南関フリーウェイ
第66回 血統のロマンから目が離せません
2020.05.25
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ようやく収束の兆しが見えて来たかのような新型コロナウイルス。それでもまだ、安心はできない状態です。感染拡大防止のためのプレスへの対応は、南関東4場でそれぞれ基準(取材申請方法、許可媒体や人数など)に違いはありますが、いずれも「感染拡大を阻止して、競馬を続行する」という強い決意を感じます。
無観客開催は寂しい限りですが、そういった中でもレースが行われ、競馬ならではの血統ロマンに熱い気持ちになれることを大切に感じる日々。JRAの桜花賞(GI)では、15年前のこのレースの2、3着馬だったシーザリオとデアリングハートの孫娘デアリングタクトが見事優勝。その後、オークス(GI)を制して無敗での牝馬二冠という偉業を達成しました。
南関東競馬でも血統のドラマが大きな花を咲かせています。2012年の東京プリンセス賞(SI)、関東オークス(JpnII)の優勝馬アスカリーブルの産駒で道営デビューのアクアリーブルが、浦和の桜花賞(SI)、大井の東京プリンセス賞(SI)を制覇して二冠達成。母娘での東京プリンセス賞制覇、母娘合せての牝馬三冠を成し遂げました。
母アスカリーブルが優勝した時の関東オークスは、前日の大雨の影響で不良馬場。6月にしては気温も低めで、レース後のアスカリーブルから、ほかほかと白い湯気が出ていたのを覚えています。この時アスカリーブルが着けていた桜の刺繍入りのメンコは、過去に名馬・アジュディミツオーも着けていたゲンのいいメンコとしてもファンの注目を集めました。あれから8年。母の姿を重ねながら、関東オークス(JpnII)でのアクアリーブルの走りを楽しみにしていたいと思います。
牡馬路線に目を向けると、こちらも血統のドラマが目をひきます。南関東重賞ウイナーのセレンを父に、南関東唯一の三冠牝馬チャームアスリープを母に持つ、生粋の南関血統馬で京浜盃(SII)の覇者ブラヴールが、6月3日に行われる東京ダービー(SI)に出走予定となっています。
2006年にチャームアスリープが関東オークスを制すると、その後、地方所属馬として6年ぶりに同レースを制したのがアスカリーブルでした。今年、チャームアスリープとアスカリーブルのそれぞれの産駒、忘れ形見が南関東競馬のクラシックに出走予定というのも、何かの縁を感じずにいられません。
また、アクアリーブルとブラヴールには、管理していた佐藤賢二調教師急逝というあまりにも悲しい出来事があったこと、強い思いでその遺志を受け継ぐ人たちがいるということも忘れずにいたいと思います。ブラヴールは佐藤裕太厩舎へ移籍、アクアリーブルは佐藤賢二調教師のもとから調教師として独立した米谷康秀調教師の管理馬として、生涯一度の大舞台へと臨みます。
こうした巡り合わせを、現地で多くの皆さまと共有したいと願いながら、この記事を書いています。無観客の競馬場は、実況席でレースの準備をするアナウンサーの生の声が聞こえるほどの静けさ。遠く4コーナー過ぎから、騎手たちの気合いの入った声や鞭の音が聞こえてきます。そんな競馬場にいると、不思議な印象を受けることも。ファンの姿がないことはもちろん、見えないけれどいつもそこに満ちていた「活気」を感じられないからかも知れません。その一方で「いつもならここで歓声が聞こえるのに」、「いつもならあそこでファンが見守っているのに」と、その存在を思い返すことも増えました。それはきっと、熱い応援が競馬場に届いているからなのだと思います。
