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第75回 『がんばれ船橋競馬!』

2015.03.18
 昨年1~12月の地方競馬開催成績がまとまった。(JBBA NEWS 2015年2月号33ページ参照)ばんえいを除く地方競馬の総売得金額が前年比105.9%、1日あたりの平均が前年比107.1%。やはりIPATの威力は凄いとしか言いようがない。
 金沢競馬は前年を割っているが、JBCが行われた翌年だけに仕方のないところ。その他では南関東が全体的に伸び悩んでいるように見える。特に船橋競馬は1~12月の総売得が98.1%、1日平均は辛うじて100.0%であった。総売得で約12億円のマイナスだが、降雪の影響で中止した2月10日と、JRAとのバッティングを避けた3月21日の開催取り止めが影響した感じだ。

 船橋競馬は長らく大井、川崎に続く南関東3番手のポジションが定位置だったが、ついに入場だけでなく、1日あたりの売得でも浦和競馬に抜かれてしまった。

 かつてはアブクマポーロやアジュディミツオー、フリオーソなど地方競馬屈指の強豪馬と石崎隆之、桑島孝春などの名手がいて、今でも昨年の年度代表馬サミットストーン、騎手も昨年の南関東綜合リーディングの森泰斗騎手や、浦和リーディングの左海誠二騎手がいるように「売り上げは大井だが、馬と人は船橋」などと言われた伝統?は健在である。やはり馬は船橋の馬が強い。

 我々が業務で競馬場と関わるのは主に番組班である。南関東4競馬場は競馬番組を調整して、馬資源をうまく共有して開催しているが、船橋の競馬番組は良く言えば保守的である。南関東は格付け基準表による絶対格で、その時々で各クラスの層が厚くなったり薄くなったりして、出走数にバラつきが出てくる。例えば大井なら事前に希望を聞いて出走希望が多い番組を増やしたり、分割競走を組んだり、フルゲートを増やしたり、柔軟に対応している。しかし船橋競馬の番組は番組表を重ねて透かして見ると、毎開催ほぼ同じである。地元の抽選もれが生ずれば、当然のように出馬が遅くなる。地方競馬全国協会ホームページに出馬表がアップされる時間は、船橋競馬がダントツに遅い。登録馬の発表も遅く、昨年のかしわ記念は展望記事が書けなかった。それらの改善が、派手なイルミよりももっと大事なファンサービスだ。

 また、メインレースなど売れ筋となるB2以上のレースが少頭数で組まれることが多く、売り上げ的にもったいない状態が続いている。かつて少頭数のメインを頻繁にレース変更していたが、場間場外発売される競走はレース変更しないという新聞社との決め事を反故にしたり、プレゼンターが来場する予定のレースを変更しようとしたり、そういった過去の出来事の反動かもしれないが、相変わらず出走希望を事前に集めて番組を組むこともなく、土壇場の営業活動が多い。むしろ出走数が増える冬場にフルゲートを制限するなど、迷走しているという印象が強い。

 昨年から今年にかけてはミス連発で、東京湾カップでゼッケンの馬名を間違ったり、9月のJRA交流で出走資格のない馬を受け付けたり、年が明けて今年1月には負担重量を間違えて出走させたり、未遂に終わったが再び2月のJRA交流競走で出走資格のない馬の登録を受け付けたり、我々も常に緊張して臨んでいる状態だ。

 記者や業者が集まると何か起こる度に、県の人事が良くないのではないか、という話になる。同じく県からの派遣が多くを占める川崎競馬は、かつて競馬場に派遣された人が、偉くなって再び戻ってくる。しかし、船橋の場合は数年派遣されたらほぼ戻ってこない。偉い人も「競馬場は初めて」という状態だ。今でも付き合いのある、かつて競馬組合に派遣されていた県職員の方も「希望を出しても異動しないですねえ」と言っている。経験者をもっと活用するべきだろう。

 今年6月15日から、いよいよナイター競馬がスタートする。2月に入り、調教用と開催用の照明テストが行われた。年々減少している本場入場者回復の起爆剤と期待されているが、かつて音響機器が壊れて開催取り止めとなったり、レースの映像が場間場外に流れなかったりしたこともある船橋だけに、ナイター開催中に照明が消えるなどの大きなトラブルが起きぬよう、万全の体制で臨んで欲しいと願っている。もちろん、我々も新聞を売っている出入り業者だけに、そんな事は起こって欲しくない。ナイターに向け、今が船橋競馬の頑張りどころだろう。
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