JBIS-サーチ

国内最大級の競馬情報データベース

第189回 『暑熱対策2024』

2024.09.25

 6月10日、気象庁は2023年春から続くエルニーニョ現象が「終息したとみられる」と発表した。気象庁のサイトによると、エルニーニョ現象が終息すると、太平洋高気圧の張り出しが強まり、暖かく湿った空気が流れ込みやすくなり、6~8月の平均気温は平年に比べると高くなると予想される、とある。


 観測史上最も暑い夏となった2023年に続き、2024年の夏も暑い。要因としては例年よりも偏西風が北よりであること、太平洋高気圧とチベット高気圧が勢力を強めていること。さらにはラニーニャ現象やダイポールモード現象などなど。当コラムは気象コラムではないので割愛するが、ようするに暑くなる条件が揃っているらしい。


 実際のところ、この夏も暑かった。昨年、青森に帰省した日に青森県の観測史上最高気温となる39.3℃という有り難くない記録に遭遇してしまったが、今年も滞在した2日間とも30℃超え。


 小学生の頃、気温20℃を超えればプールに入れたから、気温計に息を吹きかけてズルした、という話は以前書いたと思うが、これほど暑ければプール自体がいい湯加減だろう。


 競馬場の暑熱対策は進んでいて、南関東の各競馬場には馬のシャワーが設置されている。浦和のシャワーに至っては我々報道陣も冷やしてくれる優れもので、よく濡れ…冷える。


 その浦和競馬場は今季から「はくぼ競馬」をスタートさせているが、夏場の開催はさらに1時間後ろ倒しして1R発走13:30、メインレース発走18:55、最終レース発走19:30。最終レースに至ってはもはやナイ…と言っても過言ではないような気もするが、あくまで「はくぼ競馬」である。


 「暑熱対策」は2017年の小倉競馬場のパドックにミストが設置されたあたりが最初だと記憶している。2019年には熱中症対策として福島競馬場に馬用のシャワーが設置された。パドックのミストや馬用のシャワーはその後中央競馬全場、さらに地方競馬にも拡がっていった。


 さらに2021年の「開催日割及び重賞競走について」の中で、夏季開催について「東京オリンピック開催への対応及び暑熱対策の観点から~」という文言で、7月24日~8月8日まで、小倉開催を組まず札幌、新潟の2場開催とすることが発表され、そして今年、新潟で暑熱対策の「休止時間」が実施された。


 通常であれば1レースが10:00前後から始まり、最終レース16:30頃まで行われているところを、1レースを9:35に発走し、11:35発走の5レース終了後休止、15:10の6レースから再開。最終レース発走18:25というものだ。気温の上がる時間帯にレースを行わず、馬の負担を軽減する目的である。


 本来であれば現地に赴いて自ら体験してみたいところだったが、残念ながら日程的な都合がつかず、会社、自宅内での「休止時間」体験となった。現地での体験談は多くの方が書かれているのでそちらを参照して頂きたい。


 結論から言うと1日が長かった。普段の土日は中央競馬の朝イチから最終、そして佐賀や高知競馬の最終レースまで観ているが、休止期間の札幌競馬はややレース間が長く感じられて、再開後は慌ただしく各場のメインレース、札幌競馬が終わり、16:50でまだ9レースというのは、馬券で負けていた身には正直なところ堪えた。


 会社や自宅という、移動もなく、帰りの心配もなく、冷房の効いた快適な環境でも、やはりそこだけはまったく変わらない。


 この暑熱対策が発表された時、暑熱対策と同時に、単独発売時間を増やして売上増を狙っているのではないかと邪推していた。


 新潟競馬の7月27・28日、8月3・4日の4日間で入場23.5%増(4日間フリーパスの日)、売上は前年比110%と大幅に増加した。また札幌競馬も入場127.8%(7月28日はフリーパスの日)、売上106.3%とこちらも前年比増となった。


 これだけ中央競馬の売上が上がると地方競馬への影響が気になるところだが、8月4日に行われた高知競馬の黒潮菊花賞(プリフロオールインが三冠達成)の売上は前年比115.2%と、こちらも大幅増の結果。JRAネット投票の発売時間が延長され、グリーンチャンネルの中央競馬中継の番組内でレースが中継され、むしろうまいこと誘導できたのではないかと思われる。


 おそらく来年以降、さらに拡大されるのではないかと思われる。新潟の期間延長、そして新潟よりもさらに1~2度気温が高い中京での実施。


 騎手の移動など課題もあったが、我々も資金を絶やさぬ「的中」がかなり大事だ。

トップへ