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第41回 実感・・・「経験に勝るものなし」

2013.08.16
 春のG1戦線も終わり夏競馬真っ只中、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
 私は宝塚記念を最後に半年間のお休みを頂き、現在産休中。早いもので妊娠9ヶ月目に突入しました。予定通りに進めば、あと1ヵ月ちょっとで出産。私と同年代で最近出産を経験した知人たちからは、「鼻からスイカどころの痛みではない」とか、「中途半端な気持ちでのぞまないほうがいい」などと散々脅かされているだけに、多少の恐怖心も...。

 それを考えると、競走馬を引退した後、毎年出産を迎えている牝馬は本当に凄いなぁ~と改めて感心しちゃいます。
 きっと年齢を考えても一生に1度の経験となりそうなので、ここは覚悟を決めて気張るしかなさそうですね...。

 さて話は変わり、以前JRAのCMでダンディーな俳優・小林薫さんが、「たかが競馬、されど競馬」と語っていらっしゃいましたが、宝塚記念で見せたゴールドシップの走りには、「たかが2週間、されど2週間」を感じさせるものでした。

 いや内田騎手が調教に跨ったのは栗東に滞在をした2週間のうち正味5日ゆえ、正確には、「たかが5日、されど5日」の方が的確なのかも。しかしながらその5回によって馬の気持ちの方向性が確実に転換しており、いかに1回1回の積み重ねが重要なのかを再認識するものでした。と同時に、これは馬の調教に限ったことだけでなく、自分自身の日々の過ごし方においてもいえることのようにも...。

 1日1日をどう過ごすか?いかにして過ごしていくか?その積み上げていく過程によって、導かれる道がわかれ、みえてくる景色が違ってくるのでしょう。そして何よりも重要となってくるのが、そのプロセスにおける経験。

 実は天皇賞での敗戦後、調教に携わって宝塚記念へと挑むことを最初に提案したのは、内田騎手の側近者であるエージェントの中村氏だったのです。
 というのも中村氏は調教助手をしていた大井時代に、内田騎手が調教からレースへと馬を作り上げていく過程とその手腕を傍で見てきた人物。だからこそ、誰よりも内田騎手の心境を察すると共に、遠慮深い内田騎手の心理面を考え、背中を押したのでしょう。まさに地方時代に培われた経験の数々が今回の過程へと導かれ、そして勝利へと繋がっていたように感じます。

 昔から「経験に勝るものなし」と言われますが、まさにその言葉そのもの。

 実はかれこれ数年前のことになりますが、京都の競輪選手数名と食事をした際、ベテランのトップ選手の方がこんなことをおっしゃっていました。「最近の若者の多くは、競輪学校を卒業後、選手になってまだ間もない内から、自分の型を確立してしまっている傾向がある。僕は追い込みですからとか、番手タイプですからと...。でもちょっと待て。お前はまだ何も経験をしていないだろう?といいたくなる。必死で先行したレースから見えてくるものもあれば、番手で感じること、追い込みで学ぶこともある。それら全てを経験した上で、自分にとって何がベストであるかをチョイスできるし、相手選手の気持ちも読め、よりレースを深い視点から感じられる」と。
 確かになぁ~と感じる言葉でした。

 私も早40代手前となり、取材対象が一回り以上も下の若者となることも多くなりましたが、キャリアのなさを謙虚に受け入れ、経験を積むことに重きを置く人物の方が飛躍を成し遂げているようにも...。

 38歳、少し遅いかもしれませんが私も今、マレーシアで語学留学を体験中。この経験が、今後に繋がると信じて。
 それでは皆さん、また来月お逢いしましょう。
 ホソジュンでしたぁ。
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