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第59回 日本の競馬もグローバル競技へ~海外騎手への免許交付がもたらすもの~

2015.02.18
 クラシック好きだった父や、吹奏楽部だった兄の影響もあり、幼い頃からエレクトーンを習い、小・中学校は吹奏楽部に所属していた私。
 よってスポーツ観戦するよりもコンサートに行く機会の方が子供の頃から多く、どちらかというとスポーツは見るのも競技するのも苦手...。

 騎手引退後、マネージャーさんから肩書きを「スポーツコメンテーターにする?」と問われた時も「いや私はスポーツは全くと言っていいほど分からないので...」と返答したことも。

 しかしながら競馬を見て伝える側となり、また子供が産まれたこともあってか、様々なスポーツ中継を見る機会が増し、以前よりも興味を持って番組を見ることが多くなりました。

 特にその中でも気になるのが選手の競技後のインタビュー。なぜこれほどまでに若い子が、ミスをした演技の後でも、また負けた直後でもきちんとした対応ができるのか?と感心しきり。

 もちろん選手それぞれのキャラクターはありますが、サッカー・野球・相撲・フィギュアスケート・テニス・ゴルフなどそれぞれに競技別のカラーを感じるとともに、グローバル化された競技と国内を中心とした競技の違いがあるようにも感じるのです。

 そういった意味で言えば、海外遠征が主流となり、また外国人騎手が参戦しつつあるとはいえ、やはり短期間とあって根付かないところもあるゆえ、注目を集めるミルコ・デムーロ騎手とクリストフ・ルメール騎手の免許交付によっては、日本の競馬、そして日本人ジョッキーの考え方や在り方などに何かしらの影響を及ぼす可能性がありそうな気がします。

 以前に浜中騎手が、「どんな時でも感情をおもてにだすことのないムーア騎手の姿がかっこよくて、僕もマネしてみようと思ったけど...即効ムリでした」と、笑って話していましたが、ムーア騎手の側近者によると幼少の頃から父に、「男たるもの人前ではクールでいなければならい」との教えがあってのことのよう。また日本でレースにむかう際には、騎乗馬について数時間にわたってのミーティングを行い、エージェントは相手馬に対してのコメントも深く求められるとのこと。

 父の背中を見て育つ日本人に対し、言葉としてきちんと思いを伝える傾向を強く感じる外国人。こうした文化の違いが、レースに挑む際の姿のみならず、日頃からの馬づくりにおいてもどこか存在しているように感じ、日本人騎手にとっては死活問題とはなりますが、馬社会全体としては海外騎手がJRAの免許を取得することは良い風をもたらす気がしています。

 話は飛びますが、テニスの錦織圭選手もマイケル・チャンコーチから試合前に何度も「自分を信じなさい」と暗示のようにこの言葉を言われ続けたことで心に浸透し、メンタル的に大きく変わるきっかけともなったよう。

 騎手はコーチがいない職業ゆえ、精神的に自分自身をコントロールするのが難しいからこそ、浜中騎手のように外国人騎手の姿勢から学ぶことが多くあるのかもしれません。
 さぁそういった意味では、二人の外国人騎手の免許のゆくえが非常に気になるところ。どうなるのでしょうね?

 それではまた来月お逢いしましょう。
 ホソジュンでしたぁ。
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