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第166回 『あれから23年』

2022.10.26
 凱旋門賞の季節がやってきた。今年は10月2日、日曜日。パリロンシャン競馬場である。
 1度だけ行ったことがある。1999年、モンジューが勝ち、エルコンドルパサー(USA)が2着の年。一緒に行った奥さんは、パリの街でお買い物とお食事。筆者は土日ロンシャン競馬場に入り浸り。

 一昨年、グリーンチャンネルの凱旋門賞中継を自宅で観るために急いで帰ってきて、テレビの前に陣取ったら、うちの奥さんがやってきて、何気なく「今年のディアドラは難しいだろうなあ」と言ったら、日本の馬って勝ってるの?とか聞いてきたので、まだ1頭も勝ってないと言ったら、「まだ勝ってないの!?」とおっしゃる。

 あれから23年、オルフェーヴルやディープインパクトでも勝てなかった血と汗と涙の歴史を、我々は知っているけど、うちの奥さんは知らないのである。

 99年エルコンドルパサー(USA)、10年ナカヤマフェスタ、12・13年オルフェーヴルと勝利を掴みかけたレースはあった。エルコンドルパサー(USA)は逃げて、最後の最後でモンジューに交わされ、ナカヤマフェスタは直線ワークフォース(GB)に並びかけるも交わすことが出来ず。

 12・13年のオルフェーヴルは2年連続でゴール前声が出た。残り200mで突き抜けたのに、急に内にもたれてソレミアに交わされた12年は「あ~っ!」。馬群に包まれ、ようやく前が開いて追いかけるもトレヴに突き放された13年は「あぁ」という感じ。そんな競馬ファンの夜を、うちの奥さんは知らない。

 レースへの臨戦過程も、数戦使って臨む方法、直前に1度馬場を経験させて臨む方法、ぶっつけで臨む方法。いずれの方法がベストなのか、競馬ファンや、マスコミ、関係者の中でも様々な意見が毎年のように語られるが、結論は出ていない。人間でも環境の変化に強い人、すぐお腹に来ちゃう人がいるし、現地滞在で臨んだエルコンドルパサー(USA)は、フォア賞の後フレグモーネになったり、ディープインパクトも直前に咳込むような症状をみせたり(その時の治療が後に失格に繋がったことはご存じの通り)、人それぞれならぬ、馬それぞれなのだろう。そんなことがあったのを、うちの奥さんは知らない。

 1969年のスピードシンボリから、これまで延べ29頭の日本馬が挑戦し(0-4-0-25)。もっとも、日本馬に限らず、欧州調教馬以外は勝っていないわけだから、勝てば初となるチャンスでもある。

 さて、今年はどうなるか。本誌がお手元に届くころには結果が出ていると思う。

 今年日本から出走する馬は、ステイフーリッシュ、タイトルホルダー、ディープボンド、ドウデュースの4頭。

 ステイフーリッシュはサウジ、ドバイで勝ち、ドーヴィル大賞2着で臨む。ディープボンドは昨年フォワ賞に勝ち、凱旋門賞は14着。2年連続の参戦になるが、今年はぶっつけで臨む。ダービー馬ドウデュースはニエル賞を叩かれ4着。そして古馬の総大将タイトルホルダーは初の海外遠征でぶっつけ本番。どれがベストの臨戦過程かは、前述の通り一概には言えない。

 バーイードが回避して、あるブックメーカーではルクセンブルグが1番人気、2番人気はアルピニスタ、3番人気が昨年の勝ち馬トルカータータッソ。日本勢はタイトルホルダーが上位人気に推されている。日本でもJRAインターネット投票で発売され、グリーンチャンネル等で中継される。

 JRAインターネット投票で発売されるようになってから毎回思うのだが、日本の競馬ファンは馬券が上手い。日本馬が結果を残せなくても、払戻金が安かったりする。筆者も日本馬を買わないいわゆる「非国民馬券」をよく買う方だが、応援馬券買いが多い単勝・複勝と違い、連勝馬券は「ガチ」なオッズが並ぶ。

 もちろん、日本馬を応援していないわけではない。昨年マルシュロレーヌがブリーダーズカップ・ディスタフを北米調教馬以外で初めて勝ったように、凱旋門賞も「いつかは」の期待は毎年持っているし、そろそろこの長い「悲願」に終止符を打つ馬が現れて、うちの奥さんに「日本馬勝ったよ」と伝えられることを望んでいる。

 凱旋門賞は日本時間10月2日、23:05分発走予定。グリーンチャンネル等で中継予定だが、その前に、GⅠスプリンターズSと、17時からは地方競馬中継で九州ジュニアチャンピオンとダービーグランプリも観て、馬券を購入して頂けると幸いです。
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