南関フリーウェイ
第20回 人も馬も。成長を見る楽しみ。
2016.07.27
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夏本番を迎え、2歳馬たちの姿も多く見かけるようになりました。同じお母さんの仔が代々同じ厩舎に入厩することが時々ありますが、兄や姉たちと似ている所や違っている所を感じ取るのも楽しみのひとつです。
お姉さんたちは、馬房からじっとこちらを見つめながら「馴れ馴れしいのは好きじゃないの。あんまり近くに来ないでちょうだい」というオーラを出していたけれど、今年入ってきた2歳の妹は「ねえねえ、ワタシここよ!こっちに来て!」と、ニコニコと愛嬌いっぱいの表情でフレンドリーな素振り、なんていうことも。
もちろん、競走馬=アスリートですから、「かわいいのが良い」というわけではなく、簡単に一括りにはできないことではありますが、馬の前に立つとそれまでその馬がどんな人たちと出会い、どんな時間を過ごしてきたのかがなんとなくわかるような気がします。
生産牧場の方々から伺ったお話では、人とのスキンシップに慣れさせるために生まれてすぐにマッサージをしたり、怖がり屋さんの仔馬に「どこに行っても大丈夫。怖くないよ」と教えるために、新しい環境に慣れさせる工夫をしたりもしているそう。それぞれが送ってきたそんな時間を想像しながら馬たちと向き合うと、どんなドラマを抱えているんだろうなぁ・・・と思わずにはいられません。
レースで結果を出した馬を取材していると「どんどんワルくなって来たよ」と嬉しそうに話す厩務員さんと出会うことがあります。この場合の'ワルく'とは、競走馬としての闘志がみなぎり、力強く、レース前には人を寄せ付けないほどの気迫に満ちて世話も大変になってくる、ということだそう。
新馬戦のパドックでは、どことなくソワソワと落ち着かない雰囲気だった馬も、いつの日かどっしりと他馬を威嚇しながら歩く・・・。そんな姿を想像するとなんだかワクワクしてきます。
成長といえば、猛烈な勢いで勝ち星をあげ、今年すでに南関東リーディング第2位(2016年7月25日現在)となっているデビュー8年目・中野省吾騎手(船橋・渡邊薫厩舎)についても触れておきましょう。昨年から目を見張る活躍で大躍進中!今年は現時点で102勝と、昨年1年間の82勝を大きく上回り、7月21日には地元船橋でデビューから通算300勝を達成しました。
一昨年は29勝、昨年82勝ですから、その急激な成長ぶりには目を見張るばかり。昨年10月に行われた埼玉新聞栄冠賞では、カキツバタロイヤル(函館一昭厩舎 2016年6月に引退)に騎乗して重賞初制覇も果たし、精神的なゆとりも生まれたそう。'好調の理由'について中野騎手に聞いてみると、「ハマるようになったんです」と人懐っこい笑顔を見せました。「技術はまだまだですが、思った通りの騎乗ができるようにもなってきました。重賞を勝てたお陰で、大きなレースでも以前よりリキまずに乗れるようになりましたよ。ひとつひとつ取りこぼさないように乗っていきたいと思っています。プレッシャーで精神的に苦しくなることもありましたが、周囲の皆さんに助けられました。ファンの皆さんに競馬場で声援してもらえると本当に励みになります!数字的なことはご褒美だと思っていますので、常に変化し続ける僕を見て、応援して頂けたら嬉しいです」と語ってくれました。
2009年、自らの騎手としてのデビュー戦では、目を開けているのもやっとなほどの硬い表情だった中野騎手ですが、今では表情も生き生き!インタビューでの人懐っこい笑顔とは一転して、パドックやレースで見せる引き締まった表情は、まさしくプロそのものです。実家のご家族によると、幼い頃から好奇心旺盛な活発な子で、明るく天真爛漫だったとのこと。自然豊かな故郷(富山県舟橋村)で、田んぼのあぜ道で遊んだり、虫や魚を取ったりして、のびのびと育ったそうです。
