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南関フリーウェイ

阿部典子 南関フリーウェイ

第65回 1日も早い終息を祈りながら

 クラシックの頃には・・・長くても、大型連休までにはなんとかなるだろう。そんな気持ちも抱いていた2月。大井競馬場で無観客開催が行われるという知らせを耳にした時は、ここまで新型コロナウイルスの影響が長引くことは想像もできませんでした。今はただ、競馬が開催されることを大切にしていかなければという思いです。

 中央競馬では4月9日付でJRA報道室から「競馬場・トレセンでの取材制限について」という通達が出され、JRAから限定された各社から人数制限有りでの取材となっています。南関東競馬場もまた、より厳しい取材規制が敷かれるようになりました。

 例えば、川崎競馬場の場合は、指定日時までに申し込み、発行されたパスによって取材エリアが限定される等。騎手を取材する場合、一緒に歩きながら(複数のプレスが囲むことも有)コメントを聞くという流れが多いのですが、4月13日から17日の開催では、取材対象への声掛け後は指定の取材エリアに移動し、距離を取ってインタビューするようにという指示が主催者から出されていました。

 取材申請をする窓口には、体調面に関するチェックリスト、アルコール消毒液を設置。プレスルームもスタンドの一部を開放するなど、徹底した感染拡大防止措置が取られ、今まで感じたことがないピリピリとした空気が張りつめていました。

 南関東の他の3場と比べるとスタンドと馬場の距離が近い川崎競馬場だからかも知れませんが、明かりもなくシンとしたスタンドからは"黙って耐えている"かのような気配も漂い、プレスの間では、暗闇に空席が並ぶ風景(写真参照)を見上げて「寂しいね」という会話も交わされていました。

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 3歳馬による重賞クラウンカップ(SIII)も表彰式は行われず、ウイナーズサークルに優勝騎手と優勝調教師が別々に入場し、マイクを使ってインタビューに答えるという方式。いつもなら、祝福の声や拍手が鳴り響く晴れやかなイベントなだけに、現在のような風景は寂しさも感じましたが、開催できること自体が有難いという気持ちが一番です。

 クラウンカップ(SIII)を管理馬ウタマロ(牡馬 父アイルハヴアナザー 馬主:菊地博様)で制した矢野義幸調教師の、「皆ピリピリして、不安な気持ちだと思いますが、一生懸命やっています。今は大変な時期ですが、我々も何とか良いレースを届けていきたいと思っています。皆さんも頑張ってください」という言葉は、競馬を続けていくことへ心を注ぐ関係者の、張りつめている気持ちと努力を表していたようにも思います。

 さて、ここからは、緊張から解放されるようなウタマロの微笑ましいエピソードをご紹介しましょう。クラウンカップ優勝後は、闘志があり余っているかのような仕草を見せていたウタマロでしたが、普段の馬房ではかわいい表情を見せることも多々です。思い出深いのは、昨年8月のハイビスカスデビュー2歳新馬戦(2着)の後の厩舎の洗い場でのエピソード。厩舎横の通路を歩く馬の気配に、まるで「僕、ここにいるよ、ここだよ」とアピールするかのように、ヒヒン、ヒヒンといなないていました。それを聞いた担当の中野厩務員が「あの馬、調教仲間なんですよ(笑)」と。当時まだ2歳。初めてのレースの後、どんな気持ちで仲間を呼んでいたのでしょう。

 ちなみに、その調教仲間は、坂本昇厩舎所属のダバイジェブシカ(牝馬 父スウェプトオーヴァーボード)で、ウタマロの次のレースでデビューし3着という結果でした。4月25日時点で勝利までもう一息のレースが続いていますので、ダバイジェブシカにもご注目ご声援くださいね。

 JRAでは5月31日に行われる日本ダービーも無観客で開催されることが発表されました。今後、地方競馬各場からも、状況に応じたリリースがその都度出て来ることでしょう。そのリリースが、できるだけ早く「無観客開催の終了」「いつもの競馬場に戻れる」というものになりますように。