馬ミシュラン
第185回 『POGの季節』
4月中旬になるとぼちぼちPOG本(ペーパーオーナーゲーム本)が店頭に並びはじめる。
筆者は最近はほとんど参加していないが、かつては狂ったように情報を集め、指名し、デビューを心待ちにし、そして失意の1年を過ごす。そんな時期もあったが、最近は心穏やかに新馬戦を観ることができる。
書いていて思い出したが、筆者がPOGに参加しなくなった理由はサンデーサイレンス(USA)全盛になったからだった。あの頃はなんでもかんでもサンデー産駒で、ゲームとしての興味を失った。確かそんな理由だったと思う。
昔々は今のようなPOG本などもほとんどなく、週刊競馬ブックの2歳馬登録馬のページなどが頼りだった。一応業者なので、旧知の牧場さんや、馬主さんなどから「どこどこのなになに産駒が走るぞ」みたいな情報を聞いて指名したりするのだが、それでもシングルヒットはあっても、ホームランまではなかなかなかったりする。
入社して最初のシーズンに参加し、マヤノトップガンを指名した。惜しくもPOGのシーズン中には間に合わなかったが、菊花賞などGⅠ4勝。
POGの指名馬はゲーム終了後も追いかけることが多く、筆者も毎回馬券を購入していた。多くの現役馬を対象にする新聞制作とは異なり、POGや個人的な応援馬などは、その馬だけ毎回注目して見ているから、なんとなくその日の良し悪しがわかるようになってくる(ような気がする)。だから馬券的にもいい思いをすることが多い。
ただ、マヤノトップガンに一番金額を張ったのは5着に敗れた天皇賞(春)で、さらにそれを同期に原稿に書かれる二次被害(笑)も。
10年ほど前、「日刊競馬POG」のサイトが立ち上がった時に、社員も参加するように言われて1シーズンだけ参加した記憶がある。その時指名した1頭がイスラボニータだった。なんとなく賑やかしで最初の新馬戦を勝ってやろうと思って、トラックマンに聞いて締め切りギリギリにこの馬を選んだような記憶がある。
予定通り最初の新馬戦に勝ち、新潟2歳ステークス2着のあと、4連勝で皐月賞制覇。続く日本ダービーもワンアンドオンリーの2着と、業者のパワーを見せつけることができたのは、我ながら大人気ないと思う。
サンデー全盛期、あるいは二世代目の時代が終わり、サイアーズランキングも多様性が出てきて、再びゲームとしての面白さが戻ってきた感はあるが、元々筆者はどちらかというとパドックを観て馬券を買う派なので、デビュー戦や転入初戦でない時は、日頃それほど血統は重視しない。
とはいえJBBA NEWSに書いている手前、サイアーズランキングなどトレンドは一応意識して確認している。メインは地方競馬だから、ダートのサイアーズランキングはよく確認する。
近年はシニスターミニスター(USA)産駒が走る。テーオーケインズを筆頭に、キングズソードやミックファイアなど、地方中央で多くの産駒が活躍している。もちろんヘニーヒューズ(USA)やパイロ(USA)も健在だが、このところ目立つ活躍をみせているのがダノンレジェンド(USA)だろう。
特に4月に入ってからの勢いが凄い。9日にサヨノネイチヤが大井のブリリアントカップに勝ち、14日にはミッキーヌチバナが阪神のアンタレスステークスに勝ち、産駒のダートグレード競走初勝利を挙げた。
16日はハリウッドスマイルが金沢のノトキリシマ賞に勝ち、18日にはツーシャドーが浦和のしらさぎ賞を、ストリームが門別のネクストスター北日本に勝つなど、今最も勢いがある。
2023年度のダート総合は12位だったが、2024年度は4月21日現在7位の位置に付けている。今後帝王賞など古馬中距離JpnⅠに大砲を備えているシニスターミニスター、ヘニーヒューズらの壁は依然高いが、短距離路線を中心に、今後上位にどれだけ迫れるか、楽しみな面もある。
カギを握るのは距離延長だろう。ミッキーヌチバナが勝ったアンタレスステークスは1800㍍だが、本馬がそうだったように、基本的には短距離で活躍する馬が多い。2024年度のアーニングインデックスでも、ヘニーヒューズが2.15に対し、ダノンレジェンドは1.79(4月21日現在)で、これはダートグレード競走への出走数の違いが大きく出ているように思う。
現役時代に何度も走る姿を見ている馬だけに、今後も産駒の活躍に期待している。