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第64回 「王道」

2016.07.12
 今年の日本ダービーには皐月賞の上位6頭がそろって出走していた。皐月賞馬ディーマジェスティ、2着のマカヒキ、3着のサトノダイヤモンド、4着に繰り上がったエアスピネル、5着に降着したリオンディーズ、6着のマウントロブソンだ。
 その結果、ダービーでは、どんなことが起きたか。優勝はマカヒキ、2着はサトノダイヤモンド、3着はディーマジェスティ、4着はエアスピネル、5着はリオンディーズ、そしてマウントロブソンは7着。

 皐月賞とダービーの両レースがそろって行われるようになった1939年以降で初めて、両レースの上位5頭がまったく同じ顔ぶれになるという結果となった。

 レース前、僕はインターネット上の情報を見て、皐月賞の上位6頭がダービーに出走するということに気づいた。過去30年で同じようなケースは8度あったという。1990年、1997年、1998年、1999年、2002年、2005年、2006年、2010年だ。

 この8度のケースでダービーに優勝した馬には、ある共通点があった。

 1990年アイネスフウジン(皐月賞2着)、1997年サニーブライアン(皐月賞優勝)、1998年スペシャルウィーク(皐月賞3着)、1999年アドマイヤベガ(皐月賞6着、1番人気)、2002年タニノギムレット(皐月賞3着)、2005年ディープインパクト(皐月賞優勝)、2006年メイショウサムソン(皐月賞優勝)、2010年エイシンフラッシュ(皐月賞3着)。ご覧のように、皐月賞出走馬がダービー制覇を果たしている。しかも皐月賞で3着以上になるか、4着以下に敗れていても1番人気になっていれば、ダービー馬になる資格がある。

 この「法則」を今年に当てはめると、優勝の資格を持つのは3頭に絞られた。ディーマジェスティ(皐月賞優勝)、マカヒキ(皐月賞2着)、サトノダイヤモンド(皐月賞3着、1番人気)。そして有資格の3頭がダービーの上位を独占してみせた。

 ダービー戦線の王道はやはり皐月賞組だ。その上位組がそろってダービーに駒を進めれば、ほかの路線から来る組にとって、相当高いハードルになる。

 ダービートライアルの青葉賞を快勝したヴァンキッシュランは、その勝ち方がよかったためダービーでは6番人気の支持を集めたが、結果は13着に終わった。京都新聞杯を完勝したスマートオーディンも5番人気になったが、ダービーでは6着。皐月賞6強の一角を崩しはしたものの、掲示板に載ることはできなかった。

 穴人気になった2頭のうち、ヴァンキッシュランの敗因はレース数のせいだと、僕は考えている。

 昨年7月に函館でデビューしたヴァンキッシュランは2歳時を3戦0勝で終えた。初白星を挙げたのは年が明けた1月の京都だった。続く2月の東京では1着でゴールしたが、走行妨害があったとして2着に降着となった。結果的に、この降着が痛かった。その後、アザレア賞(阪神)、青葉賞(東京)と連勝してダービーに駒を進めたが、ダービーが年明け5戦目というローテーションになった。

 近年のダービー馬の特長は3歳になってからのレース数の少なさだ。

 マカヒキは年明け4戦目で第83代ダービー馬に輝いた。2015年のドゥラメンテも4戦目、2014年のワンアンドオンリーは3戦目、2013年のキズナは4戦目、2012年のディープブリランテも4戦目、2011年のオルフェーヴルは5戦目、2010年のエイシンフラッシュは3戦目、2009年のロジユニヴァースも3戦目、2008年のディープスカイは例外的に多く7戦目、2007年のウオッカは4戦目でダービー優勝にたどり着いた。

 この10年のダービー馬の年明けの出走回数はダービー前まで平均3.1回だ。キャリアの早いうちに賞金を積み上げ、ダービーまで余裕を持ってレースを重ね、できれば皐月賞で上位に食い込む。これがダービーを優勝するための正しいやり方なのだ。ヴァンキッシュランのようにダービーの出走権を追い求めるようになってしまうと本番では厳しい結果が待っている。

 マカヒキは凱旋門賞に挑むことが発表された。ダービー馬不在の菊花賞はどんな結果が待っているだろうか。
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