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南関フリーウェイ

阿部典子 南関フリーウェイ

第76回 「牧場で働こう見学会」を振り返ってみました

 ふと気がついたら春になっていました。取材先の厩舎の地面に小さな花が咲いていたり、「裏にツクシが出てるよ」と教えていただいたり。何よりも当歳誕生のニュースに、春ならではのワクワクを感じています。

 さて、2018年、2019年と同行させていただいた「牧場で働こう見学会」。残念ながら今年も新型コロナウイルスの影響で見学会は行われず、オンライン相談会というかたちで実施されています。そこで今回は、過去の見学会のことを思い出してみました。参加者に向けて発せられた牧場の皆さんの熱いメッセージを振り返ってみましょう。では、スタート!

 「牧場の仕事に就くための資格は必要ありません。なので、年齢性別関係なく働くことができます。年齢が上になると体力的にも厳しくなることがありますが、まずは牧場の仕事をしたいという気持ちが大切です。生きものを扱う仕事なので、"この仕事がやりたい"と思う人でないと務まらないけれど、その気持ちがあれば大丈夫」。

 「この仕事は女性にも向いています。馬は言葉を話せない。だから、人間が注意深く見て気づいてあげることが大切です。女性の気づき力はとても高いですね」。

 そういえば、私自身がこの仕事に就くきっかけとなった出会いにも、牧場で働く女性スタッフの存在がありました。ずっと以前、彼女から「夜飼い(夜の飼い葉)の時に厩舎の電気をつけると、馬たちが眩しそうに目をしょぼしょぼする」と聞いた時は、「!!」という気持ちでした。なんてかわいいのでしょう!

 見学会での言葉に話を戻しましょう。

 「真面目に取り組んで、馬に携わる仕事を続けていきたいと思っていれば、頑張りを見ていてくれる人はいます。たくさんの牧場を見学して自分で選ぶのが大事だけど、消去法ではなくポジティブなことを見て選ぶのが大切です。だけど、『とりあえず』という気持ちなら止めた方がいい。人間が作り出したサラブレッドという生きものには、責任を持って接しなくてはいけないからです。言葉を話せない生きもの相手だから手が掛かる。でも、そのことで馬が愛しくなり愛情も沸きます」。

 「騎手や厩務員志望で入っても、牧場従業員を続けて行こうと入っても、丁寧に教えることを大切にしています。日々のことや、仕事でわからないことは、僕たちがしっかり教えて育てていく。学校で学んだことも活かされるけれど、社会に出てから教わることもたくさんあります。頑張っているスタッフがいるから牧場は成り立っています。だから、若い人が少しでも興味を持ってくれるというのは牧場にとって幸せなこと」。
 nf202103pic.jpg 振り返っていたら、なんだか胸が熱くなりました。どの牧場の皆さんからも、現場の熱が伝わってきたこと、その熱を知ることができたことは、初心を思い出す貴重な時間にもなりました。お時間があればぜひ過去の見学会のレポートもご覧ください。ちなみに、見学会のバスの中では、参加者の皆さんの生命力に満ちた水分補給やおやつ補給に「そうか、エネルギーが満ちているというのはこういうことなのか・・・」と思っていました。

 また、最近ではオフィシャルブログやTwitterなどでの情報発信も多彩です。BOKUJOBのブログを拝見すると、かんべえ君とはんべえ君と、凄腕軍師そのもののネーミングのかわいい厩舎猫さん(追分ファーム)や、素敵なカフェテリアでのおしゃれなランチ(ダーレージャパンファーム)、あの名馬のちびっこ時代のほのぼの写真(コスモヴューファーム)など、牧場の日常が現場の言葉で発信されています。仕事内容だけではなく、職場の雰囲気も伝わって来る貴重な情報源とも言えそうですね。

 最後に、私がこの仕事に就くことになる最初のきっかけをくれたのは、ある1頭の馬でした。天へと駆けた淀を愛した孤高のステイヤー。彼は種牡馬にはなれなかったけれど、私に競馬に関わる仕事をするという素敵な未来を繋いでくれたのだと思います。あの馬に携わった方々が手掛ける馬、手掛けた馬の子や孫がどこかの競馬場で走っているかも知れない。ふとそんなことも思っています。