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馬ミシュラン

小山内完友 馬ミシュラン

第77回 『更新はお早めに』

 当然のことながら、競馬新聞本体はコンピューターで製作されている。使われないのはトラックマンの取材と、最後の印刷、配送、販売のところだけ。取材した談話、時計を入力するところから、印刷用の刷板を出力するところまでは、全面的にコンピューター上で製作している。だから何かトラブルが起こるとひじょうに危険である。

 トラブルといってもそのほとんどは各記者、編集部員手元の端末で、その程度なら代替手段はあるので、ちょっとは騒ぐがどうにでもなる。つい先日もセキュリティーのアップデートがあり、終了後に再起動したら、業務用ソフトウェアが起動しなくなった。メッセージを見ると、業務で使用するソフトウェアが「危険なソフトウェア」と認識されたのが原因だった。セキュリティーが必要以上に高くなりすぎたのである。いろいろ回避策を試みてみたがダメだったので、一時的にセキュリティーを切って、新聞製作後に元に戻して、なんとか回避した。40分ほどロスしたが、ホストコンピューターの場合はそうはいかない。20年間で1度だけ、肝心のホストコンピューターが起動せず、危うく新聞を発行できなくなりそうになった事(しかも中央版)がある。さすがにその時はヤバかった。結局4~5時間遅れで発行して、社員総出で配達と遅配の問い合わせに対応したことを覚えている。さすがにあんな思いは2度としたくはない。

 昨年7月のニュースで、東京電力が経費削減を理由にWindows XPを延命させようとしていたが、セキュリティー上のリスクからも、更新時期を繰り延べるべきではないと指摘されたという記事があった。それを指摘したのが無駄遣いを指摘する会計検査院。コスト削減を否定するのは異例なことだけに、大きく取り上げられていた。

 高い安全性が求められるインフラ企業だけに当然といえば当然だが、Windows XPを未だに使用している企業は、中小を中心に多いと思われる。何を隠そう弊社もそのひとつである。

 前述の通り競馬新聞はシステムが命。しかし汎用の競馬新聞製作ソフトウェアが市販されているはずもなく、データベースを筆頭に自社開発か、あるいは他社が開発したものを使用している社がほとんどである。基本的な出馬、成績処理の仕組みが変わらない限り、大きなバージョンアップの必要はなく、長い期間使われている。動作が安定していればなおさらである。しかも現在使用しているソフトウェアはOSのバージョンアップに対応していない。だから新聞製作に関わる部分は、未だXPを使用せざるを得ない。それ以外の部門で使うパソコンは既に7や8.1にアップデート済みである。

 さらに、支社印刷の紙面データを送ったりする業務の部門では、つい数年前までPC-9801が使われていたり、調教などのデータをダウンロードするためだけに使われていたパソコンも長らくWindows 98SEが使われていた。特にソフトウェアのバージョンアップは必要なく、特定の業務だけに使われているものは息が長い。

 ただソフトウェアはそれでもいいが、ハードウェアは寿命がある。昨年から今年にかけて、バタバタとパソコン本体の寿命が訪れているが、代替機は既に販売されていない。予備はあるが、いつまでもそうやって繋いでいられるはずもなく。

 予定では今年年末に新システムに移行することになっている。計画通りなら既に更新されていたはずだが、延びに延びて年末である。しかもそれすら予定であるから危うい感じの空気が。

 セキュリティー面はファイアーウォール等でガッチリ固めているし、個々の端末にもセキュリティーソフトがインストールされている。ただあまりに強固すぎて、初期導入状態ではJRAのホームページや自社のサイトすら「ギャンブル」で閲覧拒否されるほどであった。

 筆者のパソコンは新聞製作から各種書類作成、さらに写真撮影、管理など様々な作業をこなしている都合上、一応禁止されているメモリーカードも突っ込む。そのため何かあったときに疑われないよう(笑)ガッチリガードしていたら、肝心の業務ソフトウェアが「危険なソフトウェア」にご指名を受けてしまった。予算の都合ならともかく、自社ソフトウェアの都合で更新出来ない会社は、恐らく多いのではないかと思う。とりあえず暮れまでは安全運用を心がけたい。