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馬ミシュラン

小山内完友 馬ミシュラン

第89回 『記録で見る菜七子フィーバー』

 中央競馬で16年ぶり7人目となる女性騎手、藤田菜七子騎手が3月3日、中央競馬よりも先に地方競馬の川崎競馬場でデビューした。

 中央所属の騎手が中央競馬よりも先に地方競馬でデビューするのは武英智騎手(1999年3月1日、高知競馬3R8着)、高野和馬騎手(2004年3月2日、高崎競馬7R1着)に続き3人目。当日の川崎競馬場は平日にもかかわらず、パドック脇の第2入場門に300人のファンが並び、最終的には入場者7,214人、1日約10億6,000万円と、重賞当日並の売上となった。取材も67社150人以上が押し寄せ、取材エリアが大幅に制限される厳戒態勢。

 初騎乗となった1Rは浦和のコンバットダイヤ(浦和・工藤伸輔厩舎)に騎乗。工藤調教師が夜なべして縫ったというメンコを被った同馬は単勝5.6倍の2番人気に推されたが、道中4番手を進んだものの、3コーナー過ぎからジリジリ後退。デビュー戦は8着に終わった。

 この日は合計6鞍に騎乗し、2着1回、3着1回。5Rでは後方から追い込み2着となり、初連対を果たしている。南関東は馬券に馬名と騎手名が印刷されるため、記念馬券が良く売れた。

 3月5日、中山競馬2Rで中央競馬デビュー。3番人気に推された自厩舎のネイチャーポイントに騎乗し、2着と健闘する。女性騎手の初騎乗としては、牧原由貴子騎手の初騎乗となった1996年3月2日中山競馬1Rの4着を上回る記録となった。

 藤田菜七子騎手が騎乗したレースでは、単勝の票数が通常よりも1~2割増、最終レース後の会見には武豊騎手が乱入? "菜七子フィーバー"の1日となった。

 3月15日は高知競馬で騎乗。別府真衣騎手との女性騎手対決に注目が集まった。この日は6鞍に騎乗し、エメラルドビームとメトロノースの3着が最高。注目の女性騎手対決は4鞍あり、2Rと12Rで藤田菜七子騎手が先着し、3Rと4Rで別府真衣騎手が先着している。

 この日も2,660人のファンが来場、前年の黒船賞(JpnⅢ)が1,588人であるから、67%増。売上も約6億円と、通常の平日の倍であった。

 3月20日には中山でスプリングステークス(GⅡ)に騎乗し9着。デビューから14日目で重賞競走初騎乗は、細江純子騎手のデビュー142日目での重賞初騎乗記録を大幅に上回る中央所属女性騎手最速重賞騎乗記録である。

 3月24日には浦和競馬場で騎乗。この頃には入場も4,988人、取材陣も36社66人とひと段落ついた感じ。当日は7鞍に騎乗し、3Rではアスキーコードに騎乗。スタートで飛び出してそのまま逃げ切り、デビュー36戦目(中央22戦、地方14戦)での初勝利となった。中央所属女性騎手の最短初勝利は西原玲奈騎手がデビュー9戦目に挙げている。また、中央所属騎手の初勝利が地方競馬だったのは、記録が残っている限りでは岩崎祐己騎手、高野和馬騎手に続く3人目ということになる。

 続く6Rでもウインアンビションで差し切って連勝。1日2勝は中央所属の女性騎手としては史上初である。ご存知の通り、初勝利のゼッケンが盗まれるなど、悪い意味での"菜七子フィーバー"でも沸いた浦和競馬だったが。

 地方競馬で初勝利を挙げたあとは、やはり中央競馬での初勝利が待たれる。

 4月10日、福島競馬9R4歳500万下ダート1150mでサニーデイズに騎乗。2番手を進み、直線で先頭に立ち抜け出すと、猛追するストロングトリトンに1馬身3/4の差を付け、デビュー51戦目で念願の中央競馬初勝利を挙げた。中央競馬で中央所属の女性騎手が勝ったのは、2004年6月20日、福島競馬7Rで牧原由貴子騎手がダイワメンフィスで勝って以来、実に12年ぶりとなった。

 注目度の高さゆえ、なかなか結果を出せずに悩んでいたようだが、これで初勝利の呪縛から開放されて乗れるだろう。

 さて次なる記録は?やはり中央所属女性騎手初の重賞勝ちと、増沢(牧原)由貴子騎手の持つ中央競馬通算34勝の更新に期待したい。