第5コーナー ~競馬余話~
第65回 「新顔」
2016.08.10
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2016年中央競馬初の2歳重賞、第48回函館2歳S(芝1200㍍)は7月24日、函館競馬場で行われ、米国産のレヴァンテライオン(USA)が優勝した。個人的に注目していたバンドオンザランは9着、ポッドジーニーは13着に終わった。
バンドオンザランとポッドジーニーに注目していたのは2頭がこのレースに出走している新種牡馬の産駒だったからだ。バンドオンザランはスズカコーズウェイ、ポッドジーニーはストリートセンス(USA)を父に持つ。
今季の新種牡馬は好スタートを切った。
JRAで2歳戦が始まった6月4日、東京競馬場の新馬戦(芝1400㍍)でマイネルバールマンが快勝し、父ジョーカプチーノに初白星をプレゼントした。ジョーカプチーノ(父マンハッタンカフェ)は2006年生まれ。2009年のNHKマイルカップでは10番人気の低評価だったが、終わってみれば、レースレコードを0秒1更新する1分32秒4(東京競馬場芝1600㍍)の好タイムでGⅠレース初制覇を果たした。ほかにも2009年のファルコンS(GⅢ、中京競馬場芝1200㍍)、2011年のシルクロードS(GⅢ、京都競馬場芝1200㍍)と短距離重賞を制しており、高いスピード能力を産駒に伝えていきそうだ。ただ初年度の血統登録頭数は16頭、2年目は11頭、3年目の種付頭数は14頭と産駒数には恵まれていない。
6月11日には東京競馬場でストリートセンス(USA)の娘ロジセンスが新馬勝ちを収めた。翌日の東京競馬場ではルーラーシップの息子イブキが優勝、2着にもルーラーシップ2世のレジェンドセラーが入り、上位を独占した。
今年の2歳が初年度産駒となる新種牡馬は25頭を数える。このうち前記のジョーカプチーノ、ストリートセンス、ルーラーシップのほかにアイルハヴアナザー(USA)、リーチザクラウン、タートルボウル(IRE)、ディープブリランテ、サマーバード(USA)、キングズベスト(USA)、トビーズコーナー(USA)が中央競馬で勝ち馬を送り出している。
地方競馬では、このほかにスマートファルコン、フリオーソ、トランセンド、スズカコーズウェイ、トーセンホマレボシ、ヒルノダムール、エイシンアポロン(USA)が勝利を飾っている。7月半ば過ぎまでに25頭の新種牡馬のうち17頭の産駒が勝ち上がっているのだから大したものだ。「今年の新顔は優秀だ」ということになる。函館2歳Sに出走していたスズカコーズウェイ産駒のバンドオンザランは4月20日に門別競馬場であった今年最初の2歳戦で初勝利を挙げたホッカイドウ競馬所属の地方馬だった。
種牡馬の勢力図は1995年にサンデーサイレンス(USA)がリーディングサイアーに輝いて以来、サンデーサイレンス(SS)支配が続いている。サンデーサイレンスが13年連続で首位を守った後、2008年はSSの息子アグネスタキオン、2009年もSS2世のマンハッタンカフェが首位に立った。2010年と2011年はキングカメハメハ(父Kingmambo)がSS支配にストップをかけたが、2012年から現在までSSの最高傑作といわれるディープインパクトが君臨する。
今年の新種牡馬25頭の中にディープインパクトの後継であるディープブリランテ、トーセンホマレボシがいる。ディープインパクト2世が種牡馬デビューするのはこの2頭が初めてだ。
ディープブリランテは2009年生まれ。2012年のダービーでフェノーメノとの接戦をハナ差で制した。2011年10月のデビュー戦を白星で飾った直後に東京スポーツ杯2歳Sに挑戦。キャリア2戦目で重賞勝ちを収めた。同期のゴールドシップやグランデッツァ、ジャスタウェイなどと対戦した。ダービー優勝後、英国に遠征し、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(アスコット競馬場、芝約2400㍍)に挑んだが、8着に終わった。
トーセンホマレボシもディープブリランテと同期。ディープブリランテが優勝したダービーでは3着だった。ダービー直前の京都新聞杯では京都競馬場の芝2200㍍で2分10秒0というコース新記録で優勝した。この記録は今も健在だ。
