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第124回 『夕刊便』

2019.04.24
 2月上旬、1都3県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)の競馬新聞前日(金曜、土曜の午後)配送地域が縮小された。実は1月に北関東4県(茨城県、栃木県、群馬県、山梨県)の配送地域が大幅に縮小されたばかりだった。
 それによって北関東の多くの地域で競馬新聞が前日に届かなくなっていて、それに追い打ちをかける格好だ。
 
 新聞の配送便には朝刊を配送する朝刊便(午前2時~6時ぐらい)と、夕刊や競馬新聞、夕刊娯楽紙を配送する夕刊便(12時~16時ぐらい)がある。そのうちの夕刊便が大幅に縮小。その便を手配してコンビニエンスストアや売店に配送しているのが即売と呼ばれている取次業者である。その業者が配送便を廃止したのである。
 
 この流れはかなり前からあって、例えば山梨県は今回甲府市と笛吹市のみ前日配送で、ほぼ県全域が朝刊便のみ、または配送自体無くなっている。配送費の高騰、ドライバー不足、それがジワジワと我々のところにまで及んできた。
 
 業者にとっても夕刊便を廃止すれば多少なりとも減収になるはずだが、それでも敢えて廃止したということは、それだけ配送経費と比較して合わなくなってきているからに他ならない。我々版元にとってこれは大損害である。2月の1都3県の縮小は大ダメージである。なにせ東京都約170店舗、神奈川県約260店舗、千葉県約690店舗、そして埼玉県約960店舗。合計約2,000店舗以上の売店が前日配送されなくなるのだ。
 
 弊紙もそれほど売れているわけではないが、毎週各売店で平均1部以上は売れていたわけだから、ざっくり毎週4,000部減ったとすれば、もう立っていられないぐらい眩暈がする。
 
 前日配送されない地域も多くは朝刊便で配送されるため全く届かなくなる訳ではないのだが、当日朝に届いたところでレース検討の時間も少ないだけに、特に毎週欠かさずに競馬新聞を買う上級者にとっては意味がない。
 
 夕刊便廃止直後は、そこそこ「新聞が来ない」という問い合わせがあった。多くの、と書けないところが実に寂しい限りだが、そうでなければ夕刊便が廃止されるはずもなく、それが現実だと受け止めるしかないのである。
 
 ところで色々と誤解されている面もあるようだが、今回夕刊便が廃止された地域は北関東4県と、首都圏の1都3県で、実は北海道・東北・信越方面はこれまで通り前日配送されている。つまり、関東の業者が夕刊から撤退したのであって、他の地区はこれまで通り配送される。
 
 であるから、県境にお住いの読者さんは、隣の県に行けば普通に前日に手に入る地域が存在する。さすがに群馬県のみなかみ町にお住まいの読者に「三国峠を越えて新潟県の湯沢町に行けば売っていますよ」とは言えないけれど、隣町ぐらいの感覚であればそういう手もある。
 
 代替手段として今イチオシなのが、コンビニプリントである。コンビニエンスストアにあるマルチコピー機で、競馬新聞が購入できるのである。スタートは地方版で数年前から徐々に部数を伸ばしてきていて、中央版もスタートさせた。
 
 元々A4サイズのPDF版を制作していたので、それをそのまま転用できたのだが、レース単位に編集しているので使い勝手はいい(と思いながら毎日編集しています)。さすがにテスト以外で自社の新聞を買うことはないが、他地区の新聞はよく購入している。各紙紙面構成は様々で、紙面をそのままコピーしたようなものから、レースごとに編集し直したものまで。割り付けも工夫されていて勉強になることが多い。
 
 つい5年くらい前なら、現地に行くか、現地の新聞社さんにFAXしてもらわなければ手に入らなかったものが、近所のコピー機で手に入る。何よりもその便利さを実感する。さらにはRacing Postなど海外の新聞も手に入るのは、隔世の感がある。
 
 当初ローソンとファミリーマートの約30,000店舗でスタートしたコンビニプリントも、この3月からはセブンイレブンでもスタートし、販売店は約50,000店舗に増えた。これまでは地域によっては空白地域に近いところも存在したが、これでほぼ全国をカバーできるようになった。特に西日本地区でも発売出来るようになったため、販売エリアが広がったことは大きい。
 
 商品としてみればまだまだ改善の余地は多いのだが、冊子的な使い方も出来、可搬性も高く、電源や通信が必要ないだけに、在宅だけでなく、競馬場、場外のファンにも広がれば、と思っている。
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