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第33回 Red Alert Day

2011.09.14
 8月3日,大井競馬場で地方競馬初となる国際招待競走,第32回サンタアニタトロフィーが行われた。注目の海外招待馬は1頭。アメリカのレッドアラートデイである。
 レッドアラートデイは2005年生まれの6歳セン馬。父ディクタット(GB),母Strike Hard,母の父Green Desertという血統で,生産はイギリスのDarley。2005年から2008年まで船橋の川島正行厩舎に所属しニューイヤーカップなど5勝を挙げたコーラスマスター(GB)の下である。
 デビュー戦はニューマーケット。イギリスでは芝とオールウェザ-で15戦し,1勝2着3回3着7回の成績。その後2009年からはアメリカに転戦し,いずれも芝で5勝を挙げていた。通算35戦6勝2着5回3着10回。

 一応は,米英において芝のG1レース4着2回などの実績を挙げているわけだから,そこそこの成績という評価ではある。管理するのはダグラス・オニール調教師。オニール師と言えば,2003年にジャパンカップダートでアドマイヤドンとの激しい叩き合いをハナ差制したフリートストリートダンサーをご存知の方も多いと思う。

 フリートストリートダンサーも,このレッドアラートデイもクレーミング競走で手に入れた馬。しかも,レッドアラートデイは前走で買った馬で,調教師も馬主もサンタアニタトロフィーが初戦という。那須の教養センターで輸入検疫を終え,大井競馬場の滞在馬房に入厩したレッドアラートデイ。早速,語学堪能な弊社の精鋭トラックマン(一番得意なのはタガログ語だとか)が取材に赴いたが,「うちの馬は勝てるのか?」と逆質問される始末。しかも,聞けば色々なところで逆取材をしていたらしい。

 現場もなかなか大変だが,中(編集部)も大変。まず,一番最初に競馬場からリリースされた成績が,ひじょうに怪しい出来映えだった。こちらも競馬場との日頃の親密なお付き合い(笑)の甲斐あって事前にどの馬か聞いていて,弊社精鋭馬柱部隊に事前に馬柱を組ませていたから,とりあえず異なる部分はすぐ見つけることが出来た。

 さすが精鋭部隊。通過順や寸評はRacing PostやEQIBASEでひとつひとつビデオを見て,丹念に丹念を重ねて,かつ彼らのポリシーなのかどうかは知らないが,「条件戦」で済ませることなく,クレーミングやアローワンスなど,キッチリ書き込んでいった。

 何でも初めてのことは色々と大変なことが多いものだが,とりあえず自分で成績も調べずに「くれくれ」言うのはやめて欲しい(笑)。

 「くれくれ」の次は「どーなの?走るの?」の嵐。どのみち成績を見たところで走るかどうか分かりやしないし,「芝とオールウェザーしか走っていないから」とか「右回りの経験が~」というのは,我々新聞屋が書くことない時に使う言葉。見るのが一番,ということで見に行った。

 第1印象は「いい体してるなあ,厩務員(笑)」だったが,馬は特別凄いというほどではない。そのうち馬場に入って歩き,そしてついに,キャンターに入った......。
 「前に進んでねぇ......」
 無印が決まった瞬間だった。
 
 レース当日は一時1番人気に推されていたものの,最終的に7番人気。予想通りというべきかスタートで躓き,9~10番手あたりを進んだが,レースでは見せ場もなく,完走15頭中最下位という結果に終わった。
 トルヒーヨ騎手も「プレイステーションでトレーニングした(笑)」という初めての右回りも,そつなくこなしたようには見えたが,馬が砂を被ってひるんでしまってはどうしようもない。「ダートがうまくハンドルしていなかった(トルヒーヨ騎手)」というのも,全く調教通りであった。

 競馬は上記の通りであったが,当日はいつものサンタアニタ競馬場関係者に加え,今年はルース駐日アメリカ大使が来場。場内のBBQやターキーなどに多くのファンが行列を作っていた。

 いつもと同じメンバーでいつもと同じ競馬が行われがちな地方競馬だが,たまにはこうして謎の外国馬が現れるのも悪くはない。
 筆者も◎▲○で決まり,「外国馬恐れるに足らず!」などと言い残して,夜の大井町に消えていったらしい。
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