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第162回 『南関クラシック展望』

2022.06.27
 今年の南関東牝馬クラシック路線は、当初よりスピーディキックが有力視されていた。エーデルワイス賞(JpnⅢ)に勝ち、有力馬が揃った東京2歳優駿牝馬では2着ヒストリックノヴァに4馬身の差を付け、初の左回り、小回りコースを不安視された桜花賞で不安を一掃し、単勝1.4倍の圧倒的人気に推された東京プリンセス賞も人気に応え、期待された通りに二冠を決めている。
 益田競馬場出身の御神本騎手、藤原調教師、末田厩務員の「チーム益田」も話題になった。

 一方で、スピーディキックが強すぎるが上に?別路線に活路を求める馬も。スティールルージュは桜花賞7着敗退後、短距離路線へ転向。1200mの若潮スプリント4馬身差快勝で、一躍優駿スプリント(6月28日、大井競馬場)の有力馬に挙げられるようになった。

 GRANDAM-JAPANの3歳シーズンに照準を定める陣営も多い。

 名古屋の若草賞に川崎のヤマイチリリー(7着)と船橋のラッキーミーティア(8着)が。佐賀のル・プランタン賞に船橋のケウ(1着)と浦和のクレウーサ(4着)。名古屋の東海クイーンカップには船橋のグラーツィア(1着)、浦和のスターオブケリー(2着)、同じく浦和のクレウーサ(8着)、大井のスポッテッドレイク(12着)が。

 東京プリンセス賞後も、園田ののじぎく賞に川崎のケウ(8着)と浦和のスターオブケリー(11着)。水沢の留守杯日高賞に船橋のグラーツィア(1着)、浦和のキックフリップ(9着)、川崎のササノハクズ(10着)、大井のササキンローズ(12着)と、のべ14頭が遠征し、3勝を挙げている。

 3歳シリーズのポイント順位は、最終戦の関東オークス前の時点で、1位グラーツィア(30ポイント)、2位スピーディキック(17ポイント)、3位ケウ(16ポイント)となっている。

 気になるのはスピーディキックの次走だ。レース後藤原調教師は「次走は東京ダービー(6月8日)か関東オークス(6月15日)」と。関東オークスには3戦3勝で伏竜ステークスに勝ったデリカダが出走を表明している。後に兵庫チャンピオンシップで2着(といっても勝ったブリッツファングからは8馬身差)したノットゥルノに勝っているし、1分52秒1のタイムはやや重ではあったが好タイム。両馬の対戦を観たい気もするが、さて陣営はどうするか注目している。

 仮にスピーディキックが東京ダービーへ、となれば、ポイント差からもグラーツィアにボーナス賞金400万円獲得の可能性がグッと近づいてくることになりそうだ。

 東京ダービーに出走するとなるとどうなるか。東京プリンセス賞のタイムは良馬場1分53秒5だった。やや重で行われた羽田盃は1分52秒4だったが、斤量差と馬場差を考えれば入着級といったところだろう。御神本騎手はシャルフジンに乗っていることもあり、乗り替わりになるかもしれない。

 牡馬の第一冠・羽田盃は9番人気のミヤギザオウがインコースからクビ差差し切った。クラシックトライアルで権利を取り損ねたが、そこは馬に無理はさせない森下調教師。間隔をとって羽田盃へ。新聞の談話は「東京ダービーの権利が取れれば」だったが、予定通り以上の勝利だった。これまで牡馬クラシックに縁がなかった真島騎手は羽田盃初勝利となった。

 羽田盃は前述のミヤギザオウが勝ち、2着13番人気のライアン、3着に1番人気のシャルフジンだった。1~5番人気が連対を外した年の東京ダービーは......と思って調べたら、なかった。

 近いのは2012年で、1着が8番人気のアートサハラ、2着3番人気のエミーズパダイス、3着が同着で、11番人気のプレティオラスと9番人気のジャルディーノだった。ではその年の東京ダービーはどうなったかというと、6番人気のプレティオラスが勝ち、2着3番人気のプーラヴィーダ、3着1番人気のエミーズパラダイス。羽田盃2・3着とJRAから転入初戦という組み合わせ。

 現在は転入初戦では東京ダービーに出走できないので、まったく同じ傾向にはならないが、カギはペースか。今年の羽田盃は前半1000mが59秒5、2012年は59秒3。60秒を切ったのは、実は2012年以来だった。顔ぶれから今年の東京ダービーでも1000m62秒を切るハイペースとなる可能性が高い。2012年のプレティオラスは発走直後のスタンド前では最後方だった。

 陣営にとっては波乱、ファンにとっては好配当。そんな東京ダービーが(勝手に)目に浮かぶ。
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