JBIS-サーチ

国内最大級の競馬情報データベース

第177回 『親フィルター』

2023.09.27

 この号が発行されている頃にはもう結果が出ているが、夏は我が社の採用の季節だ。


 例年、3〜4月に告知が出され、日本ダービーが終われば会社説明会。その後筆記試験を経て、面接試験というスケジュール。


 5〜6月に会社説明会は一般的なスケジュールと比べると少し遅く感じるかもしれないが、その頃にスポーツ新聞各社の1次〜面接敗退組が出てくるので、人を集めるにはちょうどいいタイミングなのである。


 来春入社の大卒新入社員はストレートなら2001年生まれ。どういう年だったかというと、まず21世紀の始まりということで、なんとなく盛り上がっていたような記憶が。


 春にUSJがオープンし、秋にはディズニーシーもオープン。4月に小泉内閣が誕生し、Windows XPなんかもこの年のリリースである。そして何よりも記憶に残るが9.11のアメリカ同時多発テロだろう。


 競馬では馬齢表記が満年齢に変わり、中津競馬を皮切りに地方競馬の廃止が相次ぎ、佐々木竹見騎手が引退し、第1回JBCが行われた。


 この年生まれた著名人、というと幅広いので、たとえば野球選手なら佐々木朗希選手、サッカーなら久保建英選手、JRAの騎手なら角田大和、秋山稔樹、小林脩斗、泉谷楓真、各騎手が対象学年ということになる。


 117万662人が生まれているが、ここを境に出生数が一気に落ちていくことになるから、来年以降の人材確保は本当に厳しいものになるだろうから、なんとしても欲しい人材を採りたいところではある。


 今年は久しぶりに中途採用も実施した。アプリやネット新聞など、コロナを機に新たな商品展開を進めるため、今まで社内にない知見や経験を得るのが目的だ。ただ、そのことはあえて明確には謳わなかったので、500人近いエントリーがあり、200人弱の履歴書を読み、最終的には10人に絞ったが、実際面接に来たのは2名という、なんとも言い難い結果になった。


 あえて目的を謳わなかったのは、年齢、性別、経歴など、どういった人たちが弊社に興味を持っているのか知りたかったからで、ある種マーケティング的な目的もあった。結果事務処理的にはかなり面倒なことになったが、それでも欲しい人材を集めることは出来た。やはりある程度の数が集まらないと、欲しい人材は来ないと実感した。


 結果はここでは控えるが、選考は悩んだ。


 新卒の方はある程度人数制限をしたこともあり、そこまでは多くは集まらなかった。


 採用に関してコンサルの方からのアドバイスもあり、今春入社の業務部門に女性社員を採用したが、どんどん増やしていくつもりだ。前述の通り、今後若齢者の人口がどんどん減っていくが、「中小企業が男性にばかりこだわっていては、今後人が採れなくなるでしょう」と。全く、おっしゃる通りである。


 現在筆記試験を終え、最終面接の段階に進んでいる。そこで問題発生だ。


 親からの反対。いわゆる「親フィルター」である。そりゃそうだ。手塩にかけ育て、大学まで行かせた子供が「競馬新聞」である。


 「親フィルター」は10年以上前は毎年のようにあった。会社説明会の段階ならそれほどのダメージではないが、筆記試験まで選考が終わった段階では、補欠から繰り上げるなど、対応も悩む。そもそもそれほど多くの人数を採用するわけではないし、人員の数を揃えることはしない方針だが、面接担当者も比較対象がいないと、選考の難易度も上がり、慎重になる。


 最近10年ほどなかったのは、親御さんの世代的な理由もある。新卒者の親御さんの年齢が60〜50歳で、ちょうど我々と前後プラスマイナス5歳。20〜30歳の頃競馬ブームだったからである。同時に親がダビスタ世代でもある。


 実際、会社説明会での質疑応答や、面接でも「親が競馬を…」という受験者が多かったし、「子供の頃親に連れられて競馬場の内馬場で遊んだ」という受験者もいた。競馬場のファンサービスの恩恵という印象だ。


 そういったこともあり、業務面についての説明はひじょうに楽であるが、反面、待遇面については厳しく見られた(笑)


 さてどうやって説得するか、その辺は採用担当者としての腕の見せ所ではあるが、近年楽をしていたせいで腕が鈍った感がある。目下、社内の知見を集めて対応中である。結果は如何に。

トップへ