無観客開催になって気づいたもうひとつのこと。それは、レースの合間に水がまかれない、ということ。普段は砂埃防止のために散水車が出ますが、無観客のためにそれはナシということらしく。馬群が通り過ぎた後の砂煙を見ると、ここは砂漠かと思うほど。モウモウと砂煙が舞い上がる中のカメラマンさんたちの後ろ姿は、荒野を行く旅人のようです。
今回もまた、1日も早く、競馬場に声援が戻ることを祈りつつ・・・。
無観客開催は寂しい限りですが、そういった中でもレースが行われ、競馬ならではの血統ロマンに熱い気持ちになれることを大切に感じる日々。JRAの桜花賞(GI)では、15年前のこのレースの2、3着馬だったシーザリオとデアリングハートの孫娘デアリングタクトが見事優勝。その後、オークス(GI)を制して無敗での牝馬二冠という偉業を達成しました。
南関東競馬でも血統のドラマが大きな花を咲かせています。2012年の東京プリンセス賞(SI)、関東オークス(JpnII)の優勝馬アスカリーブルの産駒で道営デビューのアクアリーブルが、浦和の桜花賞(SI)、大井の東京プリンセス賞(SI)を制覇して二冠達成。母娘での東京プリンセス賞制覇、母娘合せての牝馬三冠を成し遂げました。
母アスカリーブルが優勝した時の関東オークスは、前日の大雨の影響で不良馬場。6月にしては気温も低めで、レース後のアスカリーブルから、ほかほかと白い湯気が出ていたのを覚えています。この時アスカリーブルが着けていた桜の刺繍入りのメンコは、過去に名馬・アジュディミツオーも着けていたゲンのいいメンコとしてもファンの注目を集めました。あれから8年。母の姿を重ねながら、関東オークス(JpnII)でのアクアリーブルの走りを楽しみにしていたいと思います。
牡馬路線に目を向けると、こちらも血統のドラマが目をひきます。南関東重賞ウイナーのセレンを父に、南関東唯一の三冠牝馬チャームアスリープを母に持つ、生粋の南関血統馬で京浜盃(SII)の覇者ブラヴールが、6月3日に行われる東京ダービー(SI)に出走予定となっています。
2006年にチャームアスリープが関東オークスを制すると、その後、地方所属馬として6年ぶりに同レースを制したのがアスカリーブルでした。今年、チャームアスリープとアスカリーブルのそれぞれの産駒、忘れ形見が南関東競馬のクラシックに出走予定というのも、何かの縁を感じずにいられません。
また、アクアリーブルとブラヴールには、管理していた佐藤賢二調教師急逝というあまりにも悲しい出来事があったこと、強い思いでその遺志を受け継ぐ人たちがいるということも忘れずにいたいと思います。ブラヴールは佐藤裕太厩舎へ移籍、アクアリーブルは佐藤賢二調教師のもとから調教師として独立した米谷康秀調教師の管理馬として、生涯一度の大舞台へと臨みます。
こうした巡り合わせを、現地で多くの皆さまと共有したいと願いながら、この記事を書いています。無観客の競馬場は、実況席でレースの準備をするアナウンサーの生の声が聞こえるほどの静けさ。遠く4コーナー過ぎから、騎手たちの気合いの入った声や鞭の音が聞こえてきます。そんな競馬場にいると、不思議な印象を受けることも。ファンの姿がないことはもちろん、見えないけれどいつもそこに満ちていた「活気」を感じられないからかも知れません。その一方で「いつもならここで歓声が聞こえるのに」、「いつもならあそこでファンが見守っているのに」と、その存在を思い返すことも増えました。それはきっと、熱い応援が競馬場に届いているからなのだと思います。
無観客開催になって気づいたもうひとつのこと。それは、レースの合間に水がまかれない、ということ。普段は砂埃防止のために散水車が出ますが、無観客のためにそれはナシということらしく。馬群が通り過ぎた後の砂煙を見ると、ここは砂漠かと思うほど。モウモウと砂煙が舞い上がる中のカメラマンさんたちの後ろ姿は、荒野を行く旅人のようです。
今回もまた、1日も早く、競馬場に声援が戻ることを祈りつつ・・・。