日本中央競馬会が創立された1954年以降、父子3代でリーディングサイアーに輝いた例はない。その可能性があるとしたら、SS→ディープインパクトと続く父系だろう。今後の種牡馬勢力図を占う上で今年はひとつの節目になりそうだ。
バンドオンザランとポッドジーニーに注目していたのは2頭がこのレースに出走している新種牡馬の産駒だったからだ。バンドオンザランはスズカコーズウェイ、ポッドジーニーはストリートセンス(USA)を父に持つ。
今季の新種牡馬は好スタートを切った。
JRAで2歳戦が始まった6月4日、東京競馬場の新馬戦(芝1400㍍)でマイネルバールマンが快勝し、父ジョーカプチーノに初白星をプレゼントした。ジョーカプチーノ(父マンハッタンカフェ)は2006年生まれ。2009年のNHKマイルカップでは10番人気の低評価だったが、終わってみれば、レースレコードを0秒1更新する1分32秒4(東京競馬場芝1600㍍)の好タイムでGⅠレース初制覇を果たした。ほかにも2009年のファルコンS(GⅢ、中京競馬場芝1200㍍)、2011年のシルクロードS(GⅢ、京都競馬場芝1200㍍)と短距離重賞を制しており、高いスピード能力を産駒に伝えていきそうだ。ただ初年度の血統登録頭数は16頭、2年目は11頭、3年目の種付頭数は14頭と産駒数には恵まれていない。
6月11日には東京競馬場でストリートセンス(USA)の娘ロジセンスが新馬勝ちを収めた。翌日の東京競馬場ではルーラーシップの息子イブキが優勝、2着にもルーラーシップ2世のレジェンドセラーが入り、上位を独占した。
今年の2歳が初年度産駒となる新種牡馬は25頭を数える。このうち前記のジョーカプチーノ、ストリートセンス、ルーラーシップのほかにアイルハヴアナザー(USA)、リーチザクラウン、タートルボウル(IRE)、ディープブリランテ、サマーバード(USA)、キングズベスト(USA)、トビーズコーナー(USA)が中央競馬で勝ち馬を送り出している。
地方競馬では、このほかにスマートファルコン、フリオーソ、トランセンド、スズカコーズウェイ、トーセンホマレボシ、ヒルノダムール、エイシンアポロン(USA)が勝利を飾っている。7月半ば過ぎまでに25頭の新種牡馬のうち17頭の産駒が勝ち上がっているのだから大したものだ。「今年の新顔は優秀だ」ということになる。函館2歳Sに出走していたスズカコーズウェイ産駒のバンドオンザランは4月20日に門別競馬場であった今年最初の2歳戦で初勝利を挙げたホッカイドウ競馬所属の地方馬だった。
種牡馬の勢力図は1995年にサンデーサイレンス(USA)がリーディングサイアーに輝いて以来、サンデーサイレンス(SS)支配が続いている。サンデーサイレンスが13年連続で首位を守った後、2008年はSSの息子アグネスタキオン、2009年もSS2世のマンハッタンカフェが首位に立った。2010年と2011年はキングカメハメハ(父Kingmambo)がSS支配にストップをかけたが、2012年から現在までSSの最高傑作といわれるディープインパクトが君臨する。
今年の新種牡馬25頭の中にディープインパクトの後継であるディープブリランテ、トーセンホマレボシがいる。ディープインパクト2世が種牡馬デビューするのはこの2頭が初めてだ。
ディープブリランテは2009年生まれ。2012年のダービーでフェノーメノとの接戦をハナ差で制した。2011年10月のデビュー戦を白星で飾った直後に東京スポーツ杯2歳Sに挑戦。キャリア2戦目で重賞勝ちを収めた。同期のゴールドシップやグランデッツァ、ジャスタウェイなどと対戦した。ダービー優勝後、英国に遠征し、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(アスコット競馬場、芝約2400㍍)に挑んだが、8着に終わった。
トーセンホマレボシもディープブリランテと同期。ディープブリランテが優勝したダービーでは3着だった。ダービー直前の京都新聞杯では京都競馬場の芝2200㍍で2分10秒0というコース新記録で優勝した。この記録は今も健在だ。
日本中央競馬会が創立された1954年以降、父子3代でリーディングサイアーに輝いた例はない。その可能性があるとしたら、SS→ディープインパクトと続く父系だろう。今後の種牡馬勢力図を占う上で今年はひとつの節目になりそうだ。