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第187回 『恨めしい雨』

2024.07.26

 ゴールデンウィークが終わり、5月3週〜4週目にはオークス、そしてダービーが行われる。中央競馬はそこが春のクライマックスだが、地方競馬、特に南関東は6月がピーク。


 東京ダービー(JpnⅠ)、関東オークス(JpnⅡ)、さきたま杯(JpnⅠ)、そして帝王賞(JpnⅠ)と重要なレース(稼ぎ時)が続く。


 一方で6月は天候との戦いでもある。いわゆる梅雨。梅雨前線が停滞した日には緊張感が走る。競馬は屋外競技。かつては雨が降るか降らないかで売上が大きく違ったが、今は在宅投票が主流となり、売上に対する天候の比重はだいぶ下がってきたように感じる。


 我々もネット版やコンビニプリントなど、在宅投票ユーザー向けの商品を揃えているが、それでも気になるのは現場の売上部数だ。ひとたび雨が降れば、コロナ以降ただでさえ少なくなっている本場入場者数が、1,000人単位で減るからたまったものではない。


 「ゲリラ豪雨」という言葉が生まれたのが2008年。その年の新語・流行語大賞のトップ10に選ばれたが、読んで字の如く突然激しい雨に見舞われる。スマホで雨雲レーダーが見られるようになってからは突然!のようなゲリラ感はだいぶ薄れたが、豪雨の部分はさらに激しさを増したように思われる。


 この6月も、東京ダービー2日前の大井1日目の開催中に激しい雨が降り、パドックと馬場を結ぶ地下通路が冠水し、運動場で周回する対応がみられた。東京ダービー当日でなかったのが幸いだが、時間帯によってはお客さんの出足にも影響しかねないから笑えない。


 今年からJpnⅠに格付けされた東京ダービー当日は雨も降らず、ユニコーンS勝ち馬のラムジェットが快勝。三浦皇成騎手は2014年全日本2歳優駿のディアドムス、2022年盛岡JBCスプリントのダンシングプリンス以来3度目のJpnⅠ勝ちとなった。


 驚いたのは地方馬最先着の4着に高知のシンメデージー。このところ高知所属馬の活躍は目立つが、5番手を追走し、上がりも遜色ない時計。ハビレに先着しJRA勢上位独占を阻んだ走りは、称賛に値する。


 10月2日のダート三冠最終戦ジャパンダートクラシックはひじょうに楽しみだ。東京ダービー馬ラムジェットに、羽田盃馬アマンテビアンコ、そしてフォーエバーヤングが参戦するようなら、レースも、現場の売上も今から楽しみでしょうがない。もちろん、地方馬、特に南関東の馬には奮起を期待しているが。


 もうひとつ。この6月に危うく雨に祟られそうになったのがさきたま杯。今年からJpnⅠに昇格。JBCスプリントで開催地によっては見られる1400m戦だが、創設28年目の悲願だ。


 レース前日の6月18日は朝から大雨。不良馬場で行われた4Rで、直線抜け出し独走状態だった馬が脚を滑らせて落馬、競走中止。5Rはなんとか行われたものの、雨足強く、馬場コンディション不良で6R以降打ち切りとなってしまった。


 通常であれば11〜12億円はあったであろう売上は約3億円に留まり、入場者も1,041名。通常であれば怪我しない程度に最後まで開催して欲しいところだが、馬も騎手も怪我をしてしまったのでは致し方ないところだろう。


 雨は夕方には上がり、馬場に溜まった水も懸命の馬場整備により、翌日のさきたま杯は重馬場まで回復して行われた。


 レースはレモンポップ(USA)が快勝。前半から前に行けば残る馬場で、2番手から早め先頭に立った坂井瑠星騎手の好騎乗だったと言える。時計は1分26秒7と平凡も、1秒程度時計がかかる馬場で、レモンポップ自体もまだ途上といった感じ。


 2着は2馬身差でイグナイター。果敢に攻めて行ったが、馬場傾向を考慮してもレモンポップに先に行かれては、勝つまでは厳しかった。それでも昨年の南部杯と同じ2着でも、大差→2馬身なら、この馬の力は見せられたのではないだろうか。


 当日の浦和競馬場の入場者数は1万人。滞留者数はもう少し少なかったと聞いたが、やはり格上げ効果は絶大で、レース単体の売得金は前年比157.8%のレコード。2019年の浦和JBCスプリントを超え、JBCクラシックに次ぐ売上を記録した。1日の売上も約30億円弱(SPAT4LOTO含む)と盛況。


 肝心の新聞の売上は「まあまあ」といったところだが、若いファンが買ってくれたことには、かすかな希望を感じられたような気がする。

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