JBIS-サーチ

国内最大級の競馬情報データベース

第142回 『在宅環境の充実を』

2020.10.26
 少しずつですが、競馬場や場外発売所の入場が再開し、それにともない新聞の販売も再開となりました。コロナ以前の売上にはまだまだ全然全く届きませんが、それでもいきなり全開というわけにもいかないでしょうし、まずは復活への第一歩、と前向きにとらえて日々過ごしております。

 さて、無観客競馬の期間中は在宅投票のパワーばかり注目されていましたが、それを支えていたのはレース映像の提供でしょう。特に中央競馬は「グリーンチャンネル中央競馬全レース中継」の無料放送という、ある意味掟破り(掟はないけど)を繰り出しました。この効果は身の回りを見廻しても凄まじいものでした。

 弊社東京本社では、編集部など3台契約しているのですが、それ以外の部署(経理、営業、印刷などの業務部門。社長室は不明)でも終日グリーンチャンネル(BS)でレース映像が流されて、業務部門も競馬が大好きな社員揃いの弊社だけに、普段見られない午前中のレース(つまり仕事のピーク)も流れ、朝から全く仕事に手が付かない者が現われるなど、いい迷......、いや、絶大な効果を発揮したのであります。

 これまで中央競馬は、テレビにしろ、ネットにしろ、全レースをリアルタイムで観戦しようとすると何かしらの契約が必要だっただけに、テレビ放送の利便性などもあり、通常に戻った時には視聴者獲得の面でも、「お試し効果」が発揮されるのではないかと予想しています。

 「レースを観ることが予想向上には一番」と入社以来何度も言われてきていますが、それはその通りで、レースこそが最高の予想資料。それにお客さんが気付いたら、我々もいよいよ商売替えを検討しなければならないかもしれません。

 一方、地方競馬はネットの無料放送が充実しており、地上波の全レース(に近い)放送も競馬場によってはあるため、キャンペーン的に行うことはあっても、基本的に衛星放送は有料です。そちらの方は専門紙記者による解説が売り、ということになるのですが、場内放送にパドック解説が付く競馬場や、展望や回顧まで行う競馬場もあり、我々にとっては貴重な収入源でもあります。

 ある新聞社では、その出演料をプールして、泊まりで忘年会を行うなどしているようです。

 コロナ以前も、例えば大井競馬場の東京MXテレビが放送されているモニターには多くのファンが集まっていました。聞くとやはり専門紙記者の解説が目的のようで、難易度の高い大井競馬だけに、何かしらのヒントを場内のファンは求めているのでしょう。

 筆者の行動パターンだと、会社にいる前半はテレビで観ることがほとんどで、後半レースは競馬場で観ることが多いです。現場に行けばタイムも表示されているし、ラップも取ることが出来るのですが、中継だとタイムが表示されないし、ラップを取ることも難しい現状。特に最近は正面からの映像や、より迫力ある映像(つまりアップ)が多く、ハロン棒が映らない事が多く、業務的には映像だけでは情報が足りません。たとえば中央競馬だと5ハロンのタイムが表示されたりしますが、中継に限らず地方競馬の映像は、ペースやラップよりも、(映像としての)見た目のインパクトがまだまだ重要視されているような傾向を感じます。

 もちろん、馬券、あるいは特定の馬を応援する目的のファンも観る映像ですから、我々のような業務目的とは求めるところが違うとは思いますが。海外のレースだと、ラップやグニュグニュ動く展開図があって、あれはあれで便利な反面煩いので好きではないのですが、地方競馬もファンサービス(業者サービスも)という面では、ラップや全体の展開図を中継映像に載せても良いのではないかと思います。というか載せて欲しい。

 場によっては、例えば高知の橋口アナウンサーは、1コーナーの通過タイムを言ってくれるので、これによってペースの速い、遅いの比較が出来ます。発馬の旗が見えれば自分でも取れるのですが、場によってクセもあって、なかなか一致しないことが多いだけに、常に同じ位置から観ている人が言ってくれるのは、正直ありがたく感じます。

 パドック映像もかつてはスタンドの高い位置から俯瞰する映像がほとんどで、手前側だとなんだかよく見えなかったのですが、最近はより低い位置にカメラを置く競馬場が増え、より競馬場にいる感覚に近づきました。

 在宅投票の増加はコロナ以前からの傾向でもあり、在宅環境の充実は映像とリアルタイムの情報がカギになるでしょう。
トップへ