプルでわかりやすくなれば,もう少し馬券も買いやすくなるだろう。要はそこだと思う。

JBBA NEWS 2009年4月号より転載
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