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第186回 『5月の出来事』

2024.06.25

 新庄監督就任3年目で選手も育ち、離されながらも2位(交流戦前)をキープしている村本さんチームと違い、我が地元プロ野球チームはどん底に沈んでいる。


 打撃不振は深刻で、投手陣が持ちこたえられず終盤逆転を許す悪いパターン。FAで流出した選手が他チームの4番を務めているように、選手育成には定評あるのだが、そのサイクルが間に合わなくなってきている印象。5月、地元で飲んでいると、娘の同級生のお父さん(コーチ)が更迭されそうだとかそんな噂が店内を駆け巡っている。


 こういう時こそファンの支えが必要とばかり、球場に足を運んでいるが、すでにサヨナラゲームを3回見ている(見せられている)。帰り道、駐輪場や駐車場に向かうファンと一緒に歩いていてもみな無言。ファンの声援が選手の励みになるなら、やはり勝利がファンに元気を与える。単純な図式だが、改めて思い知らされる。


 5月某日、それこそ中学生ぐらいからファンだったあるグループのライブに行った。出演者は60代、観客も50~60代中心だが、みな40年来のファンだけに、一緒に年を重ねてきたという、変な一体感がある。


 メンバー自身も「区切りにこだわらず、やれる時にやりたい」というように、ファンも演者も常にラストスパート的な雰囲気がいい。いつまでも元気で、末永く我々を楽しませて欲しいと切に願っている。


 同じ公演に参加したある知り合いの女性は、4公演に参加し、最後はアリーナ最前列だったという。「推しと目が合う幸せ」とか恍惚感に浸っていたが、やはり徳を積んだ人には良い事がある。


 ライブ後に軽くご飯を食べたある主婦の方は「コロナ以降、夫が家で仕事をするようになり、常に一緒にいる。他の人たちとお話したのは久しぶり」と言っていた。ライブひとつとっても、人それぞれ思いは様々なんだなと思った。


 ちなみに筆者は全曲大声で歌った。隣の人ごめんなさいといった感じだが、日常のストレスはかなり発散できた。重ねて隣の人ごめんさない。


 野球、音楽と同様に、競馬もやっぱりライブ観戦が一番だ。ただ今年度の南関東は天気に恵まれない日が続いている。


 特に5月は、1日のかしわ記念が雨・不良。8日のエンプレス杯も雨・稍重。15日の大井記念まで雨・重と、肝心なところで雨に祟られまくっている。東京湾カップ、プラチナカップは天気に恵まれたが、高額賞金レースの天候不順は、我々的にも大打撃だ。


 南関東地方競馬は、概ね月曜日から金曜日までの5日開催で、3日目の水曜日が重賞というのが通常の開催パターンである。その開催のメインである水曜日に雨が降る。我々競馬新聞も、場内の飲食店も、概ね半分の売上を重賞実施日に挙げているだけに、そこで客足が鈍るとどうにもお手上げである。


 1~4月の南関東地方競馬の売上は、4場合わせて前年比約90%といったところだが、新聞自体は前年を超えて堅調な伸びを見せていた。少しずつファンが戻ってきた印象であったが、5月の数字は見るのが怖い。


 競馬場の新聞売店や営業部に聞くと、入場制限緩和以降、ファン層が入れ替わったという。それは以前も書いたが、ノールックで専門紙を買っていたベテランファンは減ったという。


 顔見知りのあるベテラン読者は、これまで毎日どこかで開催があって、場外発売も毎日行われていたが、月曜日や金曜日に場外発売されない日が増えて、足が遠のいたという。また「年寄りは行くところがないから、毎日やっているのが良かった」という。いわゆる習慣性。「最初は売っているところを探して行っていたが、友達もいないし、しんどくなってきて行かなくなった」とも。


 月曜日や金曜日の場外発売を取りやめた理由をある主催者関係者に聞くと、職員の働き方改革だという。その辺は民間の興業事業者とは異なる面もあり理解できるのだが、在宅投票が活況であるのも理由だろう。


 ただ、その先には不安を覚える。以前に「今大事なのは初心者対策」だと書いた。常にお客さんを育てていかないと、早晩行き詰まるし、今後人口も減る。そもそも我々世代の在宅投票は、競馬場、場外に行けない時の手段だった。


 そして来場者優遇。東京ダービーや帝王賞の指定席を前開催の来場者に優先販売するなどの優遇策はあってもいい。長く現金系売り上げを支えてくれたPCもスマホも持っていないようなファンを切り捨てないで欲しい。

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