JBIS-サーチ

国内最大級の競馬情報データベース

第190回 『YouTuber』

2024.10.28

 今どき当たり前のように、弊社もYouTubeチャンネルを運営している。


 元々このチャンネルは2011年3月29日、東日本大震災の18日後に筆者がアカウント登録したものだ。その頃は競馬の開催可否や見込みを各主催者に電話で確認し、競馬場の様子を見に行っていた。電車自体本数を減らしていたり、徐行運転を行っていて、余震があるとすぐ停車し、安全確認が取れるまで動かなかった。大崎から船橋競馬場まで場合によっては3時間かかった。


 結果的にまる1か月間南関東の開催がなかったから、一巡すればだいぶ時間に余裕ができたし、机の上の整理もすぐ終わり、何か新しい事をしたいと思っていた。同時期、古い新聞をスキャンしてバックナンバーのデジタル販売を立ち上げていて、古い資産を活用出来ないか模索していた。そこで着目したのがYouTubeで古いテレビCMを公開することだった。


 当時震災でTwitter(現X)が有効なコミュニケーション手段として注目されていたが、YouTubeは既に多くのユーザーに視聴されていて、動画投稿によって収益を上げるパートナープログラムも始まっていたが、特にそこで収益を上げられるとは全く思っていなくて、単に弊社のテレビCMをライブラリ化するのが目的だった。


 当時既に予想動画はあったと記憶しているが、競馬専門紙が予想動画を公開するというのは、禁止されてはいなかったが、なんとなく「ご法度」という雰囲気だった。


 「日刊競馬CM集」を作るにあたって、まず必要なものは「CM素材」だ。それは過去の競馬中継を録画したビデオが大量にあって、当初はそこから切り出そうと考えていたが、社内で代理店や制作会社から貰った過去のCMビデオが発掘され、画質もそちらの方が断然良かったからそれを使うことにした。


 次に制作環境。ビデオをPCに取り込んで余計な部分をカットしてアップロードするには、①ビデオキャプチャー、②馬力のあるPC、③編集ソフトが必要である。


 ビデオキャプチャーは家電量販店で購入。馬力のあるPCはエンコードに必要なのだが、これは社内にそこそこのPCが既にあった。編集ソフトはどうしようか迷ったが、結局付属のソフトウェアを使った記憶がある。今思えばものすごくチープな環境だったが、当時はそれで十分だったように記憶している。


 CM集はソコソコの再生数はあったが、YouTubeは新作がないと再生数も登録者数も伸びない。そのうち競馬も再開し、更新もないまま2023年まで12年間放置されていた。


 再開のきっかけはコロナだった。無観客競馬や入場制限で、ネットのライブコンテンツが次々と誕生して、それを観ていた若手社員が「ウチもやろう」と言い出した。それで復活となった。


 御存知の通り、JRAや各地方競馬の主催者は、レース等映像の2次利用を禁止している。実際、場内などに流している映像を使っているのはオフィシャルかそれに準じた団体、馬券の発売業者のみだ。


 各所に問い合わせてみたところ、ライブや参考レースとしての映像使用が出来ないことはないのだが、料金が高い、バカ高い。または許可を得て自社で撮影するか。それも経費がかかりすぎる。収益化を目論んでいるわけではなく、宣伝・広報が目的ではあるのだが、さすがにそれに見合ったリターンは期待できず、とりあえず映像使用はボツ。記者のトーク力が頼みである。


 現在のところPOGや2歳馬の情報と、中央や地方の重賞展望の2本立てに、ショート動画などを毎週更新している。


 若手がのびのびやってくれればいいと思っているので、筆者の立ち位置はトラブル対応、権利関係の処理、機材などの用具係である。


 実際やってみて苦戦したのは音声だ。撮影は問題なし、編集も若手・中堅がサクサクやっているが、音声は難しい。


 音声は沼だ。マイク関係は沼にはまりかけたし、未だに解決できない事がある。中継でお世話になっているプロの音声さんに相談しているが、機材も違う。ある程度予算を投入すれば解決することもあるが、宣伝・広報予算には限りがある。会社でやるとなると解決すべき事が多かった。


 まだまだ改善の余地はあるが、弊社若手社員が頑張ってやっているので、お暇な時にでも一度ご覧になって頂きたい。高評価、チャンネル登録もよろしくお願いします。

トップへ