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第168回 『第22回JBC』

2022.12.23
 「11月3日は何の日?」と聞かれれば、世間一般の方々は「文化の日」と答えるだろう。国民の祝日に関する法律の第2条に「自由と平和を愛し、文化をすすめる」と趣旨が定められている。
 そして、我々競馬ファンにとっての11月3日は「JBC」である。こちらは残念ながら競馬法で「JBCの日」とは定められてはいないが、毎年、JBC特設サイトやパンフレット等において必ずJBCの説明が書かれている。

 今年は「JBCの意義」「競馬と生産の関係」「本家ブリーダーズカップ創設の背景」「JBCの創設」「JBCの新たな役割」以上5章に分けて説明されている。多分読まれる方はあまりいらっしゃらないとは思うが、興味のある方は一度読んでみていただきたい。

 一般的なファンの認識としては「地方競馬の祭典」ということになるのではないかと思う。

 2001年に創設されたJBCは、今年で第22回を迎える。一番の特徴は持ち回りで開催されることだろう。大井競馬場から始まったJBCは、これまで盛岡、浦和、川崎、船橋、名古屋、金沢、京都、園田(順不同)の9場と、JBC2歳優駿が門別で行われている。

 この「持ち回り制」と、JBCクラシックの「1着賞金1億円」がウリであったが、「1億円」はその後減額となり、今年再び戻っている。

 持ち回りの方は、水沢(盛岡と同じ岩手県競馬組合)、笠松、姫路(園田と同じ兵庫県競馬組合)、高知、佐賀の各競馬場では未だ開催されていない。(JBC本体という意味では門別も未開催地)

 そのあたりはファンの間でも、「まだかまだか」と待ちわびている声がある反面、「やっぱりダメか」という諦めの声も聞かれる。

 また、当初はJBC開催場の1場開催(一部開催したが)で、全国で場外発売されたが、近年はJBCの時間帯をあけたサイマル発売となっている。第1回は全国60か所以上の競馬場、場外発売所に配送し、大変だった記憶がある。今は毎日50か所前後に配送しているが、それも第1回JBCがあったから出来たことなのかもしれない。

 JBCの新聞制作はどうかというと、開催場のだいたいは担当社に、中央所属馬、地方他地区所属馬の成績、談話、調教時計がすべて集められて、そこから配信される。

 まあこれが恐ろしく大変な作業で、当日のアンダーカードなど自場の開催もあるし、今だとネット等の展望、予想、回顧原稿も複数あったりして、途中でどこの原稿を書いているのか分からなくなる時がある。

 今年の担当社は岩手のケイシュウニュースさんだったが、筆者が取りまとめをやっているある予想原稿が最後の入稿となったようで、担当記者さんから送られてきたメールに「何日も寝てません」と書かれてあった。

 昨年の金沢開催も、現地の担当社さんは同じように大変だったにもかかわらず、コロナ感染拡大防止の観点から入場を制限した影響で、当然現場売りは跳ねることなく、同じく入場制限された一昨年の我々(大井開催)同様、「JBCの恩恵」にあずかることは出来なかった。

 今年は1万730人の入場だったが、上限があると部数の予測も出来るため、印刷していても盛り上がりに欠けたのではないだろうか。

 昨年はJBCの中継で解説し4戦全敗だったので、今年は断って門別競馬場に行こうと思っていたが、9月早々にスケジュールを押さえられ、スタジオでJBC観戦となった。

 JBC2歳優駿はJRAの伏兵ゴライコウをアタマに持ってくることが出来ず外したが、盛岡の3競走はなんとか的中して、個人的には昨年のリベンジとなった。

 盛岡競馬場の当日1日の売上は、約69億6,683万円、門別競馬場の当日1日の売上は、約16億8,739万円。盛岡は8年前の約29億3,000万円を大幅に上回る好成績で、岩手競馬の過去最高を記録した。

 一方で、盛岡競馬場と各場外発売所のいわゆる「自場」の売上は約1億7,905万円で、手放しでは喜べない面もあった。これは我々専門紙も一緒で、本場にどうやってお客さんを呼ぶかが課題であることは変わっていない。

 とはいえ、この状況下でお客さんを集めることに対して迷いもあるから難しい。来年は地元大井開催だけに、状況が好転していることと、担当社にならないことを祈るのみである。
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