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第24回 当たり易いより高配当

2010.12.13
 本稿を執筆する際いつも後輩にざっと校正をお願いしているのだが,先月その後輩に「小山内さん,オチがありませんよ」と指摘された。普段から話には必ずオチをつけるようにと指導していながらこれは失礼。今月は先月号の続き。
 競艇の「2連勝ナイトフェスタ」が終了した。先月号で触れたフレキシベットとは真逆のアプローチであるが,結論から言えば大失敗に終わったらしい。「らしい」というのは,詳しい数字資料を競艇界のツテを頼って入手しようとしたのだが,すでに施行者の間では「黒歴史」として封印されているようで,入手できなかった。いずれ総括としては出さざるを得ないとは思うが。

 念のため切り抜いておいた日刊紙の結果から集計すると,最初の桐生は初回にしてG3開催ということもあり微増。しかし,蒲郡開催以降は大幅減という結果に終わった。本来なら切り抜いた数字を提示したかったのだが,比較すべき他の開催の結果に欠落があったりして,正確とは言えないため,数字自体は差し控えた。

 今回の「2連勝ナイトフェスタ」は3連勝の発売をしなかっただけでなく,スタート展示も行わなかった。恐らく,単に2連勝だけの発売にすると堅い配当が続くことを懸念したからだと推定するが,友人の競艇記者に聞くと,「スタート展示の廃止は影響したと思う」と言っていた。今のガチガチのスタート展示も選手の自由度を奪うだけにどうかとは思うが,ただそれ以上にファンは予想のプロセスの中で最重要視している傾向がある。であるからして,単純に組み合わせ数が少ない賭式にしたからといって,売り上げが下がるとは言い難い。結果的に施策としては,データを取るにはあいまいであったと思う。

 現在,南関東には単勝・複勝・枠連複・馬連複・枠連単・馬連単・拡大連複・3連複・3連単と9つの賭式がある。かつては自分もお客さんに選択肢を与えた方が良いという意見だったが,最近は1割にも満たない式別はもったいないし,少なくとも枠連は廃止してもいいのではないかと思っている。分散している掛け金を集中させ,配当を大きくした方が良いのではないだろうか。

 競艇でも実際の投票式別毎のシェアを見ると,3連勝,特に3連単が約半数。スタート展示も一緒に廃止した分確度は低くはなったが,当たり易さを追求するよりも,高配当を目指すべきだということが,ある意味確認できた。そんなことは言われなくてもわかっていることだが,裏付けがなければ根拠にはならないし,多大な犠牲を払ってでも実験してくれた競艇には感謝したい。

 そして,次なるターゲットが現れた。「小倉でミッドナイト競輪」である。

 ミッドナイト開催は高知競馬がナイター開催を始める段階で,候補のひとつとして挙がっていたものだ。競輪も以前からあった話である。一般的なナイター開催が終了する21時頃に1Rを行い,深夜0時前に最終レースを行う。原則無観客で行い,発売はインターネットの在宅投票で行うというものだ。

 映像はCSの競輪チャンネルやインターネットで視聴でき,オッズはネット投票の画面で提供される。その時間帯に他の公営競技は開催しておらず,独占状態である。既に10月28日にJKAより発表され,来年1月中旬より,小倉のメディアドームで行われる。

 これにより,開催経費の大幅な圧縮が可能となる。そりゃそうだ,お客さんが場内に居ないのだから。さらに競輪の場合はドーム競輪があり,周辺への騒音や照明公害などの心配も無用だ。

 競艇のスタート展示廃止と同様に懸念材料もある。1日7Rの2日制。深夜に行われるため,勝ち上がり戦で行っても,メンバーが翌日の新聞には間に合わないから,1レース完結で行うのだろうか? 競輪で一番面白いのは準優なのに。

 今でもその構想が生きているのかどうかわからないが,高知競馬はこの結果を見てから動いても何にも問題ないだろう。この時間帯をずらすレースとしては,今年の5月に芦屋競艇で始まった「サンライズレース」がある。通常より1~2時間ほど早く,1Rのスタート展示を午前9時5分に行う。これは非常に好評で,当初の予定より延長されている。

 どうやら紙面が尽きたようなので,オチはまた来月,ということになりそうだ。つづく。
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