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南関フリーウェイ

阿部典子 南関フリーウェイ

第56回 繋いだ「絆」をこの先へ。レガルスイ引退。

 2019年6月27日付で、レガルスイ(8歳牡馬 父エイシンサンディ 船橋 矢野義幸厩舎)が登録を抹消し、約7年に渡る競走馬生活にピリオドを打ちました。現役時代には京成盃グランドマイラーズ(SIII)で優勝するなど、南関東競馬生え抜きとして重賞路線で活躍し、31戦12勝(うち重賞1勝)という成績を残しました。

 デビューから順調に勝ち星を重ね、代表格となっていく馬はもちろん魅力的ですが、レガルスイの場合はクラシック出走も期待された3歳春に脚元の不安で約1年間の休養。4歳の春に復帰すると、そこからコツコツと堅実に勝利を積み重ねてオープンクラス入り。そんな、じわじわと勝ち進んで行く「味わい」も大きな魅力だったように思います。

 2016年の京成盃グランドマイラーズ(SIII 1600m(重))では1:39.7(上がり39.0)で優勝。これは前年の優勝馬ソルテ(大井 寺田新太郎厩舎)の1:39.5(上がり39.5 重)に迫る内容で、この年のソルテが5月のかしわ記念(JpnI)で2着、6月のさきたま杯(JpnII)で優勝という活躍を見せていたことからも、レガルスイ自身の存在をおおいにアピールするレースにもなりました。

 それから3か月後、ソルテと共に挑んだ2016年9月のテレ玉杯オーバルスプリント(JpnII)では3着(ソルテは2着)と健闘。しかし、まさにここから!という時に再びの脚部不安で、1年以上の休養となってしまいました。
復帰戦となった2017年11月のマイルグランプリ(SII)では13着に。その後は除外などもあり、今度は1年5ヵ月の長期休養。今年の3月に帰厩し、4月16日に船橋競馬場で行われた陽春賞で復帰しました。

 復帰戦では1年5カ月ぶりながら14頭立てで7番人気に支持され、多くのファンがレガルスイを待っていたことが伝わってきました。装鞍所へ向かう際には、ツル首で厩務員さんを引っ張る「らしさ」も健在。休養前には銀色だった芦毛の馬体は真っ白になっていましたが、仕草は以前と変わらずといった雰囲気で、後日、動画でその様子を見た生産牧場の皆さんは「出走できるのが嬉しくて嬉しくてたまらない、という感じで跳ねてたねぇ」と、愛情のこもった口調で語っていらっしゃいました。

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 レースでは、闘志溢れる姿で競走馬としての激しさや力強さを見せていたレガルスイですが、取材時の馬房では愛想よく鼻を寄せるかわいい一面もありました。離乳前の当歳の夏、ちょっぴりこわごわ、でも好奇心もある・・・といった様子でお母さんのピンクキューティのお腹の下からコチラを伺っていた、という微笑ましいエピソードもありました。

 レガルスイの競走馬生活を振り返ると、度重なる苦難にも諦めず、その能力を信じてきたオーナーや厩舎関係者の皆さんの思いを感じずにはいられません。「ついに引退。よく頑張ってくれましたね」とデビューから引退までを管理した矢野義幸調教師。オーナーにとっても、生産牧場の皆さんにとっても思い入れが深い血統・存在ということで、今後は北海道で余生を送り、種牡馬として次の世代を繋ぐ計画もあるそうです。

 矢野義幸厩舎といえば、厩舎にとって大切な存在のルースリンドの産駒、ストゥディウムでの羽田盃(SI)制覇をはじめ、ヒデサンジュニア(産駒は園田や門別で出走)やソウルシルバー(産駒は現在1歳)といった元所属馬も種牡馬として次の世代を送り出しているロマンも持ち合わせており、レガルスイもその仲間入りとなりそうです。

 レガルスイという馬名にはイタリア語で「絆」という意味がありますが、牝馬を残すことができなかった母ピンクキューティ、今年世を去った父エイシンサンディの血を繋ぐと共に、レガルスイに携わった方々やファンの皆さんなど、この先、それぞれの立場のたくさんの想いを次の時間へと繋いでくれることでしょう。怪我と闘い、そのたびに復活し、ファンの前に勇姿を見せ続けたレガルスイ。その名前が「父」の欄に記される日を楽しみにしていたいと思います。