常に楽しいこと、新しいことを求めながら止まることなく'変化'し続けている中野省吾騎手。独特なアーティスト感も漂います。 馬と人。その成長や変化を見ていくのも競馬の楽しみ。底知れぬ魅力はまだまだ尽きません。
お姉さんたちは、馬房からじっとこちらを見つめながら「馴れ馴れしいのは好きじゃないの。あんまり近くに来ないでちょうだい」というオーラを出していたけれど、今年入ってきた2歳の妹は「ねえねえ、ワタシここよ!こっちに来て!」と、ニコニコと愛嬌いっぱいの表情でフレンドリーな素振り、なんていうことも。
もちろん、競走馬=アスリートですから、「かわいいのが良い」というわけではなく、簡単に一括りにはできないことではありますが、馬の前に立つとそれまでその馬がどんな人たちと出会い、どんな時間を過ごしてきたのかがなんとなくわかるような気がします。
生産牧場の方々から伺ったお話では、人とのスキンシップに慣れさせるために生まれてすぐにマッサージをしたり、怖がり屋さんの仔馬に「どこに行っても大丈夫。怖くないよ」と教えるために、新しい環境に慣れさせる工夫をしたりもしているそう。それぞれが送ってきたそんな時間を想像しながら馬たちと向き合うと、どんなドラマを抱えているんだろうなぁ・・・と思わずにはいられません。
レースで結果を出した馬を取材していると「どんどんワルくなって来たよ」と嬉しそうに話す厩務員さんと出会うことがあります。この場合の'ワルく'とは、競走馬としての闘志がみなぎり、力強く、レース前には人を寄せ付けないほどの気迫に満ちて世話も大変になってくる、ということだそう。
新馬戦のパドックでは、どことなくソワソワと落ち着かない雰囲気だった馬も、いつの日かどっしりと他馬を威嚇しながら歩く・・・。そんな姿を想像するとなんだかワクワクしてきます。
成長といえば、猛烈な勢いで勝ち星をあげ、今年すでに南関東リーディング第2位(2016年7月25日現在)となっているデビュー8年目・中野省吾騎手(船橋・渡邊薫厩舎)についても触れておきましょう。昨年から目を見張る活躍で大躍進中!今年は現時点で102勝と、昨年1年間の82勝を大きく上回り、7月21日には地元船橋でデビューから通算300勝を達成しました。
一昨年は29勝、昨年82勝ですから、その急激な成長ぶりには目を見張るばかり。昨年10月に行われた埼玉新聞栄冠賞では、カキツバタロイヤル(函館一昭厩舎 2016年6月に引退)に騎乗して重賞初制覇も果たし、精神的なゆとりも生まれたそう。'好調の理由'について中野騎手に聞いてみると、「ハマるようになったんです」と人懐っこい笑顔を見せました。「技術はまだまだですが、思った通りの騎乗ができるようにもなってきました。重賞を勝てたお陰で、大きなレースでも以前よりリキまずに乗れるようになりましたよ。ひとつひとつ取りこぼさないように乗っていきたいと思っています。プレッシャーで精神的に苦しくなることもありましたが、周囲の皆さんに助けられました。ファンの皆さんに競馬場で声援してもらえると本当に励みになります!数字的なことはご褒美だと思っていますので、常に変化し続ける僕を見て、応援して頂けたら嬉しいです」と語ってくれました。
2009年、自らの騎手としてのデビュー戦では、目を開けているのもやっとなほどの硬い表情だった中野騎手ですが、今では表情も生き生き!インタビューでの人懐っこい笑顔とは一転して、パドックやレースで見せる引き締まった表情は、まさしくプロそのものです。実家のご家族によると、幼い頃から好奇心旺盛な活発な子で、明るく天真爛漫だったとのこと。自然豊かな故郷(富山県舟橋村)で、田んぼのあぜ道で遊んだり、虫や魚を取ったりして、のびのびと育ったそうです。
常に楽しいこと、新しいことを求めながら止まることなく'変化'し続けている中野省吾騎手。独特なアーティスト感も漂います。 馬と人。その成長や変化を見ていくのも競馬の楽しみ。底知れぬ魅力はまだまだ尽きません。