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馬ミシュラン

小山内完友 馬ミシュラン

第5回 場外発売所は迷惑施設なのか

 地方競馬全国協会から,昨年1〜12月の地方競馬開催成績が発表された。全国の総売得金の前年比が99.4%。昨年後半の経済情勢悪化は,なんとか持ち堪えたように思うが,その後,つまり今年のことを考えると,早くも暗い気分になる。

 注目は場外発売,そして在宅投票の伸び。現在南関東の比率は本場2:場外5:在宅3と8割が競馬場外での売得。最も高いのはホッカイドウ競馬の92.6%で,本場の比率が5割を超える金沢と福山以外の主催者が,売得の50〜70%を競馬場外に依存している。また,全国的な傾向として,在宅投票は一日平均の売得で前年比20〜30%近い伸びを見せ,特に荒尾は65.5%も伸びた。

 在宅投票は,今やパソコンや携帯電話があればどこでも投票できるし,コンビニATMで即座に(銀行にもよるが)入金できる。記者等による予想や展望記事もあるし,各主催者や地方競馬全国協会等のバックアップにより,オッズや映像も見られる。あまりに便利過ぎて,なるほど本場にお客さんが来なくなるわけだ。

 一方,場外発売はどうだろうか。地方競馬の場合は,他の競馬場での場外発売が多くを占めていると思われるが,単体の場外施設もかなり増えてきている。船橋は比較的早い時期に新橋場外(ウインズ新橋)での発売を始めた。本場の伸びの鈍りを,場外や在宅で補う方法にいち早く着目した主催者である。この夏には木更津場外が,オープンする運びとなった。

 場外設置には,(1)地元町内会,地域の同意,(2)地元警察の同意と協力,(3)文教施設,医療施設に近い場所でないこと等の要件がある。(1)の部分が最大の難関で,ここがひとつのヤマ場。うまく住民との話し合いが進んでも,最近もあるボートピアが寸前でひっくり返されたように油断できない。今も全国各地で同じようなことが,同じように行われている。

 木更津場外にはわれわれも期待している。いわゆる空白地帯で,計画では会員数約1万人,利用者数1日約600人,年間20億円の計画。これは大きい。

 惜しむらくは会員制となったこと。会員制,定員制の場外はすでに数多くあるから,さほど珍しくはないが,たとえば,ハルウララのブームのような時,いちいち会員の申し込みをしてどうのこうのでは,せっかくの機会を逸してしまう。もちろん会員獲得の機会ではあるが。

 開設要望提出から4年。当然ながら,反対派による署名活動などもあったと聞くし,議会にも設置反対の要望書が提出された。場外誘致お決まりのパターンで,これが最大のネックとなっている。教育環境の悪化,青少年への影響,社会環境の悪化,治安の悪化,交通渋滞等々。各所の反対意見書を読むと,フォーマットがあるかの如く同じ文言が並ぶ。ある競輪場外の誘致反対要望書には「場外が出来ると地価が下がる」と書いてあった。それはさぞかし迷惑な施設だろうとは思うが,毎週何万人も集まり,大渋滞する東京競馬場周辺の地価は結構高く,この反対論は感情的で論理性に欠ける。

 自分はかつて東京競馬場の目の前に住んでいて,今はプロ野球の球場近くに住んでいるが,渋滞や混雑,大騒ぎしたりゴミを捨てたりするのは,あまり変わらない印象だ。汚い言葉で騎手や選手を罵る姿も変わらない。それがごく一部である点も変わりない。遅い時間に観戦帰りの中学生くらいの子が保護者なしでウロウロしている姿は,ナイター競馬では見かけないが,野球ではよく目にする。その方がよっぽど青少年健全育成に反する。

 反対要望書に書かれてあることは,それがスタジアムでも場外でも,実態を把握しておらず,結局のところは反対運動を「何かに」利用されているのだろう。よくある話だ。

 場外発売所は,新聞屋にとっては在宅投票よりも確実に新聞を手に取ってもらえる確率が高い。だからわれわれは期待もするし,増えて欲しいと願う。JRAのCMは,会社の仲間と競馬観戦に出かけるストーリーだ。在宅は確かに便利ではあるが,仲間とあれこれ語らいながら行った方がより楽しい。競馬場や場外発売所はそういう,楽しいハコである。決して地価を下げるような迷惑な施設ではないと思う。

JBBA NEWS 2009年5月号より転載