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第8回 鮮やかに!初出走初勝利!張田京厩舎開業

2015.07.27
 第4回船橋開催2日目の7月20日。梅雨明けしたばかりの空が真夏の到来を告げていたこの日の2R、張田京(はりたたかし)厩舎が開業初出走を迎えました。
 張田京調教師といえば、3月31日の川崎9R・花吹雪特別で迎えた騎手生活ラストランでノブペイジ(出走時 浦和・小久保厩舎)に騎乗し、5馬身差をつけて地方競馬通算2600勝(他中央7勝)を達成。華麗に有終の美を飾ったことも記憶に鮮明です。

 7月1日に開業した厩舎は、船橋競馬場の向こう正面に位置する'海岸'側。馬房をリフォームした際には、ご家族と一緒に張田調教師自らもペンキ塗りをしたそうで、シックで落ち着いた雰囲気の色合い。お邪魔した時には、数々の重賞馬を手掛けた大ベテランの向山昇厩務員が2歳馬のお手入れ中でした。
 第8回 鮮やかに!初出走初勝利!張田京厩舎開業の画像

 そんな張田調教師が初めてレースに送り出したのは、息子・張田昂(はりたあきら)騎手を鞍上に迎えてのテラザホット(父オンファイア 3歳牝馬)。騎手時代の勝負服カラー「赤・黄・緑」の3色をメンコにあしらって厩舎のPRも万全です。

 調教師試験に合格後、開業までは騎手時代に所属していた岡林厩舎の出走馬を中心に、昂騎手のパドックでの足上げのお手伝いなども行っていた張田調教師ですが、ここからはいよいよ自厩舎の管理馬での出走。この日もパドック内側まで足を運び、昂騎手の騎乗を補助して送り出しました。

 レースは3馬身差での快勝。見事初出走初勝利!!

 「馬の能力とスタッフの力で勝てました。コーナー手前で行けるかなと思いましたが、普段はそのまま行けるけど、今日はドキドキしっぱなし。いつも自分のために乗っているようなところがあるけれど、今日は人のために・・・オヤジのために乗りました。ちょっとは親孝行できたなかな」と、喜びと安堵が混ざり合った表情で語った昂騎手。レース写真を良く見てみると、直線で後続を引き離しながら、ゴール板を通り過ぎるのが待ちきれないというような、必死さと勝利まであと少しの喜びが混ざり合ったなんとも言えない表情をしています。

 ゴーグルで目は隠れていますが、その口元の表情からは、父親にとびきりのプレゼントを贈りたいと願う少年のような真っ直ぐさが伝わってくる気も・・・。

 「レース前はいつも通り特別なことは言われませんでした。『真面目に乗れよ』と(笑)。この後、きっとダメ出しがいっぱい来ると思います(笑)。親父の偉大さは常に感じていますよ。人間的にも周りからの信頼などの面でも、僕には及ばない偉大さがあります。そういう見て取れる目標があるから、そこに向けて頑張ります!」(張田昂騎手)
厩務員を経験するなど、自身も苦労を重ねて掴んだ騎手という職業。2年前に行われた新人騎手紹介式ではそれまでの思いが溢れて思わず涙を見せた昂騎手でしたが、そんな自身のデビュー戦よりも、今回の騎乗の方がはるかに緊張したというのですから、父・張田京調教師に初勝利をプレゼントできたことは格別の思いだったことでしょう。

 一方、昂騎手の「親父のために・・・」の言葉を聞いた張田調教師は「舐めたこと言ってんじゃねぇよ(笑)」とちょっと照れ臭そうな、でも、とびきり嬉しそうな表情を見せていました。

 翌日迎えた2戦目も親子コンビで勝利して2戦2勝とし、その存在を大いにアピールした張田京厩舎。騎手生活から換算すると、メモリアル勝利が続く華麗なる3連勝という離れ業を見事にやって退けるところも'らしさ'という印象です。

 「レースでも乗っている時にはこんなに心臓がバクバクしないもんね。調教師として見ていると、直線ではいい感じに心臓がバクバクする。これから先が大変。目標を考える余裕はない。目の前のことを一生懸命にやるだけですね。応援よろしくお願いします」と張田調教師。

 騎手から調教師へと立場は変わっても、引き続きファンを魅了中。南関東に熱い風が吹き続けています。
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