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第146回 『優秀馬選定委員会』

2021.02.25
 1月7日、地方競馬全国協会本部に於いてNARグランプリ2020優秀馬選定委員会が開催された。
 優秀馬選定委員の任期は2年。今回も全国公営競馬専門紙協会からの推薦で、立派な辞令をいただき、2年間務めることとなった。

 我々専門紙協会に与えられた2票。基本的には各委員に任せられてはいるが、この大切な2票を有意義なものとするために、毎年各地の記者にご意見を伺う機会を設けているのだが、時節柄今季は会合を自粛し、委員に任された。

 基本的に地方競馬の重賞レースや注目レースは全て映像を観ているのだが、やはり年初頭のレースは記憶が薄れていることも多く、年末近くになる頃にあらためて見直し、ある程度の「あたり」を付けている。その後ピックアップした馬やレースを、事前に配布される資料と照らし合わせ、絞り込んでいる。

 今年意見が割れそうだ、あるいは難航しそうだと思ったのは2部門。まず2歳最優秀牝馬、そして3歳最優秀牡馬であった。

 まずは2歳最優秀牝馬。事前の予想ではエーデルワイス賞(JpnⅢ)を制した北海道のソロユニットと、地方全国交流のローレル賞と東京2歳優駿牝馬に勝った浦和のケラススヴィアの2頭。委員会でもこの2頭に絞られ、やはり意見が割れた。

 優秀馬選定委員会は原則タイトル重視。その観点からすればソロユニットだが、この2頭は暮れの東京2歳優駿牝馬で直接対決し、ケラススヴィアが1着、ソロユニットは8着に敗れている。

 ケラススヴィアは、間違いなく今年の南関東牝馬クラシック路線の中心となる馬で、2歳最優秀牝馬の資格は十分である。しかし、今年のこの2頭はそもそもカテゴリーが違うと感じていた。

 ソロユニットの父アジアエクスプレス(USA)産駒の勝利は1600m以下。半姉アザワクも勝ち鞍は1000mのみ。馬体もまだ成長途上としても、スプリンターとみた。

 ケラススヴィアもサウスヴィグラス(USA)産駒で、こちらの方はマイルでもまだ余裕があり、1800mぐらいまでなら大丈夫そうな感触。ならばタイトルが決め手ではないかと。

 挙手による採決の結果、ソロユニット6票、ケラススヴィア5票で、ソロユニットが2歳最優秀牝馬に選出された。

 次が最難関と予想された、3歳最優秀牡馬、せん馬部門である。

 このカテゴリーは毎年苦労する。候補馬の中から絞られたのは4頭。東京ダービーを勝ち、東京湾カップ2着の船橋のエメリミット。ジャパンダートダービー(JpnⅠ)で地方馬最先着の4着と、京浜盃に勝った船橋のブラヴール。地方競馬全国交流のダービーグランプリに勝った岩手のフレッチャビアンカ。そして地方競馬全国交流の楠賞に勝ち、古馬相手の兵庫ゴールドトロフィー(JpnⅢ)で5着した船橋のサロルン。

 サロルンは52キロの兵庫ゴールドトロフィーで持ち前の瞬発力が生かせず5着。フレッチャビアンカは古馬相手の桐花賞で、エンパイアペガサスはともかく、手応えの悪かったヒガシウィルウィンに差し返され3着と、ともに物足りない内容。

 エメリミットかブラヴールか迷ったが、スタートはひと息だが、京浜盃、羽田盃、ジャパンダートダービーと常に上がり最速で自身の力を出し切り、グレード競走でも最先着の4着だったブラヴールを推した。

 挙手による採決は、エメリミット4票、ブラヴール3票、フレッチャビアンカ2票、サロルン1票、棄権1票と割れ、過半数を得た馬がいないため、上位2頭による再採決に。

 2回目はエメリミット、ブラヴールいずれも5票。同数のため規定により委員長が投票することに。結果、東京ダービー馬エメリミットが3歳最優秀牡馬、せん馬に選出された。

 該当なしが許されないため投票棄権が生じ、2度の採決、最後は委員長の1票で決まったように、この部門は難しかったが、結果的に勝ったレースが選出の決め手であったことは幸いだったかも。

 他の部門については既に発表の通り。年度代表馬にはJBCスプリント(JpnⅠ)を制したサブノジュニアが選出された。

 残念ながら、現下の社会情勢に鑑みて、NARグランプリ2020の表彰式典は中止となった。受賞馬の関係者、並びに受賞者の皆様にお祝いを申し上げるとともに、再び競馬場が多くのファンで埋め尽くされる日が来ることを祈っている。そして3歳牡馬が頑張ってくれることも期待している。
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