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南関フリーウェイ

阿部典子 南関フリーウェイ

第33回 佐藤裕太調教師 悲願の重賞初制覇!

 それはまさに「ついにこの日が!」と南関東競馬ファン、そして多くの関係者が熱い気持ちになった1日でした。7月25日に行われた習志野きらっとスプリント(SIII)で、佐藤裕太調教師(船橋)が管理馬スアデラ(馬主:吉田照哉様 社台地方オーナーズ様)で勝利し、悲願の重賞初制覇を達成しました。

nf-201708.jpg 2014年10月に開業した佐藤裕太調教師は、騎手時代にはアジュディミツオー、フリオーソ、マズルブラスト、ルースリンド、クラーベセクレタ、カイカヨソウなど、調教パートナーとして多くの重賞ウイナーに携わり、数々の栄光を支えていた「陰の功労者」としても知られています。

 「陰の功労者」。それは佐藤裕太騎手を語る時に、切っても切れない言葉だったように思います。調教を手掛けた馬の重賞勝ち星は130と言われていますが、自身の勝ち星はゼロ。フリオーソに至っては、ピンクと白の勝負服姿で公の場で騎乗したのは、船橋競馬場で行われたフリオーソの引退セレモニーの時だけでした。

 祝福に満ちたレース後、「重賞勝ちは騎手デビューした時からの夢。24年かかりました」と語った佐藤調教師。ゴール直後、スアデラの調教を手掛けている西村栄喜騎手と握手を交わしたそうです。

 「『初めての重賞を勝ったらどうなっちゃうんだろう?』って自分でも思っていましたが、もう調教パートナーとしては重賞130勝くらいしているから思っていたよりは冷静でした。でも、やっぱり調教師になってからというのは嬉しいものだなと思います。胸がいっぱいです。騎手時代(1993年4月初騎乗)からの夢だったから・・・長かったですね。調教パートナーとして、130勝分重賞に関わったけど、ひとつも自分で獲れていない悔しさもありました。重賞は、本当は自分で調教して獲りたかったです。調教してくれた西村騎手には感謝していますが、自分のような思いをさせてしまいました」。

 西村騎手と交わした握手と"自分のような思い"という言葉。そこには、佐藤調教師が噛みしめて来た悔しさや無念さ、やりきれなさ・・・それでも馬や厩舎のためにひとつひとつ積み重ねて来た時間の長さ。計り知れない気持ちが込められていたのだと思います。

 「今なら、先生(故川島正行調教師)の気持ちもわかります。これからも、力まず馬に合わせて調整、という先生の教えを守っていきたいです。そういう先生の教えが染みついたものがあるので」(佐藤調教師)。

 口取り撮影後「いつも端から見ているだけだったので、ようやくここに立てたという気持ちですね」とも語っていましたが、何よりも、輝くような笑顔がその喜びを伝えていました。

 思い起こせば、自身が調教を手掛けた馬がテン乗りの騎手で重賞を制覇。口取りに向かう馬と騎手の様子を、勝負服を着ていない"佐藤裕太騎手"が見つめていたシーンに出会ったことがありました。そんなシーンを何度も噛みしめて掴んだ重賞初制覇。今回の勝利は、佐藤調教師の人柄と仕事ぶりを知る多くの人々にも、大きな喜びをもたらしました。

 「僕のふがいなさで悔しいレースが続きましたが、裕太さんの重賞初制覇に携われて光栄です。スアデラはいい感じの緩さを残しつつ、固まって来たかんじ。本当に乗りやすい馬です。おとなしいけど、出遅れないしスピードもあって賢い馬ですね」。そう語ったのは、手綱を握った本田正重騎手。主戦騎手として、スアデラの地元重賞初出走を見事優勝に導きました。

 プライベートではラーメン好きとしても知られている佐藤調教師。以前、船橋ケイバのフリーペーパーで「裕太のラーメン紀行」という連載も手掛けていました。「ラーメンはカロリーが高いけど、馬に乗っているので太りません(笑)」とのこと。羨ましい(笑)。

 故川島正行調教師の一番弟子として、数々の名馬に関わって来た佐藤裕太調教師。初めての重賞制覇が、2014年7月に川島正行調教師が制した最後の重賞・習志野きらっとスプリント(SIII)というのも、何かの縁かも知れません。

 スアデラについては短距離のスターホースを目指していくとのこと。佐藤裕太調教師が歩む馬道にも注目していきたいと思います。