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第42回 母・母馬の子育て~正解はなく、永遠のテーマなのかも~

2013.09.25
 このコラムが掲載される頃には、人生初となる出産を終えているのかしら...?既に予定日の1ヵ月を切り、例年以上に夏の暑さが体を刺激しています。妊娠初期から体重も7キロ増。こうして世の母たちは子供を身ごもり、育てていくのですね...。
 そんな折、北海道で生産牧場を営む牧場主さんから「38歳での初産。年齢的にも若くないのだから、あまり無理をしすぎないように足元に気をつけて過ごして下さい」と、体を気遣っての電話を頂きました。

 やはり日々繁殖牝馬と向き合い、毎年出産に立ち会われているとあって、胸にズシリと響く言葉でした。

 そして話は母となってからの母性について。
 やはり初めてママとなる馬たちが、どのような母となるか?は、それ以前の性格も踏まえて気になるところなのだとか。普段から穏和な仔は子煩悩なママになるのだろう?と想像し、気の強いタイプは、自分の感情をストレートに子供にも出してしまうのではないかと心配をすると。しかし食事の際の行動を見ていると案外その逆が多く、穏和な性格だったタイプの方が子供よりも先にご飯を食べ、中々食べさせないようにしているケースを目にすると。当初は(母親がエサを先に食べたいから自分を優先させ子供に意地悪をしているのかな?とか、母性愛に欠けるのかな?)と思って見ていたのだけど、よくよく観察していると、子供のエサの量をセーブしているようにも見えるのだそうです。

 というのも、のちのちそういった母親に育てられた仔馬の方が下痢の症状や病気になることが極めて少ないようにも感じると...。もちろんこれはあくまで私個人の想像なので、何が本当なのかは分かりませんが、とおっしゃられていましたが、ひょっとすると穏和な性格だからこそ冷静に子供の状態を把握し、分析かつ判断しているのかも?

 そういえば以前にある女性厩務員さんが、子供を産む前は何でも馬の意思を尊重し可愛がるばかりだったが、自分自身が母親となってからは育てることへと意識が変わり、その時は馬にとって辛いだろうなと思いながらも今後の成長の為にと、心を鬼にして馬へ対応することも増えてきたと話されていました。

 もって生まれたDNAと、育つ環境によって形成される1つの人格。人間1人1人、馬1頭1頭が違うわけですから、子育ても馬を育てることも、何が正しく何が間違いなのか?は謎。教科書のような正解はないだけに、永遠のテーマなのでしょう。
 そしてこれから私も子供を持つわけですから、その育て方において、いろいろと悩むこともでてくるのでしょうね... あ~不安だわぁ...。

 さて話は変わり、先月、競馬界に大きなニュースが飛び込んできましたね。
 騎手&調教師免許試験要領が大幅に変わることに。これにより以前から強く切望していたミルコ・デムーロ騎手のJRA移籍も現実味を帯びてきました。

 いよいよ競馬の世界も本格的にグローバル化へと進んでいるのだなぁ~と感じると共に、これは単に騎手だけのことに限らず、海外で厩舎を開業していた調教師が日本でということになれば、それに伴い従業員など人の流れにも大きな変化がうまれてくることへも繋がる可能性も。

 もちろんどちらが良い悪いといった話ではなく、今ある現状ではなくなることを示唆する始まりであり、競馬サークル内で働く人々にとっても、大きな影響をおよぼす内容であると同時に、危機感を持たなくてはならないことのようにも思えました。
 それでは皆さん、また来月お逢いしましょう。
 ホソジュンでしたぁ。
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