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第21回 期待の3歳牝馬登場

2016.08.26
 今年の夏は冷夏なのかしら?と思っていたら、猛烈な暑さになり、お盆過ぎにはいくつもの台風の襲来。オリンピックが閉幕し、夏の甲子園大会も終わり、気が付けば2016年の夏も終盤を迎えています。
 南関東4場では浦和以外はナイター開催となっているとはいえ、前半のレースはまだまだ暑さも厳しい時間帯。船橋競馬場では暑さ対策として、1~5Rまでパドックの周回時間を短くする措置がとられました。通常は前のレースが終わるとすぐに次のレースの馬がパドックに入場しますが、今回の措置は、すぐにではなく5分ほどしてから入場するという方法。強い日差しの下での5分は大きいので、馬たちの負担も軽減されたのではと思います。

 この時期、厩舎はよしずなどで日陰が作られていたり、涼やかにエアコンがきいていたりすることも。涼しい時間帯は扇風機で自然の風を上手く取り入れ、その風を気持ちよさそうな表情で受けている馬たちの姿も見かけます。そんな様子を見ていると、暑さが苦手な馬たちが少しでも心地良く過ごせる場所を作ってあげたい、という厩舎の皆さんの気持ちが伝わってくるようです。

 午後2時から3時ごろに厩舎に行くと、馬たちにとってもっとも楽しみな「ごはんタイム」に遭遇します。ある厩務員さんのお話では、以前よりも「飼い葉早くちょうだい!」「はやくはやく!」と大きくいなないたり、激しく催促したりする馬が減ってきているそう。生産・育成牧場での馴致方法の発達によって、人とのコミュニケーションが以前より上手く取れるようになってきたからなのでは、とのことでした。

 もちろん馬本来の個々の性格もあるようで、「どんな時も怒らず、じっとおとなしく待っている馬」や「待ち遠しいよオーラを出しながら、ひたすら担当厩務員さんの動きを目で追っている馬」、「早めにお願いします!お腹すきました!と前のめりでPRする馬」などなど、そのあたりは人間と同じなんだなぁ・・・と、ついほほえましく眺めてしまうことも多々です。ちなみに、飼い葉の配合は馬によって違うのはもちろん、同じ馬でも朝夕の内容は違うとのこと。そんな話を聞いていると、計量カップを手に馬糧庫で作業する厩務員さんたちの姿が栄養士や料理人に見えてきました。競走馬はアスリート。食べて体力をつけることは大切ですものね。

 そんな猛暑真っただ中の8月17日。大井競馬場で行われた黒潮盃(SII)で、3歳牝馬ミスミランダー(牝馬 船橋・佐藤賢二厩舎 父アッミラーレ)が1番人気に応えて見事優勝!牡馬たちを押さえ、実績通りの強い走りを見せました。
 第21回 期待の3歳牝馬登場の画像 ミスミランダーは昨年5月に門別でデビューし、2勝をあげたあと笠松へ移籍。昨年11月には重賞・第2回 ラブミーチャン記念を制しました。

 今回のレースを前にした調教では3歳牝馬離れした時計を出していたというミスミランダー。体力の消耗の激しい夏場に強めの調教をしたことから「レースへの影響も心配した」(佐藤賢二調教師)そうですが、いざ走ってみれば他馬を寄せ付けない強い内容。エスコートした森泰斗騎手も「乗るたびにすごく変身して、力強くなっていますね。さらに力をつけていくと思います。交流で中央の馬を倒せるようミスミランダーと頑張りたいですね」と語りました。

 管理する佐藤賢二調教師にとっては2013年の戸塚記念(SII)をトラバージョ(父ワイルドラッシュ)で制して以来の久しぶりの重賞制覇。「牝馬で暑い時期に強い追切りだったけど力は抜けていると思います。プラス2キロで臨めましたのも良かったですね。いい路線に乗れると思うので、大事に使っていきたいです。距離の心配はありませんが、できれば2、3番手で折り合いをつけて競馬をしたいですね。今後は川崎の戸塚記念(SII 9月13日)を予定しています。その後はJBCかロジータ記念か・・・オーナーと相談します」とのこと。南関唯一の3冠牝馬・チャームアスリープを手掛けた佐藤調教師の元で、ミスミランダーがどんな走りを見せてくれるのか楽しみいっぱいです。
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