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馬ミシュラン

小山内完友 馬ミシュラン

第15回 果たして起爆剤となるか

 既にご存知の通り,今年1月9日から,ばんえい帯広競馬にて五重勝馬券が発売されている。実際に競馬場,場外発売所で発売されているわけではなく,地方競馬の馬券をネットで発売しているオッズパークのインターネット投票(オッズパークロト)だけのサービスである。

 五重勝,正式には『五重勝単勝式勝馬投票券』というが,指定された5つのレースの勝ち馬を当てる馬券である。例えば,ばんえいならフルゲートは10頭だから,最大で10頭の5乗=10万通りの馬券となる。1口100円からで,ばんえいで発売されるのは,コンピューターが買い目を選ぶ『ランダム方式』(いわゆるクイックピック)。的中者がいなかった場合は,控除した上で次回に払戻金を繰り越し,つまり『キャリーオーバー』となる。払い戻しの最高額は2億円である。

 ばんえいで始まった五重勝はその後,1月23日から順次,福山,佐賀,兵庫,荒尾,笠松に拡大。春には岩手でも発売する。佐賀と荒尾は買い目を選べる『セレクト方式』,その他はばんえいと同じく『ランダム方式』である。いずれも発売後の出走取消,競走除外は返還となる。地方競馬だけでなく,JRAも2011年から五重勝を発売する計画であることを発表している。

 自分で買い目を選べる『セレクト方式』は馬券であるが,コンピューターが買い目を選ぶ『ランダム方式』はくじと言って差し支えないだろう。それが良いとか悪いとかは,今回は置いておく。問題はそれが競馬にとって起爆剤になるのか,ならないのか,である。

 参考となるのはスポーツ振興くじ(toto)だ。totoは2000年に試験発売,2001年より全国発売された。当初642億6677万円を売り上げ,57億7965万円もの助成金を生み出したが,その後急激に減少し,2006年には134億7100万円,助成金は7850万円にまで減少した。スポーツ振興くじ存続の危機的状況の中で生み出されたのが,BIG(totoBIG)である。クイックピックを導入し「サッカーの結果を推理する知的ゲーム」という側面を捨て,なり振り構わぬ策。当初は低調だったが,キャリーオーバーが膨らみ,ひとたび6億円が出るとあっという間に売り上げが伸び,第278回では総売り上げ65億3366万4800円の内,BIGが61億2033万1500円と,売り上げの約94%を占めている。また,年間でも600億円を回復することが出来た。

 当初の目論見としては,サッカーを知らない人も結果を見るようになり,そのうち自分で考えた方が当たるという結論になり,BIGからtotoに移行する人が増える,というものだったが,実際にはそれは極僅かに留まり,キャリーオーバー発生時に売り上げが上がる,というのが現状だ。会計検査院の調査資料は「知的ゲームを捨て,ギャンブルに成り下がった」と酷評している。「成り下がった」とは失礼な話だ。

 公営競技において競馬は後発で,先に競輪が『チャリロト』を導入している。チャリロトは後半7レースが対象の七重勝単式。1口200円で最大12億円の払い戻しだ。今のところ7969万8600円が最高配当。こちらは自分で買い目が決められる『セレクト』も発売されている。また,競輪にはKドリームスが発売する,K-3(三重勝),K-5(五重勝),そして,『BiG DREAMS』という連続する後半4レースの1・2着を着順に関係なく当てる車券『四重勝二連勝複式』も発売されている。今のところ7693万4700円が最高配当だ。

 いずれもインターネットによる投票だ。売り上げも,平塚競輪がチャリロトを最初に導入した開催で,重勝式だけで6600万円を記録している。さて,競馬はどうか。まだ始まったばかりだが,ばんえいでは開始早々220万円,150万円と2日続けて的中が出て(的中各1票),この馬券の醍醐味?であるキャリーオーバーがなかなか貯まらない。億単位のキャリーオーバーが貯まっている競輪に比べやや寂しい気もするが,totoやチャリロトなどの先例からもファンは『セレクト』よりは『ランダム』に,また,キャリーオーバーの多い場を渡り歩く傾向にある。

 最終的に売り上げの起爆剤となるのは,やはりキャリーオーバーと配当で,最初にどこの場が『爆発』するのか,そこがカギになりそうだ。

JBBA NEWS 2010年3月号より転載